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海を見上げて
次の早朝…
あまり眠れなかったアリスは…ホテルを出て散歩をしていて見つけた…近くの公園のベンチで海を見上げていた。
月や星を見上げたことはあるが、水面を見上げる感覚は彼女にとって初めてのものだった…
晩餐会の前に純に言ったセリフを思い出して、アリスは自分で笑ってしまった…
「はぁ…なんであんなこと言ってしまったのかな…」
今ならミカやテラやリン…守護神の気持ちがよく分かる…
彼女達は…純が自分にとって唯一無二の存在であり、自分の事を大切に想ってくれることが分かっているから人がどう思おうが関係ない…
ただ自分の気持ちに正直に生きているんだ…とアリスは彼女達に羨ましくも敬意に似た気持ちを抱いていた。
ゼリーフィッシュの群れが揺れる太陽の方へ近づいていく姿を見ながら…彼女は一つ大きなため息を吐いた…
クーファ国王が純が泊まっているリゾートホテルを訪れた…
「よう、元気にやってるか…⁉︎」
「あっ、先生…その…こないだは大変失礼なことを言ってしまってすみませんでした…
ルーニーさんのことも含めて…
色々助けて頂いてありがとうございました。」
「なあに、お前さん達は何も間違っちゃいなかった…
むしろ…自分の信念に従って行動するお前さんにリンをやって良かったと思ったよ。」
「だってさ、良かったね…リン。出ておいでよ。」
リンは僕の腕を掴んでバツが悪そうに顔を出した。
「あ、あの…お父様、こないだは…その…」
クーファ先生は嬉しそうに笑われた…
「本当に良い男を捕まえたな。大事にしろよ…」
僕とリンは顔を見合わせた。
そしてリンに可愛い笑顔が戻った…
エルドラの王宮では、グランアンジェの女王がエルドラの大臣と緊急会談を行っていた。
「それでは、あくまでエルドラは単独でソリューの侵攻に対抗されるのだな…」
「はい。それがジーク王子の意志なのです。王子は…その…」
「構わぬ…申されよ…」
「グランアンジェもオーケアノスも信用してはいけない。我々は我々のやり方でソリューに対抗すると…」
「そうか…まだ…あの時の事を…
今、国王と話すら出来ない状態で我々が王子のやり方に口を出すのは内政干渉になりかねない。
仕方がない…エルドラをそちらに返還致します。
我々は変わらずオーケアノスと連携していきます故…
気が変わられることを願っていると王子にお伝え願えますかな?」
女王様は後ろ髪を引かれる思いでエルドラを後にされた。
「やはり歴史というものは繰り返されるのじゃな…」
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