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生首
その頃…グランアンジェ王宮では他の二国の首長も集まって、ソリュー国王から話を聞くことになったらしい…
「しかし…凄い地震だったな…」
「それでは地震は…蛇が地面をうねるように起こったのじゃな…」
女王様のお言葉に現ソリュー国王は頷いて、重い口調で話し始めた…
「一時は国交断絶となった皆さんに助けて頂くとは…恥ずかしい限りです。」
「確かに…以前のソリューの政治理念には首を縦に触れないところがあったとしても…人道支援の理念とはまた別の問題であるからお気になさらないで結構…
それに…」
「まあ…天変地異だとしても…誰かが巻き起こした可能性もある…となると心当たりはアイツしかないよな。」
クーファ先生の言葉にみんなが頷く。
「とにかく皆が結束して対策を…」
その時…ジーク国王の言葉を引き裂くように…
「無駄だ…無駄だ…!!!」
低くて重い声がグランアンジェ全土に響き渡った…
窓から外を見ると…大きな顔が見える…
異世界の…しかも日本人の僕には…
その風貌は見覚えのある顔だった…
「サ…サムライ…⁉︎」
…といっても信長のような戦国の武将といった感じではなく…野武士みたいな荒々しさと…
この世の全てを呪っているような…禍々しいオーラに満ち溢れている…
しかし…それ以上に恐ろしいのは…
その顔には…首から下が無かった。
「な…生首…」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ…!!!」
「きゃあぁぁぁぁぁぁ…!!!」
逃げ惑う人々…
「…おのれ……!!!!!」
腰の刀に手をかけたジーク国王…
しかしクーファ国王は首を振りながら彼を諌めた…
「今はヤツよりも民だ…」
その言葉にジークも頷いた…
「分かりました…」
「ひぃぃぃぃ…!!!」
窓から生首を見たソリュー国王が驚いた…
「あ、あの顔には見覚えがあります…!!!」
生首は叫ぶ…
「どうせ…お前達が寄せ集ったって所詮…何も出来ない烏合の集よ…!!!
さっさと諦めてワシの配下になれ…そうすれば命だけは保証してやるわ…」
「だ…第一次防衛ラインを張れ…
クーファ殿…ジーク国王…自国の防衛ラインを…」
「了解…!!!」
「分かりました…!!!」
グランアンジェ女王は王宮に結界を張りはじめた。
その時丁度…僕達はソリューからグランアンジェに帰って来た…
王宮の建物の前に瞬間移動して来た時に、
いきなり生首と対面してしまった…
「うわっ…あれは一体何だ…⁉︎」
「純…アリス…みんな…無事なのだな…⁉︎」
「はい…女王様…」
「お前達は…そうか…ソリューに行っていたのだな…
ふふふ…もうすぐ…ここも他の国も同じようになるわ…」
「お前は一体誰だ…信長か…⁉︎それともロークか…⁉︎」
「フン!ワシはロークでも信長でもない…
お前らは六天魔王と言えば、信長を連想するだろうが、本当の天魔…信長の前に六天魔王と呼ばれた男がワシじゃ…⁉︎」
ソリュー国王が叫ぶ。
「お、思い出しました…
アヤツはローク前国王がかつて転生した姿…
確か…名前は平将門です。」
「た…平将門…⁉︎」
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