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ウルの弓
流鏑馬の特訓でどんな体勢でも…スピードがついても矢は的を射られるようになった。
「ウチもすごい体力ついたで…!!!純と何回でも愛し合えるわ…うふふふふ…」
テラも妄想モードに入れる余裕も出てきたようだ…
その時、アリスさんからの連絡が入った…
「純さん…ソリューにまた将門が現れました…将門は他の魔王属と自分の居城をソリュー王宮跡に建設しようとしているみたいです。
そして…ソリュー国王は将門に屈して国王の地位を譲ると表明しました。くっ……」
国王も国民の安全を第一に考えてのことだろう…
仕方ないとはいえ、このままにしておいてもソリューの未来はない…
「くそっ…とにかく弓が通用するか…
やるだけやってみます…!!!」
「あっ…純さん…それなら私も…」
居ても立ってもいられずに僕は覚えたての弓を持ってアリスさんと守護神達とソリューへと向かった…
アリスさんからの報告通り…ソリュー王宮は取り壊され、新しい魔城の建設が始まろうとしていた…
「あ…あの美しい王宮がこんな姿に…」
武闘大会の頃からは想像もしていなかった姿に僕達は目を疑った…
その時…背後に禍々しい気配を感じて振り返ると…
そこにはまたあの生首が黒い瘴気を纏って浮かんでいた…
「ほう…まさかお前が自分からやって来るとはな…
褒めてやりたい気持ちはあるが…
しかし…もういいのでは無いか…⁉︎
何度やってもワシは倒せんぞ。」
「それはどうかな?」
僕はウルの弓に矢をつがえた…
将門は動揺する…
「ま…まさかそれは…俵藤太の…⁉︎」
「俵藤太…⁉︎ うぉぉぉぉっ…!!!」
僕は矢を放った…
矢は見事に将門の顔面を捉えた…しかし…
…キィィィィン…!!!
しかし…矢は将門の皮膚を貫くことなく敢え無く弾かれた。
な、何故だ。あれは将門の弱点じゃないのか…⁉︎
将門はホッと胸を撫でおろした…
「ば…馬鹿め…⁉︎
そんな鈍な弓でワシを倒せるか…!!!」
と黒蛇の剣を繰り出した。
「純さん…危ない!!!」
アリスさんは僕を抱きしめて瞬間移動した。
「ウ…ウチらも帰るで…」
守護神達も同じように続いてソリューから脱出した…
グランアンジェ王宮に瞬間移動したアリスさんは僕を抱きしめながらこう言った。
「もう…もうやめてください…⁉︎
あなたが傷ついたら私、私はどうしたらいいのですか…⁉︎
…私はあなたを失いたくない…
作戦を立てましょう…あなたはみんなに命令して下さい…
別にあなた自身が闘わなくても良いじゃないですか…」
「ダメです…みんなが笑顔になるように…これは僕の夢でもあります…
…分かって下さい…アリスさん…」
「…わかりました…でもあなたは私の大事な男です。充分に気をつけてくださいね…」
そう言ってアリスさんは僕の胸に顔を埋めて泣きながら僕を抱きしめた…
「コホン…!!!」
女王様が咳払いをした。
「その…良いところを邪魔するようですまんが、ここはわらわの部屋じゃ…出来れば他の部屋でやってもらえんか…⁉︎」
アリスさんは顔を真っ赤にして今まで見たこともない慌て方で…
「あの…あの…女王様…失礼しましたぁ…⁉︎」
そう言うと僕の手を引いて廊下に飛び出して…その先にあるバルコニーへと走って逃げた…
バルコニーの下からは守護神達の声が聞こえてくる…
「おーい…!!!純くーん…!!!」
「アリス姉もおらへんなあ…一体何処に行ったんやろか…⁉︎」
僕達は顔を見合わせて笑った…
そして笑顔で口づけを交わして将門を倒す作戦を再び考えることにした……
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