消えた信長

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消えた信長

「ロ…ローク様が…」 「ひ…引き揚げよう…」 信長が倒れた今… もう他国を侵略しようという神族は居なかった… 僕は女王様とリーエルの元へとカプセルを持って歩み寄る… 銀髪の長い髪…美しい顔立ちのリーエル…彼女は悲しそうな目で僕に何かを言いたそうな表情をしていた… 「リーエル…だったよね…」 「は…はい…あの…私…」 「辛かったね…ゴメンよ…早く助けてあげられなくて…」 「あ……」 リーエルは純のその言葉と笑顔で全てが報われた気がした… ただ…一つだけ辛かったのは…嬉しくて自分で涙が止められない事だった… 長い睫毛(まつげ)を濡らす涙はもう…心から血を流している時の紅いものでは無くて…世界樹へと続いている小川の澄んだ水のように青く透き通っていた。 「もう絶対辛い想いはさせないから…今はしばらくゆっくり休むといいよ…」 リーエルはその言葉にゆっくりと頷いた… 僕がカプセルを開けると彼女は静かにそこへと帰って行った… 「おかえりなさい…」 リーエルのカプセルを胸に抱きしめた… 「純…」 「純くん…」 女王様とミカが僕の前へと歩み寄って来てくれた… 僕は胸に抱いていたリーエルのカプセルを両手でそっと女王様にお渡しした。 「女王様にリーエルのカプセルをお返しします… それと…改めて女王様にお礼を申し上げます… 僕にミカと逢わせてくださってありがとうございます。 彼女とカプセルを一生大切にします…」 「純くん…ミカもだよ…」 彼女は微笑みながら僕の手をギュッと握った… 女王様は涙を浮かべながら…大きく頷かれた。 「純…礼を言うのはわらわの方じゃ… 姉様達のこと、本当に感謝しておる。有難う…」 「あっ…純くん…あれ…!!!」 その時…ミカが指差す方に振り向くと… 突然…倒れていた信長の身体が宙を舞い、空高く舞い上がった… そして二回ほど旋回したかと思うと… ふいと消えてしまった… 「誰だ…誰の仕業だ…⁉︎」 僕は叫んだが答えはなく、辺りは静まり返っていた。
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