衝撃の告白

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衝撃の告白

愛した(ひと)…ヴェラ…⁉︎ …ダメだ…何も思い出せない… 女王様は僕の顔を覗きこまれて… 「純…思い出せる訳が無い… そなたはあまりにも悲しい運命故に…自分で記憶を断ち… この世界からも離れてしまったのじゃ…」 女王様は窓から外を眺めながら…続けられた… あの頃が…本当に懐かしい… 世界樹(ユグドラシル)…大樹の枝葉から漏れるヴァーミリオンの光… わらわの本当の名前はクララ…世界樹の番人じゃ。 みんな…我等を女神(ノルン)と呼んでいた。 毎日…二人の姉と世界樹に水を与えて… 楽しく暮らしておった。 「あの…クララさん…!!!」 「おお…レック殿ではないか…」 「アハハ…黄金の林檎が手に入ったんだけど…」 「あ…分かったぞ…ヴェラ姉様じゃな… う〜ん…!!!ここは広いからのう… 多分…向こうの方で水やりをしておると思うぞ…」 「ありがとう…!!!」 お主…魔王レックは神々も恐れる存在…しかし、 三姉妹の次女、ヴェラはそんなお主が唯一心を許せる存在だった… 「おーい!!!ヴェラ…!!!」 「レックさん…!!!」 「黄金の林檎を持ってきたよ…」 「やったぁ…ありがとう…!!!」 二人は世界を一望できる丘に腰を下ろした… 「うーん…やっぱり美味しいね…!!!」 「君が喜んでくれて嬉しいよ… あっ…(タネ)があったら僕が貰うね…」 「種…どうするの…⁉︎」 「畑に撒くんだよ…僕達が食べる為に木からもいでしまったから…林檎の木に申し訳なくってさ… でも…いつか…また種が育って木になって…それが実を結んだなら…少しは恩返しが出来るのかなって…」 「レックさん…」 レックの身体を抱きしめるヴェラ… 「ちょ…ちょっと…君は女神だろう…⁉︎」 「だって…私… 優しいレックさんが大好きなんですもの…」 そんな二人を長女ユーリと羨ましそうに眺めておったわ… ユーリはヴェラと同じように…お主の少年のように無垢な心に惹かれておったがのう… 「レック…」 「何じゃ…ユーリ姉様…また二人を覗いておるのか…⁉︎ お主もレック殿が…⁉︎ あ〜もう…まどろっこしいのう… 好きなら好きと言えば良いではないか…」 「でも…ヴェラが… 良いんだ…あたしはあの二人を見ているだけで… それだけで…あたし…」 しかし、人間や動物、神々の混沌とした種族間抗争やそれが巻き起こした長く冬が続く天変地異に優しいお主も我慢出来ず…世界の全てを業火で焼き尽くしたのじゃ… それでも、お主は愛すべきヴェラと我等…ユグドラシルの民だけは大切に残した… しかし業火の中…生き残った神の一人…天魔は世界樹の生命力に目をつけた。その力を自分のものにするために、わらわが留守の間に姉二人に手をかけたのじゃ…二人はもう決してお主の生と交わることは失くなってしまったのじゃ… 世界を焼き尽くした代償にお主は最後にヴェラ姉様の顔を一目だけ見ようと… 「ウ…ウ…ヴェ…ラ…」 青白い炎に包まれながらレックは世界樹の近くへ降り立った… 「ク…ララさ…ん…」 「レ…レック…レック殿…」 「僕は…長い旅に出る… だから…最後に一目だけ…ヴェラ…に…」 「ヴェ…ヴェラ姉様は………」 「な、なんだ…って…それじゃ…もう… ゆ…許せない…君が…いない世界なんて…失くなってしまえばいいんだ…」 そして…レックは青白い炎に包まれて…姿を消した。 「…わらわは決して天魔を許せなかった… わらわの使命は世界樹の番人ともう一つ… 戦乙女(ワルキューレ)として世界を悪の野望から守ること… 天魔はやがて人間へと転生した。」 「それが信長…ですね…」 「そうじゃ。奴は第六天魔王を名乗り、異世界をも支配しようとした。 わらわは信長の正室、帰蝶に転生し、密かに信長の動向を調べた。その時、どうやらあやつもわらわの正体に気付いていたようじゃ。 そして二度目の転生で、わらわはグランアンジェの女王…アンジェ・マリア・オルタリア十四世として国を治めつつ… 信長の転生…ロークの野望を打ち砕く術を探していたのじゃ。 それとわらわはロークの手に落ちた二人の姉様があまりに不憫(ふびん)でこの世界の禁忌の魔法とそなたの世界のクローン技術とを組み合わせて、姉様の遺骨から姉様の遺伝子を持つ守護神を生み出したのじゃ。」 「女王様、ま、まさか…」 「そのまさかじゃ… そなたのミカ殿…そして信長のリーエル。二人の守護神はわらわが作り出した姉様達の複製(クローン)なのじゃ…!!!」
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