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初戦突破
いよいよ…僕達はソリューに入ることになった。
アリスさんや諜報機関の調査のおかげでコロッセオの近くに宿もスムーズに確保出来た…
大会は1日目が予選…
そして2日目が決勝となっているらしい。
1日目に負けてしまうとソリューを見学して帰るただの観光客になってしまう。
僕は無事に出場者登録を果たした。
貼り出されたトーナメント表を見ると〝ジーク〟の名を見つけた…
奴はエルドラを…僕はグランアンジェを…皆のために守らなくてはならない…
そのやり方は違うにせよ…何処かで奴の気持ちが理解できる自分がいた…
もう一度ルールを確認しておこう…
一対一であれば武器は自由。相手が気絶、戦闘不能、降参などの状態になるまで時間無制限の勝負になる。なるほど…割とユルいルールのようだ。
しかし逆に言えば…
小細工などが通用しないとも言えるが…
前日に宿に入って…十分に休養をとった僕はベストコンディションで大会を迎える事が出来た…
ここまで支えてくれた女王様やアリスさん…
僕を鍛えてくれたクーファ先生…
僕に寄り添って…日常に素敵な花を咲かせてくれる大切な守護神達…
皆のためにも必ず優勝すると誓った…
一回戦は男性の魔法使いとの対戦だった。
当然…相手は距離を取り、魔法で勝負してくる。
しかし、クーファ先生と鍛えた…僕のパワーとスピードには敵わなかったのだろう…
距離を詰めて急所に手刀を浴びせて勝利した…
二回戦の相手はワイヤーロープの達人。
こちらも距離を取る相手なので苦戦するかと思ったが、金属製のワイヤーを逆手に取った。僕を狙って襲ってきたワイヤーを掴んで手繰り寄せる…一撃を与えようとしたら相手は呆気なく…降参した。
三回戦は初めて神族との戦いになった。
一等神のリオという名前らしい。
男性神だが長くカールした髪で一見して女性に見間違う美しさである。
武器や魔法に頼らず能力と能力のぶつかり合いになる事は間違いないだろう…
今こそ…クーファ先生から教えて頂いた技を使う時が来た…
リオは金の粉を降らせて相手を撹乱する技を使ってきた。徐々に間合いを詰めて一気に近接攻撃を与える作戦だろう。
僕は紋章の力を解放する…
「はあぁぁぁぁ…」
「コ、コイツ…紋章を…じゃあ…俺達と同じ…」
リオの気の動きを完全に捉えた…
「今だ…!!!
やあっ!!!トライデント…!!!」
腕をリオに向けて突き出す…
突き出した腕から紋章の光が三叉の矛となり…リオの身体を捉えた…
そう、リオは光の刃に貫かれたのだ…
クーファ先生直伝のトライデントという光の槍に。
純の見事な勝利に会場のボルテージが上がる…
スタンドから純を見守っていたアリスは祈るような思いで闘いを見ていたが…
純が勝利した瞬間に…緊張から解放され…ふと…自分の中の喜びに似た想いに気がついた。
…最初は『私がこの人を守らないと…』と思っていたのに、今はもう自分が手の届かないような強さを身につけている…
真っ直ぐで素直な魔王の転生体の男の子…
早く任務を遂行しなくとはという責任感と…
出来ることならずっと一緒に同じ任務…同じ時間を過ごしていたいという想いが胸に溢れていた…
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