ミカ…覚醒

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ミカ…覚醒

「落ち着け…こんな時こそ…クーファ先生との修業を思い出すんだ…」 足の痛みさえ無ければ… そう思っているのは自分自身の甘えである… 気を身体中に巡らせて… 奴等の攻撃を全てかわして…チャンスを待つんだ… 「はあぁぁぁぁ…」 紋章が腕に浮かび上がると… 何故か足が軽くなったような感じがした… 純は以前…ジークに斬りかかられた時の怪我がすぐに完治していたのを思い出した… そして本能的に紋章を発動させると治癒効果があることを悟った… 「そうか…あの時、それで…」 ヒルデはカミナリを僕にワザと当たらないように落とすが、避けた所に的確にジークの真空波が飛んでくる… 連携技を避けるのが精一杯である… 「くっ…このままでは…」 僕のパーカーのポケットから緑色のカプセルがこぼれ落ちた… 僕はとっさにカプセルを(かば)った。 ザクッッッッッ…!!! 背中を真空波が襲った。僕の血が飛び散る…!!! 「ぐはっ…!!!」 その時…カプセルのアラームが鳴った。 …純くん… まるで僕の名を呼んでいるかのように… しかし…僕はカプセルを開ける力も入らなかった。 「…あっ…!!!」 手からこぼれ落ちたカプセルが開いた。 …ボワン!!! 中からミカが飛びだして… 手を広げてジークの前に立ちはだかった… 「純くんに酷いことする奴は絶対に許さない… 攻撃するならミカを攻撃しなさいよ…純くんは私が守るんだからね!!!」 「ミカ…」 何か無いのか…? ミカだけは絶対に救わなくては…!!! 咄嗟にポケットに手をいれて… 音叉の棒を握りしめる… 「ほう…それでは地獄へ行け!!!」 「させるかぁぁぁぁ…!!!!!」 僕はジークがミカの頭上から振り下ろした剣を…音叉の棒で受け止めた… 「ぬうぅぅぅん!!!」 「くうっっっっ!!!」 キィィィィィィィィン!!! 高い…金属音が辺りに響き渡る… 突然…ミカの緑色の瞳が僕の紋章のようにキラキラと輝くと…身体も金色に光り出し…宙に浮き上がった… 彼女の頭上に光のティアラが現れた。 そして僕と同じ…腕に青い紋章が浮かび上がる。 僕はその紋章の文字を目で辿った… R…E:…VO…LU…TION…!!! 〝RE:VOLUTION〟《レボリューション》!!! …バリィィィィン!!! 生命の鼓動が脈打つような目の輝きを宿したミカは…ジークの足元に鋭い槍のようなカミナリを落とした… 「チイッ!!!!!」 ジークは後ろにジャンプして逃げる。 そしてミカは…観客席上段を見上げると、テラとリンを縛っている男に向かって同じようにカミナリの槍を落とした… …バリィィィィン!!! たまらず男は逃げ出す… 「待ちなさいっ!!!」 それに気づいたアリスは瞬間移動で男の前に出て拘束(バインド)の魔法を唱えた… ツタにグルグルに巻かれた男を警備の兵士に引き渡してテラとリンを助けた。 「純さん…テラさんとリンちゃんは無事よ!!! 思いっきり闘って!!!」 …アリスさん!!!」 「くそっ!おのれ…だがこれからだ…条件は五分と五分だ。」 僕はジークの剣を避けながら…トライデントを繰り出す。 一進一退の攻防に観客席からも…ため息が漏れる。 「これで決着を着けてやる!!!ヒルデ!!!」 「はい…ジーク様…ぬあぁぁぁぁっ!!!」 …ビシャァァァァン!!! ヒルデはジークが高く掲げた剣に黒いカミナリを落とした…!!! ジークの剣に黒いカミナリが宿る。 ジュンクン…ガ…アブナイ…!!! その刹那、更にミカの身体が光に包まれる… そして腕の紋章からRの文字が消え… 彼女の紋章が…クーファ先生や女王様のような… 虹色に輝き出した… 「E:VOLUTION.《エボリューション》!!!」 彼女が空に両手を翳すと… 強大なエネルギーが辺りを包み始めた… 「…ミ…ミカさん…」 「へ…ヘナチョコ…あいつが…」 エネルギーは閃光へと変わり… …グワァァァァアン!!!!! ジークを襲った…が… 超極大呪文級のカミナリを 彼はギリギリの所でかわした… 「フハハ…ハハ…残念だったな… カミナリなど当たらなければ意味など無い!!!」 「果たして…そうかな…⁉︎」 僕の紋章もミカの紋章に共鳴して虹色へと変わった… 超スピードで駆け出した僕は…地面に突き刺さったそのカミナリを握りしめてジークに斬りかかった。 「うぉぉぉぉ!!!」 光の稲妻の剣と黒い稲妻の剣が交差する… だが… 「な、なにっ…!!!」 「お前の負けだっ!!!ジーク!!!」 黒い稲妻は光の稲妻に飲み込まれていく… 「うわああぁぁぁぁ!!!」 ジークは…自分の身体ごと… 強大なそのエネルギーに場外まで吹き飛ばされてしまった…
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