心残り

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心残り

僕達は丘から城下町をしばらく眺めてから宿に戻ることにした… 「しかし…決勝戦でヘナチョコがあんな極大呪文を使うとは思わへんだわ…」 テラがミカを見つめて呟いた。 「本当ですわね。いつもは天然な感じですのに…」 リンも不思議そうにミカを見つめる… その時、一匹のハチがミカの顔の前を横切った… 「きゃぁぁぁぁ…!!! ミカ…ハチ嫌い!!!ハチ嫌い!!! もう…え〜い!!!」 …バリバリバリバリ… ミカはハチに向かってカミナリを落とした…がそのカミナリは何故か純の頭上に落ちた。 「ぎゃぁぁぁぁ…!!!」 「わ〜っ!!!…純くん!!! ゴメンなさい!!!しっかりして〜!!!」 純は目を回している。 「やっぱり…天然やな…」 「確かに…」 テラの言葉にリンが頷く… アリスは苦笑いしながら…純を見つめていた。 「私……やっぱり…」 「よう…女王様はいるかい…⁉︎」 「あ…あなたは…オーケアノスの…急ぎ、お取り継ぎしますので…少々お待ちくださいませ…」 クーファ国王がふらりとグランアンジェ王宮に姿を現わした。 「チェッ…少々…お待ち下さいって… めんどくせえなぁ… スマンが勝手に入らせてもらうぜ…」 クーファ国王は女王様の部屋の前に瞬間移動した… …コンコン!!! 「誰じゃ……⁉︎」 「よう!!! 女王様…勝手に上がらせて貰ったぜ…」 「これはこれは…オーケアノス国王… そろそろご連絡をお待ち申していたが… まさか自ら…こちらに足を運んで頂けるとは…」 …パチン!!! 女王様は指を鳴らして自慢のティーセットを魔法で出された… 「クーファで結構だよ…国王も結構ヒマだからな…全部…大臣に任しているよ… それより…アイツ…優勝したみたいだぜ!!! さすがは俺の一番弟子だ…!!! アンタが俺に昔のよしみでアイツを預けてくれたお陰さ…」 「昔のよしみ……⁉︎」 「とうとう探し出したんだな… アンタの心残りに決着をつけるカギを…」 「それは…一体…どう言う…⁉︎」 「…まさか…アリスちゃんから聞いてないのか…⁉︎ アイツは…純は…レックの転生体なんだ…」 「………なっ…!!!!!」 …パリィィィィィン!!!!! 女王様の手からティーカップがこぼれ落ちた。 「わ〜っ!!!ス、スマン… アンタの気持ちも考えずに… 何千年…何百年もの間も…ずっと…」 「それはよい……それは… しかし…クーファ殿…それは真実(まこと)なのか…⁉︎」 女王様はもう一度パチンと指を鳴らす… まるで瞬間に時間が巻き戻っていくかのように… 床に散らばったティーカップの破片とハーブティーが元通りになって女王様の手の中に戻った。 「ああ…この目で見た…紋章を… でも…奴は記憶を失って…能力(ちから)も… 自分で封印してしまっているようだ… やはり…レックは…ヴェラさんのことが…!!!」 「お願いだ!!!」 女王様は両手で顔を隠して叫んだ… 「その事は思い出させないでくれ… クーファ殿…頼む…!!!」
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