民に寄り添う

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民に寄り添う

その頃…ソリューではオーケアノス侵攻失敗に腹を立てたロークが次の作戦を練っていた… 「おのれ…クーファめ…あやつの力量を見そこねたワシのミスじゃ… それにしてもこの同時侵攻を見破るとはグランアンジェにはよほどの軍師がついておるな… この後…向こうがどう出るかわからんが、よほど気を引き締めてかからんと… だが…こちらには切り札があるぞ…ヒッヒッヒ…」 「今しかねえって…!!!」 ルーニーが叫んだ。 「今、グランアンジェもオーケアノスも苦しい状況だ。 でも…エルドラの王は我が手にある。 エルドラを叩いておけば…ソリュー単独で我等連合軍には勝てないだろう…叩くなら…今しかねぇよ…!!!」 「ふむ…純はどう思うのじゃ…⁉︎」女王様は純の方を見る。 僕の脳裏にはあの人々が… 手と手を取り合って逃げ惑うグランアンジェ王宮の人々が蘇ってきた… 「…すみません…僕は戦闘のことはよく分かりません。 だから…女王様やルーニー国王代理が攻めると言われるならそれに従います。ただ…」 「ただ…⁉︎」 「僕はミカと知り合って…こちらの世界に来て…ここにおられる皆さんと知り合いました。 そして女王様の民を思われるお気持ちに感銘を受けて…クーファ先生から人として大切なことを教えて頂いて…今、ここにいます。 僕が心から尊敬するお二人が治める国に住んでいる民は幸せだと思います。」 「…純よ…一体…何が言いたいのじゃ…⁉︎」 「今…エルドラ国民は何を考えているのでしょうかね…? 新しい国王が隣国に攻め込み、失敗し、報復に怯えている人達がいるのではないでしょうか…? 毎日…頑張って生きる為に働いて…愛しあったり…子供の成長を家族で喜んでいる人々がエルドラだけではなく、ソリューにもいるでしょうね… ジークやロークの勝手な施政方針によって一番不安に怯えているのは国民です…エルドラの国民は本当はグランアンジェやオーケアノスと戦争なんかしたくないと思います… 聡明な女王様や僕が尊敬してやまないクーファ先生なら国民に寄り添われることを一番大事にされるだろうと僕は信じています…」 「おお…なんと…」 女王様は純の目をじっと見つめる… 「純よ…お主は本当に大きくなったのう… 初めてわらわと会った時には少年の面影があったものだが…今はお主が誰よりも大きく見えるわ… そなたの気持ち…よく分かったぞ… 我が国、オーケアノス、そしてエルドラの国民に何が出来るのか一緒に考えようではないか…⁉︎ のう、ルーニー国王代理。」 「はっはっは…!!!まさかお前さんに教えられるとはな…きっと兄貴の目が覚めたら怒られるだろうな…有難うよ…」 「…旦那様…」 「…リン…」 父を想って泣いてばかりいたリンも僕の手を強く握りしめた。 「やっぱり私の選択に間違いはありませんでした。あなたと共に幸せな故郷…オーケアノスを… この世界を取り戻したい。 私、もう泣きません。あなたと一緒に闘います… お側に置いてください。旦那様…」
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