熱いくちづけ

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熱いくちづけ

コロッセオに巨大なクレーターが出現した… 「はあっ…はあっ…」 クレーターのど真ん中で… 全力を使い果たした僕は… 立っているのもやっとである。 会場は静まり返っていたが… やがてジャッジのマイクから… 「ゆ、優勝は…グランアンジェ共和国の… ジュン・ヤヨイ選手です… 残念ながらソリュー王国の民ではありませんが… 今年も転生者… つまり我が神族の優勝となりました… グランアンジェからは…初の優勝者です!!! 皆様… 盛大な拍手を彼に贈ってあげてください!!!」 全く…勝手な言い草であると思ったが… これで取り敢えず任務の第一関門突破である… ふと…僕は空を見上げる… ミカが僕を見下ろして…微笑んでいる… 宙に浮いていたミカが僕を見つめながらゆっくり地上に降りてきたかと思うと… 突然…彼女を包んでいた金色の光が消えて… 僕の腕に倒れこんだ。 「ミカ…!!!ミカ…!!!大丈夫…⁉︎」 腕の中の彼女を見ると… 光のティアラも腕の紋章も消えている… 「う…ん……!!!あっ!!! 純くん…… ミカ…どうしたの……⁉︎」 「…覚えてないんだね… 僕達…ジークに勝ったんだよ… 全部ミカのおかげなんだよ…!!!」 「えっ!!!本当に…⁉︎ そうなの…えへへ… ミカ、純くんの役に立ったんだ…」 「ミカ… 僕は今まで、いつだってミカの笑顔に励まされてきたんだよ… だからもう、何処にも行っちゃダメだよ…!!!」 「…純くん…」 僕とミカはお互いをギュッと抱きしめた… そして…僕達は自然に口づけを交わした。 その様子を見ていた…観客席からヤジが飛ぶ… 「ヒュー!!!ヒュー!!!」 「 兄ちゃん…強かったぜ!!!今夜は彼女に癒してもらいなよ…!!!」 「熱い抱擁だね!!! この後は…ベッドで熱く燃え上がるってか!!!」 「そ…そうか…みんなが見てたんだっけ…」 純とミカは真っ赤になった。 観客席でその様子を見ていたテラとリンは… 「うぬぬ…ヘナチョコめ…ウチの純に!!!」 「ま、今回は仕方ないですわね…」 それだけ呟いて…リンは口唇を噛み締めた… 残念ながら…表彰式は取り止めとなった… 理由は準優勝者のジークが行方不明になり… 三位決定戦の選手達もダブルノックアウトとなり… 表彰されるのが僕一人となったからである… その代わり…各国の国王を招いて開かれる明日の晩餐会に出席して欲しいという事と… 賞金として大会運営者から渡されたのは… また皮袋に入った大量の金貨… 異世界の僕には使い道に困るんだよなぁ… その時…「純さん…!!!」 アリスさんからテレパシーが送られてきた… 「今…城下町の酒場で純さんの優勝のお祝いと… 大きな声では言えませんが…ソリューの内情を調べる作戦会議を開こうと思っています… こちらに来る事は出来ますか…⁉︎ 場所は……」 「はい!!!大丈夫です…すぐに向かいますね…」 僕は城下町に出て…言われた酒場に向かった。
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