仁王立ちのクーファ

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仁王立ちのクーファ

純の予感は的中した… エルドラがグランアンジェを侵攻すると同時にソリューがオーケアノスを侵攻していた… 「さあ…!!!次はどいつだ…⁉︎ 死にたいヤツからかかってこい…!!!」 血だらけで…満身創痍のクーファが叫ぶ。 「ぬおぉぉぉっ…!!!グンニグル…!!!」 虹色の紋章が輝き…腕から槍が幾重にも飛び出す… まるでトライデントをマシンガンのように繰り出す… 達人のクーファ国王ならではの技である。 一撃でソリューの兵士達を…少なくとも十数人はなぎ倒した。 「な、なんてヤツだ…国王なのに国の誰よりも強いとは…!!! 正に一騎当千とはヤツのことだ…!!!」 「ええい…何をしている!!! 我等はヤツと同じ神族だ…怯むことはない!!! 引導を渡してやれ!」 さらにソリューの兵士がクーファ国王に襲いかかろうとした…その時… 「うわぁぁぁ…!!!」一瞬にして兵士が炎に包まれる… 「RE:LOAD…!!!」アリスの両手から炎の球が瞬く間に繰り出され、次々とソリュー兵士達を襲う。 次々とグランアンジェ軍の魔法使いがオーケアノス上空に瞬間移動し、オーケアノスの兵士達と一緒にソリュー軍を取り囲んだ。 「この数…ま…まずい!!!…撤退だ…!!!」 ソリュー軍は撤退を余儀なくされた。 アリスはクーファに駆け寄ろうとした… 「キ…キャァァァァァァッ…!!!」 クーファの足元には血の水溜りが出来ていた… 目も虚ろに宙をみつめながら… 「ソ…ソリューは…?」 「て…撤退しました…皆…無事です。 国王様が守られました…!!!」 アリスは目に涙を浮かべた… 純達はグランアンジェでアリスからの連絡を待っていた。自分達もオーケアノスに行ってしまうと第二、第三の侵攻の可能性もある…アリス達を信じて待つ事にした。 そして… 「純さん…」 アリスさんから連絡が入った…!!! 「アリスさん…どうし…」 「事情は後で話します… 医務室のベッドを空けておいて貰えますか…」 「わ…分かりました…!!!」 「純よ…」 「そのお声は…女王様…!!! お姿が見えなかったので…心配していました… でもご無事だったんですね…良かった!!!」 「うむ…わらわには… どうしても守らねばいけないモノがある故… 皆に迷惑をかけてすまぬ…」 「女王様…アリスさんが…」 「うむ…話は聞いておった…医務室は万全の準備を整えておる…怪我人を受け入れてやってくれ…」 「純…女王様が魔法で王宮の残りの火を全て消してくださったわ…それとバリアまで… 取り敢えずウチらもそっちへ帰るで!!!」 「ああ…ありがとう…テラ… リン…もうすぐルーニーさんが帰ってこられるよ…」 「分かりました…叔父様にお怪我が無ければ良いのですが…」 そして…ようやくルーニーさんとアリスさんの姿が見えた… 「お二人ともご無事だったのですね…よかっ…」 みんな安堵の溜息が漏れた瞬間、僕達は信じられない光景を目にした。 ルーニーさんがおぶっているのは…先生…!!! クーファ先生だ…!!! 血まみれでぐったりされている…横で絶え間なくアリスさんが回復魔法をかけ続けている。 先生のお姿を目の当たりにしたリンは眼をいっぱいに開いて叫ぶ… 「お…お父様あぁぁぁぁ…!!! いやぁぁぁぁ…!!!」 「リン…!!!」 彼女はクーファ先生に駆け寄って号泣する。僕はリンの肩を抱いて背中をさすってやること位しか出来なかった。 「医務室は用意出来てるか…!!!それと医療チームもだ!!!」 「はい…!!!準備OKです…女王様がすぐにでもと…」 「有り難ぇ…!!!恩に着るぜ…!!!」 その後…ルーニーさんとアリスさんは医療チームにクーファ先生を任せて事の顛末を僕達に教えて下さった… 「そんなグランアンジェを守るために… 先生…たった一人で…」 僕は涙が溢れ出した… しかし、僕が泣いている場合ではない。本当に悲しいのはリンやルーニーさんだ… 後は先生の生命力と医療チームに任せるしかない。 医務室の前でどうする事も出来ずに佇んでいると… 女王様が僕達の前にお見えになった… 「おお…クーファ殿…かたじけない… まんまとソリューの策にハマってしまったわ…」 「女王様…女王様の責任ではございません…」 「お主は…⁉︎」 「クーファの弟のルーニーと申します… 以後お見知り置きを…」 「おお…弟君か…なるほど…よく似ておられる… …皆の者…幸いにも今、攻撃は収まっている… アリスやルーニー殿は夜を徹しての闘いとなってしまった… 疲れていては正常な判断力が鈍る… ベッドを用意してあるので皆、休める者から休んで欲しい… 済まぬ…ルーニー殿…ちょっとわらわと一緒に来て欲しいのじゃが…」 「私がですか…分かりました…」 女王様の計らいで用意して頂いた部屋にリンを連れて入り、一緒にベッドに横たわった…泣きじゃくるリンをずっと腕に抱いて、僕達は少し眠りについた… 城の地下牢で、女王様とルーニーが牢の中を見つめていた。 「純達が捕らえてわらわがここに放り込むように命じたのじゃ… エルドラもコイツが居らんと烏合の衆じゃからな…」 「なるほど…コイツ…どうしてやろうか…⁉︎」 二人が見つめた視線の先には拘束具をつけられたジークが二人を睨んで寝転がっていた……
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