恋人との再会

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恋人との再会

ガチャッ…パタン… 僕は女王様のお部屋を後にした… 女王様は…未来を司る女神…スクルド様が転生されたお姿だったんだ… そして…ミカは… 僕が前を向くと…部屋の前でアリスさんは涙を浮かべて僕を見つめていた… 「すみません…聞こえて… いいえ、聞いてしまいました。 純さん…私…私は純さんが好きです。大好きなんです。 ミカさんがこんな時にダメなのは分かっているんです… でも…でも…」 僕はアリスさんに微笑みかけた。 「ううう……」 アリスさんは僕の胸に飛び込んでくる。僕はアリスさんを抱き寄せてそして口づけをした。 「これからもずっと僕の側にいて支えて欲しいです。アリスさん…お願いします。」 僕はアリスさんをもう一度強く抱きしめた。 アリスさんは涙を浮かべて「勿論です。絶対に離れません。」と僕に言って下さった… 「これ…決して高いものでは無いんですけど…」 アリスは涙を堪えて… ポケットから出したバングルを純の腕に巻いた… バングルには…ALICEという名前が彫ってあった… 「これでもう一緒ですからね…」 「ありがとう…大切にします…」 そんな僕達の姿を物陰から皆が心配そうに見つめていた… 「ううう…あの姉ちゃん…前にキスの事で怒ってたやないか…なんで自分も… ウチの純から離れて欲しいわ…」 「あなた…やっぱりおバカさんですわね… 旦那様が魅力的なんだから仕方ありませんことよ…」 「違えねぇな…色男は女のほうがほっとかねぇからよ… なあ…兄貴…」 「お前が言うなよ…お前が…」 僕は人として…男として…将来の夢が決まった。 男には…人生で何度か…自分の意志を貫いて決断しなくてはいけない時がある…僕は今がその時だと分かった。 その夢のためにはまずロークの野望を止めることが乗り越えるべき第一の壁である。 僕は…一人で世界樹の若木の部屋に入らせてもらった… 世界樹の近くに腰掛けて泉をずっと眺める… ぼうっとした光に包まれて輝く緑色のカプセルからミカの姿が現れて僕の横に寄り添う… 「レック…ヤット…アエタワネ……マッテタワ…」 僕は溢れる涙を抑えられず手で顔を覆いながら 「ありがとう…ヴェラ…ずっと愛してるからね…」 自然にそう呟いた… ミカ…いや、ヴェラは本当に嬉しそうに微笑んで… そしてまたカプセルに戻っていった。 泉の水面が少し揺れて…まるでヴェラが手を振っているように感じた。 僕は人目をはばからず大声で泣いた… 水面はやがて静けさを取り戻し…またカプセルは緑色に輝いていた。
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