海底都市へ

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海底都市へ

「叔父様…⁉︎…やっぱりルーニー叔父様だ…」 リンが男に駆け寄る。 「リン…久しぶりだな。」 「どうなされたのですか…その格好は…⁉︎」 「兄さんに呼ばれたのさ…ちょっと手伝えって…」 叔父様…兄さん…⁉︎ リンはこの(ひと)を知っているようだ。 「はじめまして…あの…助けて頂いてありがとうございます…弥生 純と言います。」 「ああ、聞いてるよ…リンの旦那だろ…⁉︎ 俺はルーニー…クーファの双子の弟さ…」 「先生の…そうでしたか⁉︎」 「俺は元来…風来坊でね。色々な所へ旅をしているんだが、兄さんに頼まれて少し前からソリューの動きを調べていたのさ。 まあ…お前さん達とほぼ一緒だ。武闘大会には出てないがな…それよりお前さん達…これから出発するが…準備はいいのかい…⁉︎」 「えっ…出発ですか…一体何処に…⁉︎」 「なるほど…下の世界ですね…」 リンがポンと手を叩いた… 「下の世界…?」 「そう…またの名を海底都市さ。」 海底都市と聞いて…僕は海の底に消えたという古代文明のアトランティスを思い浮かべた… しかし…水圧を利用して上下動するカプセル状のエレベーターみたいな乗り物に乗って…ルーニーさんに連れてこられた街は地上のそれと何ら変わらなかった。唯一違うところと言えば空である。 太陽の光は水面に映っているように揺れて見える。ルーニーさんによると水面がレンズの役目をして昼間は地上より明るく夜は真っ暗になるらしい。それでも光る海藻がここ…海底都市を覆っているので幻想的(ロマンティック)な光がウケてリゾート地として有名なのだとか… 「お前さん達はこれで完全にソリュー国王に狙われることになった…人の出入りを禁止しておくから…しばらくはここで身を隠してくれ。 今頃、兄さんが女王様に話をしに行っている筈だ…宿も用意してあるから武闘大会の疲れを癒してゆっくりするといい… 「分かりました。色々ありがとうございます…」 「さあ…旦那様…私がご案内致しますわ…」 「ありがとう…リン…助かるよ…」 よく考えると武闘大会の修業の日々から休む間も無く今まで来てしまった…もうすぐ学校も始まるから…ここらでゆっくりするのも悪くないだろう。 「ゴメンなさいっ!!!」 アリスさんがみんなに向かって頭を下げた。 「私のせいでこんな事になってしまってすみませんでした…なんとお詫びをしてよいか…」 「よいしょっと!!!」 「キャッ!!!な…何をするんですか…純さん…⁉︎」 僕はいきなり彼女を抱きかかえた… 「牢屋なんかに入れられて辛かったでしょう…でももう大丈夫。これからずっと僕がアリスさんを守ります…」 「純…さん…」 三人の守護神も自分と純を見て微笑んでいる… アリスは恥ずかしい気持ちもあったのだが…その強さゆえに今まで周りから 女性として見られることは少なかった… いつも女王側近の魔導士として一目置かれていた。 今、初めて好きな男性の腕の中にいる。慣れてはいないが誰かに身を任せるこんな自分も悪くない… アリスは純の身体に身を任せて…そっと目を閉じた。
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