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サヨナラ
キュンキュンキュンキュンキュンキュン…
突然…僕のポケットで三つのカプセルが鳴り響いた…
「そ、そうだ…ミカ達に…」
僕はカプセルを全部開けた…
「ボワン…!!!」
「ボワン…!!!」
「ボワン…!!!」
水着の守護神達が現れた…
「純くん…!!!」
「事情は全部カプセルの中で聞いたで…
さあ…ソリューに戻ろうか…⁉︎」
「そ…その前に…みんな…服を…!!!」
「あっ…そやな!!!…パチン!!!
これでええやろ…⁉︎
そしたら…」
その時…クーファ先生から僕達にテレパシーが…
「リン…リン…!!!」
「お父様…!!!」
「純を…純を止めてくれ…!!!
今…アイツまで捕まったら…」
「コホン!!!」
リンは一つ咳払いをして…
「お父様…全て事情は伺いました…」
「そ、そうか…だったら…」
「私はお父様のような聡明な男性を自分のパートナーにしたいと常々考えてまいりましたわ…
そして…お父様が連れて来られた…周りを大切にして前向きに頑張る旦那様のことが頭から離れなくなって…私は自分のカプセルを預けました…
そして、今ほど自分の考えが正しかったと思ったことはございません…
お父様に逆らうようですが、私は…自分の誇り高い旦那様について行きます。今まで本当にありがとうございました…
さよなら…お父様…お元気で…」
「ほな、行くで…!!!」
僕達四人はカプセルを使って瞬間移動した…
「リン…リン…畜生!!!
アイツら…若い時の俺みたいなことしやがって…!!!」
呆れ顔のクーファだったが…
純達の事を思うと少し笑いが込み上げてきた…
「…仕方ない…こうなったらアイツに頼むか…⁉︎」
城門の前に飛んだ僕達だったが…
当然、アリスさんの姿も男達の姿も跡形も無く消えていた…
「さて…どうやって…」
その時…僕達の横を馬車が走り過ぎようとした…
馬車の中に酔っ払って寝ている一人の貴族の姿が見えた…
その姿を見た純は
「これだ…!!!
みんな…良いアイデアが浮かんだよ…!!!」
そして…ソリュー王宮に向かう一人の貴族の姿があった…
「すまないが、晩餐会で大切な時計を忘れてしまってね…お取り次ぎを。」
「そうですか…分かりました。少々お待ちください…」
兵士は王宮の中に走り去り、すぐに戻ってくると…
「そのような忘れものはないそうです。お引き取りを。」
「おかしいなぁ…」
と言うや否や、貴族は兵士の後ろに回って手刀で峰打ちをした。
兵士はその場に崩れ落ちた…
「上手くいったで。」貴族のポケットの赤いカプセルが小声で囁いた…変化の術が解かれて純の姿が現れた…
気絶した兵士の鎧を着て純は城内を探した。
アリスは牢の中でペンダントを見つめていた…
彼女はむしろこれで良かったと思っていた。
女王様もクーファ国王も自分を信頼はしてくれているとは思うが、任務を遂行して初めての信頼である。失敗は全て自己責任。一兵卒の自分を助けることはない。
そして純に感じた初めての感情。幼い時から魔法を学び、気がつけばグランアンジェの民を守ることが自分の誇りだった。でも…純には三人の守護神がいる…
このまま誇りも恋も中途半端に失うなら自分はこのまま消えてしまった方がいい。
彼女はギュッとグラン・プラチナのペンダントを握りしめた。
「さようなら…」
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