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女王様の涙
純とテラが流鏑馬を…リンがクーファに盾の扱いを習っている頃、ミカとリーエルはグランアンジェ女王に呼ばれて、王宮に来ていた…
「おお、ミカ殿にリーエル殿…わざわざ呼び立ててすまんな。実は二人に伝えなくてはいけないことがあってな…」
女王様の後ろから懐かしく…そして温かい目でミカ達を見つめる人が現れた。
ミカが満面の笑みで見つめた視線のその先にいたのは…
「クレアおばさん…!!!
…でもどうして王宮に…⁉︎」
「ミカ…元気にしてるかい…⁉︎
それから初めまして、ミカのお姉さんだね。クレアと言います…」
「あ…あたし…リーエルです…よろしく。」
「お姉ちゃん、クレアおばさんは私の親がわりなんだよ。お父さんとお母さんが小さな時、私を預けて…
あれ…そう言えばお姉ちゃんは…⁉︎」
「私…覚えてないんだ…気がつくとロークが『ワシがお前を親から預かったんだ…悪いヤツらをやっつけるから手を貸せ…』って…」
「ミカ殿…リーエル殿…
すまぬ、全てはわらわが悪いのじゃ。許して…いや、許せぬかもしれんな…」
「…女王様、一体…どういう事ですか…?」
「あ、あたしも知りたい…」
「いずれは…そなた達に話さなくてはいけない事なのでクレアに来てもらったのだ。
実はそなた達はわらわが魔法と科学で作り出した命…わらわの最愛の姉の生まれ変わり…複製なのじゃ…
だから父や母はおらん…実はわらわがクレアに頼んでミカを育ててもらっていたのじゃ…
今まで黙っていて本当に悪かった…」
クレアもミカに向かって頭を下げる。
「ごめんよ、ミカ。でも…これだけはホント。私はミカのことを本当の娘だと思っているよ。」
ミカはクレアを見て黙って微笑みながら頷いた。
女王様は重い口調で続けた…
「わらわには二人の姉、ユーリとヴェラがいた。しかし、そなた達も知っているロークに手をかけられ…その命を…」
「…………⁉︎」
ミカもリーエルも絶句した…
「そしてわらわは余りに不憫な二人の遺骨からそなた達を蘇らせた…二人に何としても生き長らえて欲しくて…ユーリの複製…リーエル殿、そなたのカプセルをまず異世界に送った。しかし…残念ながらそなたはロークに見つかってしまったらしい…
もう…大切な二人の姉を二度も失うわけにはいかん…
わらわはロークが二人の力を利用するのを諦めるまで…ミカ殿のカプセルを隠す為に自分の部下であるクレアに託したのじゃ。
しかし、クレアのところにもロークの影がちらほら見えてきたのでわらわは祈るような気持ちでミカ殿のカプセルを異世界に…
そして…ミカ殿のカプセルは運命的に純に巡り合うことが出来た…
わらわは嬉しくてのう…
この事は…純にも話したのじゃ…特にミカ殿は…ヴェラ姉さんは純の転生前の魔王レックと恋人同士だった故に…」
「…私と純くんが…嬉しいです…
あの…純くんは何て言ってましたか?」
「純は…記憶を失ってもヴェラ姉さんの事を想って涙を流しておった。
しかし、転生しても変わらない絆があると純は言った。
全ての人を笑顔にして見せるともな…
そして、ミカ殿。そなたとの絆で見事に信長を倒したのじゃ…」
ミカはその場でしゃがみ込んで手で顔を覆った。
「純くん…本当にありがとう…ううう…」
リーエルも口を開く…「本当に心の広い人…まるで大空みたいな…」
「そうじゃな…ヴェラ姉さんとレックを見てユーリ姉さんとわらわは二人に憧れたものじゃ。
ユーリ姉さんの生まれ代わりのリーエル殿も…純を愛してしまっても不思議ではないな…
あんなに深い愛情で包んでくれる男はそうおらんからのう…」
リーエルは頬を赤らめながら…大きく頷いた。
そしてミカも大粒の涙を流しながら女王様の前に跪いた…
「女王様、私をこの世に産んでくださってありがとうございます。」
「あ…あたしも…感謝してます…」
「そ…そなた達はわらわを恨んではおらんのか…⁉︎」
「いいえ…何故、女王様を恨むのですか…⁉︎
私はクレアおばさんに育ててもらって本当に幸せですよ…
それに純くんに会えたのはこの世界に生まれたから…
全部…女王様のおかげです。」
「あ…あたしも同じ…!!!
妹もいるし…純もいる。
この世に生まれたことを感謝してます。
…女王様…ありがとう!!!」
「…そなた達…こちらこそ有難う…
これからも末永くよろしく頼むぞ…」
女王様も大きな瞳から大粒の涙を流された…
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