純のために

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純のために

そして一頻(ひとしき)り泣かれた後で…女王様は涙を拭ってミカ達に言った… 「すまぬ… ずっとそなたらのことが気になっていたものじゃからな… しかし…そなたらを呼んだのはそれだけでは無いのじゃ… 今日、クレアをここに呼んだのはそなた達にしか出来ないことを頼みたいからなのじゃ。」 「あ…あたし達しか…⁉︎」 「実は…クレアは魔法使いの中でも薬品調合のエキスパートなのじゃ。我が国で右に出る者はおらん。 そしてそなた達は生まれ代わりと言えど…わらわと同じ…女神(ノルン)である… 女神は特殊な能力を持っている代わりにとても非力である。そなた達が覚醒して凄い能力を発揮できるのは紋章の力が大きいのじゃ…」 「確かに…私達は力は強くありません… しかし…薬品と私達とどんな関係があるのですか?」 「実はクレアは力を逆転出来る薬を発明したのじゃ…」 「ち…力を逆転…⁉︎」 「力が強い者が服用すると力が弱く…力が弱い者が服用すると力が強くなる薬じゃ。 非力なそなた達が飲めば必ず純の助けになる…」 ミカとリーエルは顔を見合わせて頷いた。 「女王様…私達も何か純くんの力になりたかったのです… 今日…お呼び頂いた時に何かアドバイスを頂きたく思っていたのです…」 「そうか…しかしな、この薬には問題点があってな…」 「問題点…⁉︎」 「副作用じゃ…」 「えっ…ふ…副作用…ですか…⁉︎ い、一体どんな…」 「…実はこの薬は毒でもあってな、効き目も副作用もすぐに消えるのだが、力を込めると 全身に激痛が走る… 本当は勧められるものではない。 決めるのは…お前達じゃ…」 二人はお互いの目を見つめて…そして頷いた… 「大丈夫です…薬を下さい…」 「あ…あたしも… 純とこの世界を救えるなら…例え…」 「ダメじゃ…」 リーエルの言葉の先を遮ったのは他でもない… 女王様だった… 「そなたらは絶対にわらわが守ってみせるぞ… 女神(ノルン)は三人で一つじゃからな…」 「ミカ…リーエルさん… 出来る事なら使わないでおくれよ…」 将門の話を聞いて…止むを得ずこの薬を使う事を女王様に進言したクレアは二人に一錠ずつ薬を渡した… 女王様は自分にも言い聞かせるように二人に告げた… 「純とこの世界を…頼んだぞ…!!!」 エルドラ王国ではジークが山奥の洞窟に向かうために準備をしていた。 「あなた…本当に大丈夫ですか…⁉︎」 「心配をかけてすまない…クローネ… どうしても行かなければいけないのだ…!!! 俺はアイツ…純に借りがある… 今こそ…その借りを返す時なのだ…!!!」
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