夢現に揺蕩いて

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『ねぇねぇ見て!』 『ん?』 『なにか気付かない?ほら、もっとちゃんと見るっ』 『何かって言われてもなー。いつも通りじゃないの?』 『あーあ、そういうこと言うんだぁ。彼女であるあたしの扱い方を学んだ方がいいんじゃない?』 『ふはっ、そこは女の子の扱いとか言うんじゃないの?』 『だってあたし以外の女の子の扱いなんて知る必要ないでしょ?』 『ん、そうだね。……ふふ、あはははっ』 『あ、ちょっと!笑うなんて失礼だよ』 『いやー、あまりに自信満々のドヤ顔で言うもんだからつい』 『なぁに?浮気でもするつもり?』 『そんな訳ないでしょ。そもそも脇見なんてさせてくれないんだから』 『当然ですともっなんたって世界一かわいい彼女だからね』 『はいはい、かわいいかわいい』 『適当に流すの禁止!それじゃあたしの扱い方検定不合格だよ!』 『あはは、不合格かー。本当にかわいいと思ってるのにな。そのネイルもかわいいしね。海だから水色?よく似合ってる』 『……っ、き、気付いてるんじゃん!』 『そりゃね。それで、検定の結果は?』 『ずる!不合格!』 ーーー ーーーーー ーーーーーーー 「…………。」  微睡の中で、意識がゆっくりと浮上していくのを感じる。まだ寝たいと思えば思うほどに覚醒していく矛盾。  流石にもう寝られないことを察して、枕元に置いてある携帯を手に取る。 「ふわぁ……ぁーねむ。まだ11時だし……」  今日の授業は午後からだし、昼ぐらいまで寝ようと思ってたのに。ま、こんな生活できるのも大学生の特権だよね。起きちゃったけど。  寝られないし起きたくないって時はこうして意味もなく携帯をいじってる。  馬鹿な友人の、『容疑者の友人Aの声真似』とかいう投稿にいいねをつけて、画面を閉じた。  ブブッ 「ん?」  タイミングがいいのか悪いのか、再び光る画面にメッセージの通知が表示される。  相手はーー 『小森:  よ、晴翔。昼飯行かね?あと今日の授業ま……』 「……うわー」  画面を閉じた。  いやいや、悪意はない。まったく。これっぽっちも。めんどくさいなーなんて微塵も思っていないさ。  後に続く不穏な言葉さえなければね。……どうしたもんか。  いつもならまだ寝てるし、気付かないふりしてバックれてもいいんだけど。  今日は、ちょっと事情が違う。 「……はぁ」  少し悩んで、僕はメッセージを開くことにした。
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