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三人目の守護神
「助けて…」
「こ…この声は…間違いない…リンちゃんだ…」
僕の頭の中にリンちゃんのSOSが聞こえた。
僕は洞窟から出て全力で山道を駆け下りる…
すると…オオカミにジリジリ詰めよられたリンちゃんが僕の目に飛び込んできた。
「やめろ!!!」
僕はオオカミに向かって叫んだ。
「来ないで!!!あなた…弱いんだから…」
オオカミは僕に向かって威嚇のポーズをとった…
今にも飛びかかって来そうだ…!!!
僕はオオカミを睨みつけた…
オオカミ達に僕の意思を伝えるように視線に力を込める。
すると…オオカミはビクッと耳と尻尾を下げた…
「リンちゃん…
そのバスケットを貸してくれる…⁉︎」
「は…はい!!!」
僕はリンちゃんが持って来てくれた食事をオオカミ達に少しずつ分けてあげた…
そしてリンちゃんを最初に襲った…一番大きなオオカミの頭を撫でて「今度はもう少し持ってくるからもう襲ったりしたらダメだよ…」と言うとオオカミの群れは静かに消えていなくなってしまった。
「怖い思いをさせたね。ゴメンね…」
「べ、別に怖くなんかありませんでしたわよ…
余計なお世話でしたわ…」
そこへSOSを聞きつけたクーファさんがやって来た。
「おーい!!!怪我は無かったか…⁉︎」
「お父様…遅すぎですわよ…!!!!!」
「純……リンを助けてくれたのか…?
ありがとう…うん…⁉︎」
クーファ国王は純の背後に炎のようなオーラを見た。
「リン、せっかくだから…明日、もう一度…純の相手をしてやりなさい。」
「か…構わないですけど…よろしいんですか…⁉︎
今度は手加減しませんわよ…」
そして…次の日…僕達がグランアンジェに帰る日…
あの時と同じ…クーファ先生のお宅の裏の森で皆が見つめる中…
あの時と同じように…
リンちゃんは紋章を浮かび上がらせた。
「RE:FRAIN《リフレイン》!!!」
リンちゃんはバリアを張り巡らせた。
「フン!!!これで彼は攻撃できないわ…」
リンのRE:FRAIN《リフレイン》の能力は軽微な魔法や能力を膨大な大きさに何倍にも増やせるもので、小さな魔法でも極大呪文の威力にすることが出来る…
リンは小さなバリアを信じられない程の数に増やして自分の周りに重ね合わせるように張り巡らせていたのだった。
リンは心の中で勝ち誇った…
「お父様…彼に降参しろと言ってあげたらいかがですか…⁉︎」
「なあ…リン…!!!ソイツはどうかな…⁉︎」
バチバチバチバチ…!!!!!
純の両手の指がリンのバリアとバリアの隙間に入ってくる。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ…あああっ!!!」
バッキィィィィィ…ン!!!
純は両手を思いっきり広げてバリアを引き裂いた…
「なっ……」
リンは…驚きのあまり声を出すことも出来ない…
それは…リンの紋章の魔法を簡単に破った事にではなく…純の穏やかな表情にだった。
「なんて優しい表情…
この人は全然本気じゃない…もっと大きな力を…」
純の腕には光を放ちながら紋章が浮かび上がっていた。
「やったな…おい…紋章の力を少し引き出せるようになったじゃねぇか…!!!
まあ…お前さんに昔のような力を出されたら…もう俺も止められないしな…」
「お父様が認めた!!!世界最強と言われる…あのお父様が!!!
嘘ではない…この人の紋章…まるで太陽を反射した小川の水面のようにキラキラと脈打ってるのが分かるわ…
間違いなく…近いうちに…お父様を超えるわ…」
その瞬間からリンの頭の中は純のことでいっぱいになった…
そして…数日後…クーファ国王の元に純は挨拶に行った。
「これでひとまず、修業を終えて…アリスさん達と武闘大会の準備にソリューに入ります…
オーケアノスでの先生との出会いと教えは僕の人生に於いて、本当に大切な時間でした。
これからも僕に色々ご指導ください…任務が終わったらまた伺わせて頂きます…
ありがとうございました。」
僕は色々な事を思い出して涙を浮かべながら先生に精一杯のお辞儀をした。
「おう…純…頑張れよ!!!
お前なら絶対に自分の運命に打ち勝つ事が出来ると信じてるぞ…
…ところで…その…だな…
我が娘…リンからだな…
お前さんに話があるらしいんだ。」
「リンちゃんが…僕に…は…はい…!!!」
…話…⁉︎…一体何だろう…?
先生がパチンと指を鳴らすと…
ボワン…!!!
綺麗な刺繍が施された黒い傘を挿したリンちゃんが現れた…
僕の前に来て、青いカプセルを僕に手渡す。
そして真っ赤に照れながらこう言った。
「旦那様…私をあなたの妻にしてください…
よろしくお願いします。」
「旦那様…って⁉︎まさか…まさか…
えーっっっっっっ!!!
このカプセルは…まさか…⁉︎」
「あれ…?言わなかったっけか…?
リンは守護神だよ。
お前さんなら…まあ…嫁にやってもいいだろ!!!
間違いなく役に立つから連れて行ってやってくれ…」
…どうしよう…部屋に連れて帰った時のミカとテラの顔が目に浮かぶ…
リンの可愛い表情とは裏腹に僕は戸惑いを隠せなかった…
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