絶体絶命

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絶体絶命

ソリューの王宮は…他国の王宮とは全く規模が違う歴史的建造物で… テレビで〇〇ドーム何個分という表現を使うが… 人間が作った建築物とは思えないほどの広さで、たとえ雨季であっても屋内で今回と同じ規模の武闘大会が充分開催出来そうな建築物であった… 特設闘技場の決勝戦は王宮の中庭に特設会場を設けて行うということだった… 僕はロッカールームにバッグを入れて… そして鍵をかけて…ロッカールームを出る。 そして…アリスさんと連絡を取った… 「アリスさん…今、ロッカールーム前にいます… 何か探りましょうか?」 「純さん…慌てなくても優勝者はソリュー国王が晩餐会に招くそうです… だからまずは試合に勝つことですが…決勝の相手は間違いなくあのジーク王子です… しかも今回は守護神を連れて参加しています… 決勝まで破竹の勢いで勝ち進んできたので油断できません…」 アリスさんの声がいつになく弱々しく聞こえる… 「ミカさんは…どうですか…⁉︎」 「ミカは…彼女は僕の守護神だから… 僕が自分の責任で守ってあげないといけません… ミカがもう怪我の事なんて気にしないように… 僕一人でも絶対に勝ってみせます。」 「守護神は愛する人を守る存在… 守ってあげなきゃ…なんて言う男の人なんて聞いたこと無いですよ… でも純さんならきっと…頑張ってください!!!」 アリスは純の…本当に優しい心にうたれた… 彼の想いがミカに届くように…ただただ願った。 再びロッカールームに戻った僕は驚愕した。 …自分が使っているロッカーが開けられて、中のバッグが消えている… いや、バッグなんて…もうどうでも良かった。 赤と青のカプセルを奪われた。 誰が何の目的で…すぐにアリスに相談する。 「分かりました。中にいる兵士全てに伝えて調べてみます。」 「すみません…お願いします…」 もう、やるしかない…僕は腹を括った。 今は、目の前の敵を全力で… ロッカールームから続く…長い通路を抜けると太陽が眩しく輝いていた。 眩し過ぎて…思わず目の前に掌を(かざ)す… 僕は歓声に包まれながらジークと対峙する。 「この前の借りを返させてもらうぞ。」 彼はそう言うと観客席の一番上段を見た。 僕が振り返ると後ろ手で縛られた泣きそうな表情のテラとリンの姿が見える。 「純…」 「旦那様…」 僕はアリスさんに連絡をしようとした。 「でやぁぁぁぁぁ!!!」 その瞬間、ジークの剣が僕のすぐ横をかすめた。 大会ジャッジが「ジーク選手。まだ開始礼が済んでいませんよ。」と制したが… 「これは失礼。では開始してください。」 と無理矢理試合を始めてしまった。 ジークはかなりの達人…一瞬でも気を抜くとやられてしまう。 突然剣を構えていたジークが後ろに下がって白いカプセルを開けると…中から守護神が現れた。 目がみえないくらい長い金髪、 片方だけコウモリのような羽を宿している。 「ヒルデ…一緒にコイツをやるぞ。」 ヒルデと呼ばれる守護神は、僕に向かって黒いカミナリを落とした… 「うわぁっ…!!!」 脇をかすめ…ギリギリの所で避けられたが足の怪我があるから…次は危ない!!! 大会ジャッジが「ジーク選手、守護神のダイレクトアタックは禁止です。」と(いさ)めると… 「すみません、ワザとじゃないんです。」 と言ってゴマかした。 コイツ…どう見てもワザとだろ…!!! 人質のことがあるから避け続けるしかないのか…? 怪我をしてる足ではもう逃げ切れない…
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