嫉妬

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嫉妬

「分かった…女王様…!!! じゃあ…本題に入らせて貰うぜ… ズバリ…明日の晩餐会の事だが… 純達にかき回して貰うのか…⁉︎ 一体…どうするんだい…⁉︎」 「勿論…相手の出方次第だ… さて、ソリュー国王はどう出るか… シラを切るのか…⁉︎それとも…」 「まぁ…奴らの事だ… 普通には帰してくれなさそうだから…乗り掛かった船だと思ってこっちで預かるわ… まあアイツの所なら大丈夫だろ…⁉︎ 女王様も気をつけてな。」 「クーファ殿…済まぬな…かたじけない。」 「じゃあまた連絡するわ…」 そう言うとクーファ国王は帰って行った… 純は…宿の自分の部屋のベッドの上で武闘大会のことを思い出していた… 昨日と今日の二日間…色々な事があり過ぎた… 「これって…一体何なのかなぁ…」 純は音叉の棒を見つめていた… カプセルを奪われるミスもあったから手放しでは喜べないし…むしろ、アリスさんや三人の守護神に助けられて幸運にも優勝する事が出来た… でも、晩餐会の後…これからどうなるんだろう。 グランアンジェの騎士にして貰ったと言っても…僕はただの異世界の学生。 元の世界にずっと戻る方が良いのだろうか…⁉︎ その時、守護神(カノジョ)達とはどうなるのだろう… 純が天井を見上げていると …コンコン!!! 部屋をノックする音が聞こえた。 「純くん…!!!わ〜い…!!! 遊びに来ましたぁ…!!!」 とミカがジャンプして… ベッドの僕の身体の上にまたがった。 「もう………!!!」 「えへへ……」 僕は昼間のミカとの口づけを思い出した… 「ミカ…」 「純くん…」 ミカも僕の表情から同じ事を考えているようだ。 ベッドの上で重なり合う…口唇と口唇… その時…ドアが開いて…テラとリンが入ってきた… 「…純…遊びに…!!! あ、あんたら何やってんねん…!!!」 「だ、旦那様…!!!」 テラは凄い形相で無言で僕達に近づいて… 僕の上にいるミカを押しのけた。 「キャッ…!!!」 テラは強引に僕の口唇を奪った… 長く熱いキスだ… ミカの口唇とはまた違った、しかし甘くて柔らかい感触が僕を包む… 「ズルいわ…純…ウチもこんなに好きやのに…」 「旦那様、失礼致します。」今度はリンがテラを押し退けて…彼女の柔らかな口唇の感触が… 僕は…ミカとの口づけを見られた罪悪感からか… 二人の行動を全く拒むことが出来なかった。 「痛いなぁ…何すんねん!!!」 「あら、私の旦那様よ…!!!」 テラとリンは今にも取っ組み合いになりそうだ。 ミカは泣きそうになっている。 「みんないい加減にしてください!」 部屋中に大きな声が響き渡った。 声の主はアリスさんだった。 こんなに怒ったアリスさんを見るのは初めてだ… 「ここをどこだと思ってるんですか? 今はソリューに潜入調査中ですよ。 女王様から連絡があるまで待機するように言われました…それをお伝えするために来たのに… …純さん…プライベートタイムだとしても、マナーというものがあります… 私は他人(ひと)の恋愛観に口を挟むつもりはありません。 ただ…複数の女性と交代にキスするのはいかがなものでしょうか…⁉︎」 その時…彼女自身は気づいていなかったかもしれないが…アリスの目から一筋の涙がこぼれた。 それを見た純はアリスに対して本当に申し訳ない気持ちになり… 「すみません…」 アリスもハッと我に返って…自分が純にぶつけた気持ちの名前を考えると… 「わ…私も身分もわきまえずに出過ぎたことを言いました…すみません…」 そう言ってアリスは部屋を出て行った… アリスは開いていたドアの中を覗くつもりは無かったが、隙間から純たちの様子が見えた… 純が守護神達に愛されていても、今まではさほど気にならなかったが… 純が…他の女性達とキスをしている姿を見たら、何故か怒りが込み上げて…自分でも感情を抑えることが出来ず、気がつくと部屋に入って叫んでしまったのだった… 僕は三人に謝った。「ゴメン…みんな…僕が悪かったよ…本当にアリスさんの言う通りだ…!!!」 「ううん…純くんは悪くないよ…ミカ、ちょっとだけ調子に乗ってたかもしれない…」 「ウチもや…いつになくカッとしてしもたわ… 純、ゴメンやで…!!!」 「私…旦那様に恥をかかせてしまって… 妻として失格ですわ。」 アリスは一人ぼっちの部屋で純にもらったペンダントを見ながら涙を浮かべた… 溢れてくる涙を抑えきれず両手で顔を覆った… 「何をやってるんだろう…私は…」
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