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アメリカ、オハイオ州のとある街道に女はある用事の為にこの街を訪れた。
背中にかかるくらいの金色の髪を靡かせて化粧を施し、中々の美女であった。冬なので、女は厚手のコートに身を包み、ブーツを履きながら目的地まで足を踏み鳴らしながら歩いていた。
やがて目的地に着いた後、中年太りの一人の男が立っていた。やがて男は、女に気がつくと無表情のまま女の方へ歩いて行った。男は率直に女に事を話した。
「あんたが暗殺屋か?」
「えぇ、別名で暗殺女って言われてるわ。で、要件は?」
「…この男を殺してくれ」
男は、写真とその男に関する書類を渡した。
「あら、中々いい男じゃないのよ。」
「この男のせいで会社が潰れてしまったんだ!!頼む、金なら幾らでも出すから!!」
「・・・分かったわ、金の為なら別だわ。その任務、引き受けましょう。」
「あぁ、頼む!!」
そして、女はターゲットを殺すことを前提に男から、報酬を貰い、作戦を練るのであった。
***
「社長、お茶をお持ち致しました。」
「あぁ」
女は男の書類と同様に暗殺する男に接近するため、変装し、新入社員として働くことになった。油断してる所をすぐさま殺すことにした。だから、この労働作業が1週間が経とうとして、計画通り、今日が暗殺日に決行することにした。
「リジー、社長じゃなくてレオンと呼んでくれるか?後、敬語もやめてくれ。」
「…じゃあ、分かったわ。レオン。」
「それでいい、僕は少し席を外すよ。」
「じゃあ、私はお茶を入れて来るわね。」
「あぁ、よろしく頼むよ。」
女は、内心馴れ馴れしく話す男に苛立ちを募らせていた。
レオン・カルテットは黒髪の短髪で端麗な顔立ちであり、若手社長である。いかにも女が寄りそうな顔立ちだが、部下の信頼も熱く、女にモテていることは明確であった。
「レオン、お茶入れたわよ。」
「あぁ、ありがとう。とその前に…君は何者何だい?」
「…それってどういう意味?」
「そのまんまの意味だよ、君はよく、仕事に真面目に働いてくれたよ。だが、何故このタイミングで会社に入って来たのかと不思議に思ってね、色々と調べさせてもらったよ。…君、暗殺女かい?」
レオンは愉快そうに自室のデスクに肘を着き、手を組んだまま女に言った。
女はばれていたことに内心舌打ちをして、レオンに言った。
「なら、話は別だわ。死んで頂戴!!」
と、女はポケットから小型銃を取り出してレオンに向けた。だが、レオンはそれに動じることもなく余裕の表情で女を見据えて、言った。
「ここで僕を殺しても意味ないんじゃないかい?」
「何ですって?」
「だって、君は僕の手の平で踊ってるんだから。…つまり、君は完全に包囲されているってこと。」
「!?」
ニコッと効果音がつきそうな顔でレオンは女に言った。
「今、僕が声を出せばボディーガードが来て君は呆気なく捕まるだろう。だから…君は僕のモノ(玩具に)なれ。」
「くっ…!!」
「ほら、僕を待たせるな。さっさと決めろ」
「・・・分かったわ。ただし、暗殺は続けるわ。」
「却下だ。」
「何でよ!?」
「君は僕のモノだ。狙った獲物は逃がさない。なぁ、リジー。」
「リジーじゃないわ、アンナよ。」
「じゃあ、アンナ。僕と結婚してくれ。僕はお前に惚れているんだ。」
「この、自己中男!!流れでどうしてそうなるのよっ!!」
「どうしてだって?簡単だよ、僕は・・・。」
「!!」
レオンは椅子からアンナの傍に寄り、アンナに濃厚なキスを交わした。そして、息が絶え絶えになっているアンナの耳元に囁いた。
「君を一人の女として愛してみたかったからだ。」
***
迂闊であった。アンナ・クリスは内心戸惑っていた。これまで、失敗などする訳がなかったのだ。
あの男と会って、慣れてしまっている自分が分からなくなっていた。あの後、キスをされたアンナは、あの男を殴って窓から逃げた。初めての失敗であった。暗殺女が聞いて呆れる。アンナはまだ、諦めてはいなかった。任務は終わってなどいない。
スタートは此処からである。
「愛などいらない、金あるのみよ。」
そう、呟くアンナである。
「で、わざわざまた来たのか」
「当然よ、貴方の首は私が頂くわ。」
「じゃあ、俺から質問。社長ってのも大変なんだよ。」
「は?」
「君以外にも、俺は命を狙われているんだよ。」
ドカーン!!!
ガラス越しから衝撃の爆発音が響き渡る。
「何!?」
「そろそろか・・・。」
そして、ドアからはスーツの男達がレオンに襲いかかって来た。
アンナはそいつらを銃で撃つ。
「ここから出るわよ!!」
「君は、俺を殺すんじゃないのか?」
レオンが目を見開く中、アンナは言う。
「言ったでしょ。アンタは私が殺すのよ!!」
レオンの腕を掴み、ドアから逃げるアンナ達、後ろから追いかける謎の集団。
「アンタ、私の他に誰が命を狙われているのよ!?」
「・・・Xだ。」
「X・・・達の悪い集団ね。」
X・・・表では、科学工場の組織だが、裏では、人体実験など様々な実験を行っている。
悪の組織に狙われるのは仕方がない。
「アンタを捕まえて根絶やしにするという訳ね!!」
集団はぞろぞろと追いかけて来る。
「車は!?」
「地下にある!!」
急いで車に駆け込み、エンジンをかけて車を飛ばす。
「まさか、最新のベンツとか坊ちゃん凄いわね、乗ったことあるの?」
「まさか、一回だけだよ。」
「腹たつわね!!」
黒の車が運転席のアンナやレオンを打つ、アンナは片手で銃で撃つ。
「もう一本、貴方に渡しとくわ。」
「・・・ありがとう。」
「それにしても、ぞろぞろぞろうっとおしいわね!!」
「あの輩は、俺を連れ出す為に命は惜しまないからね。」
「冷静に言わないで、撃ちなさいよ!!」
「はいはい。」
レオンも後ろの車を撃つ。
攻防戦は、長時間に渡った。
街中はアンナの運転で事故が多発であった。人身、交通事故も警察も大忙しである。
「切がないわね・・・。」
「Xの組織のボスに会った方が効率だと思うが?」
「・・・分かったわよっ!!」
そして、辿りついた先は科学工場であった。
中に入れば、男達数人が銃を持っている。
「行くわよ!!」
「ああ」
二人は、銃で片っ端撃ち放ち、敵の男達は次々と倒れていった。
中の方は暗く、右端、左端とカプセルの中に、人間、魚など。色んな箇所にチューブが付けられている。
「気持ち悪いわね。」
「本当だね。」
「覚悟は出来てるの?」
「君が守ってくれるんじゃないのかい?」
「守らないと私がアンタを殺せないじゃないのよ!?」
「・・・そうだね。」
何故だか、レオンの瞳が悲しげであった。
「待ちくたびれたぞ」
「!?」
「君が、エックスだね。」
声のする方に目を向ければ、白衣を来た、眼鏡男が立っていた。
「わざわざ俺を殺しに来たのか?」
「辺り前よ。」
「此処まで来るのは長かったよ。」
レオンとアンナは男に銃を向ける。
だが、男は突然笑い出した。
「あはははははは!!だが、油断したな!!」
男はガスマスクをして、右手で何かのスイッチを押した。
「此れは毒ガスだ、お前らに耐えられるのか!?」
「ちっ!!」
アンナは、男を撃ったが、そいつはロボットであった。
「偽者!?」
「アンナ、取り合えずは外に出よう。」
二人とも無事に外へと逃げ出した。
***
「エックスは、そう簡単に殺されはしないから、今度また、いつ狙われか分からないんだよ。」
「上等よ、アンタが狙われようとも私が返り討ちにして、殺すわよ。」
「じゃあ、君は愛をという物を知ることが出来たのかい?」
「私は愛をしらないわ。」
「じゃあ、僕が教えてあげるよ。」
「アンタってホント横暴ねレオン。」
そう、二人は口付けを交わした。
end
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