慣れってコワイ

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慣れってコワイ

カプセルから飛び出したのは…コウモリのような羽根を背中に宿した可愛い守護神だった… 「リリー…分かってるよな…」 「はいよ!!!ルト様…」 リリーと呼ばれている…小悪魔的な守護神は僕にゆっくり近づいてきた… 「ね〜え!!!アタシと遊ぼうよ!!! 可愛らしいお兄さん…」 「コラ〜!!!ウチの純に何言うとんねん!!!」 観客席ですごい剣幕でギャアギャアと怒るテラの声がコロッセオに響き渡り…笑いを誘っている… 「いいぞ!!!姉ちゃん…!!!」 「姉ちゃんも参戦したらどうだ…!!!」 テラ…ちょっと我慢しててよ…!!! 一瞬…緊張感が解けたような雰囲気につつまれた気がしたのだが… しかし次の瞬間…リリーの目が怪しげに光りだす… ウィンウィンウィンウィン… リリーは僕に魅了の術をかけてきた。 あれ…身体の力が…抜けて… テラは観客席から身を乗り出して近くにいたジャッジに喰ってかかった… 「ちょ…ちょっと…あれ反則ちゃうんかいな…? 直接相手に攻撃してるやんか…!!!」 「確かにそう見えますが… でも純選手は全くダメージを受けていませんよ…」 「くっ…」 ポワ〜ン!!!!! 純はボンヤリとした目でリリーを見つめていた… 「旦那様…ダメですわ…どうか…愛する私の方に来てください…」 リンは…リリーに魅了の術を止めさせようと向かっていく… 「おっと!!!簡単に行かせるか!!!」 ルトは『炎の剣』を『炎の壁』に変えた… 防御は超一流のリンだが、属性に長けていると言っても…相手は神族の強者(ツワモノ)… 「くっ…近づけない!!!」 「ウフフ…こっちへおいで…可愛いお兄さん…」と手招きをするリリー… 純はゆっくりとリリーに近づいていく… リリーとルトはニヤリと笑った。 …ウフフッ…このお兄さん…アタシにもう夢中だね。 …フフ…リリーを抱きしめたところを後ろからもう一度…炎の剣でブスリとトドメだ! 純はゆっくり両手を広げた… リリーを抱きしめ…   ミカ、テラ、リンと…そして… アリスが同時に叫ぶ… 「ダメ〜!!!」 純はリリーを抱きしめなかった… 「ビロ〜ン!!!!!」 リリーの両頬を両手の親指と人差し指でつまんで引っ張っただけだった… 「なっ…!!!」 くるりと身を返した純… 「残念でしたぁ…!!! はあぁぁぁぁっ!!!トライデント!!!」 自分の背後にいたルトを光の槍で貫いた… 「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」 ルトは薄れゆく意識の中で… 「な、なんで…」 と驚いていた。 リリーも 「ア…アタシの魅了が効かないなんて…」 と崩れ落ちる。 「そりゃあ…毎日…可愛い女の子三人にずっとせまられてたら少しは女性の魅力にも慣れてくるよ…ねっ…ミカ…テラ…リン!!!」 純は…笑顔で自分に駆け寄る三人の守護神を見ながら呟いた。 アリスはホッと胸を撫で下ろしたが… 「な…なんで… ちょっとだけモヤモヤするんだろう…⁉︎ なんで…⁉︎」 純の試合の様子を上級観覧席から見ている一人の男がいた… 「ほう……あやつ、なかなかやりおるな…」 彼は呟いた…
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