祝勝会

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祝勝会

僕が酒場に足を踏み入れると… 「あっ…兄ちゃん…!!! ひょっとして武闘大会の…」 「…本当だ!!!いや…驚いたなあ… 紋章の力を使いこなして… 見事な勝利だったぜ!!!」 「兄ちゃん… 良かったら一杯奢らせてくれよ…!!!」 「これ…良かったら…食べない…⁉︎」 武闘大会の優勝者として… 街の人達は暖かく迎えてくれた。 「す、すごい人気ですね…」 驚くアリス… 「えっへん…!!! ウチも嫁としてハナが高いわ!!!」 「何故…あなたが…⁉︎ おかしくありませんこと…⁉︎」 テラとリンにいつもの掛け合いが始まった… 「あれ…⁉︎ そう言うたらヘナチョコは…⁉︎」 「…ここだよ!!!」 僕がポンポンとポケットを叩くと… キュンキュンキュンキュン… アラーム音が響き出した。 カプセルをポケットから取り出して開けると… …ボワン… 「ふわぁ〜よく寝た…!!!」 「あああ…!!!ミ…ミカ…水着姿だよ…!!!」 「あっ…いけない…テヘッ!!!」 可愛く舌を出したミカはパチンと指を鳴らすと… いつもの可愛い洋服に身を包んだ。 …純さん… 頭の中にアリスさんの声のテレパシーが…!!! …ここは思いがけず人が多すぎて… こんなにいると… 間者が紛れ込んでいる可能性もあります!!! だから任務の話は宿に帰ってからにします… …分かりました!!! テレパシーでの話を終えて… 「カンパーイ!!!」 「カンパーイ!!!」 皆に優勝を祝ってもらう… 「お待たせしました〜!!!」 テーブルの上には… 沢山の美味しそうな料理が並べられた… 「うんわぁ〜!!!」 「ま、まあまあですわね…」 「こ、これ…高そうな料理やけど… 全部食べてもええんか…⁉︎」 「フッフッフッ…大丈夫ですよ… これがありますから…」 アリスさんは胸元から金色のカードを取り出した。 「これが噂のグランカード!!! ポイント還元率も高いのです… 女王様が出して下さいますから… ご遠慮なく召し上がって下さい!!!」 …いっただっきまーす!!! 僕達は遠慮なくご馳走を平らげることに全力を尽くした… 「ウップ…も…もう食べられへんわ…」 「オホホ…あなたのお腹… まるで…妊婦さんですわね…」 「うーん!!!美味しかったよ〜!!!」 「へ、ヘナチョコ… あんたバキュームカーかいな…」 「ちょ…ちょっと…トイレに…」 僕がトイレに向かう時… 会計の事でアリスさんと店員が話し合っている姿を偶然見かけてしまった… 「えっ…それじゃ…カードは…」 「すみません… ウチは現金払いのみとなってますので…」 「ど…どうしよう…そんな金額…… そうだ…!!!」 彼女は自分がしているペンダントを店員に差し出して… 「…グラン・プラチナのペンダントです…!!! これでお願い出来ますか…⁉︎」 「わ、分かりました…」 ペンダントを受け取った店員の顔がひきつっていたのが見えた… よほどの値打ちがあるに違いない… だけど… 出会った時からずっと… 彼女はあのペンダントをしていた… きっと…彼女にとって…大切な… 彼女が席へと戻った後、僕は店員を呼び止めた… 「すみません…」 「さあ…食事も済んだし…宿へ戻りませんか… 旦那様のお身体のアフターケアもございますし…」 「あーっ!!!また純をベタベタ触るつもりやな… そうは………なんや、姉ちゃん…元気ないやん…⁉︎」 テラはアリスさんの表情(かお)を覗き込む… 「な…なんでもないですよ… さあ…帰りましょう…」 アリスは後ろ髪を引かれるように店を後にした… …アンジェ女王様…すみません… 私が魔法学校を卒業する時に女王様にお部屋に呼んで頂いて、お祝いのお言葉と一緒に頂戴した…あの…グラン・プラチナのペンダント… どうしても純さんの優勝をお祝いしてあげたかったのです… どうか…どうか…お許しください… その時…突然、純がアリスに耳打ちしてきた… 「…アリスさん…」 「…はっ……ど…どうしました…⁉︎」 「どうやら…尾行されているようです…」 驚いて振り返ると…なるほど…人の姿こそ見つからないが…確かに妙な気配が辺りに漂っている… …な…何てこと…そんな事にも気づかないなんて… 私…魔法軍の隊長としても… 魔導士としても…失格だわ…
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