初めてのデート

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初めてのデート

今まで色々あり過ぎてまだ整理しきれていないが、ミカちゃんはとても可愛い。 「ミカね、純くんの部屋でずっと一緒にカプセルの中で過ごしてきたんだ。暖かい時も寒い時も。 甘いクッキーの香りがする缶の中で想っていたの… ずっと私を捨てずにいてくれた。だから決めてたの。私、この人と契約してずっと一緒にいようと…」 僕はやっぱりごく普通の人間なのでミカちゃんの感覚とはズレている。 でも…今までも…これからもずっと一緒にいてくれたと喜んでいることは素直に嬉しかった。 彼女が守護神(ガーディアン)でもいいじゃないか!!! 可愛いし、優しそうだし… 「ミカちゃん。これからも…ずっとよろしくね。」 ミカちゃんの表情が花が咲いたように明るくなった。 「わーい!!!やったぁ!!!純くんとずっと一緒だぁ。」 彼女の喜びように僕も嬉しくなった。 「ところでこのカプセルってどうして使うの…?」 「それはね…ほら…ここに触れてみて…」 ミカちゃんが言うようにカプセルの魔法陣を指で一度タッチした。するとミカちゃんが中に吸い込まれる。カプセルを手で開けるとポンともう一度出てくる。 カプセルの上下の魔法陣を両手で隠すようにするとカプセルの間に例の緑色の光が生まれ異世界でもどこでも移動出来るし…守護神は契約者のいる所にすぐに帰ってこれる… つまり…ミカちゃんや僕が一度行った事のあるイメージが出来るところにはカプセルを使えばいつでも瞬間移動出来るらしい。 彼女の棲む世界と僕達の棲む世界を繋ぐ架け橋みたいな物だな… 大切にしないと… ところで…ミカちゃんはまだ僕のスウェットを着ている。 彼女に似合う可愛い服を買いに行かないと…!!! そこで一旦、僕達の世界に戻って…ミカちゃんとファッションビルに服を買いに行くことにした。 彼女とカプセルの緑色の光に包まれて僕の部屋へと戻ってきた… 彼女に僕のパーカ、Tシャツ、そしてジーンズを貸して…一緒に腕を組みながら街を歩く… こ、これって…まるでデートみたいだ… 生まれて初めてのデート!!! すれ違った女の子達も 「あの子、ジーンズを彼に借りたのかな? すっごく可愛い子…!!!そしてオシャレだね。」とミカちゃんを見ている。 あはは…僕の自慢の彼女ってことでいいのかな…? そして…お店に着いて… ファッションに疎い僕は店員さんに「彼女に似合う服ありますか?」と訊くと… 可愛い白のブラウスとチェックのプリーツのスカート… それから紺色のソックスを彼女に合わせてくれた。 ミカちゃんが試着室から出てくると… 「ど、どう…似合うかな…⁉︎」 「かっ、可愛い〜!!!ホントに可愛いよ!!!」 僕はこんな子が彼女だなんて天にも登る気分だった。 「そ、そう…?純くんがそんなに喜んでくれるなら…私も嬉しいよ…!!!」 ミカちゃんも喜んでくれたみたいで僕も嬉しい… 帰りにケーキ屋さんの前を通ると… 「あっ⁉︎…この香りは…」 ミカちゃんは駆け出して 「純くん、クッキーだよ…」 「本当だ!!美味しそうだね…」 「ミカ…クッキー食べたいなぁ…」 きっと…ミカちゃんはずっとクッキーの缶に入ってたから大好きなのかな…⁉︎ 僕はクスッと笑って 「すみません!!!これをください!!!」 今日はもう遅いのでミカちゃんをクレアさんの所まで送っていく… 「純ちゃん、夕食食べて行かないかい?大したものは無いけど…」 「純くん!!!一緒に食べよう!!! おばさんの料理…とっても美味しいよ…」 「…じゃあ…お言葉に甘えて…」 僕は少しでもミカちゃんと一緒にいたかった… クレアさんは僕等にスープとパンを出してくれた。 ミカちゃんの言う通りいつも僕が食べている出来合いのモノとは違ってとても美味しかった。 「じゃあ…また…明日ね…」 「うん…バイバイ…クッキー…ありがとう!!!」 カプセルを使ってミカちゃんに部屋まで送ってもらった僕は自分の世界へと帰っていく彼女を名残惜しそうに見送った。 さっきまで部屋に可愛い女の子…それも僕の初めての彼女がいたと思うと一人でいるのが少し寂しく思えてきた… しかし、異世界の女の子とお付き合いするなんて夢にも思わなかったなあ。でも可愛いし、優しいし、僕は本当に満足だ! 「早く明日にならないかなぁ… そしたらまたミカちゃんと…」 そんな事を考えながらベッドへ潜り込んだ僕はゆっくり眠りへと落ちていった… すると…突然夜中に凄く大きなアラーム音が鳴った。 「な、なんだ…!!!」 僕はビックリして飛び起きた。 そして周りを見渡すと…ベッドの横でミカちゃんが一人で泣いていた。 「ど、どうしたの…ミカちゃん!!! こんな時間に…クレアさんは…⁉︎」 驚いていた僕にミカちゃんの一言は更に衝撃的なモノだった… 「ヒック…クレアおばさんが誰かに連れて行かれちゃったんだ…」
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