ツンデレ美少女と根暗な俺

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小さい頃から絵を描くことが大好きだった。花や生き物、形ある物がこの世にはたくさんある。 俺は、目に映った物は、ばあちゃんからもらったスケッチブックを片手にクレヨンで描き続けて、描き終わったらすぐにばあちゃんに一番に見せるのが好きだった。 「ばあちゃん、今日はね、魚を描いてみたんだよ、どう?」 「まあまあ、純平は本当に絵が大好きやね。本当に上手や、・・・お父さんとお母さんが事故で亡くなってつらい思いをしてきたのに、純平には素敵な趣味が出来て、おばあちゃんは嬉しいわ。」 両親が事故で死んで、身寄りがない俺に、祖母が代わりに俺を育ててくれた。 絵を描いて見せた俺に、祖母はそれをじっくりと見て、まるで、自分が描いた様にとても喜んでくれた。 下手くそに描いた絵なのに、いつでもばあちゃんは優しかった。俺はそれに問いかける。 「しゅみ?」 「趣味ってのはね、自分が夢中になれること、人間にとって一番大切なこと何だよ。純平はそれを掴み取ることができたんだよ。だからおばあちゃんは嬉しいんだよ。そうだ、純平、絵を描くこともいいけれど、それを加えて色を加えてみるのはどう?」 「色?」 「絵の具を塗るんだよ、ちょっと待っててね。」 そう言って去った数分後、祖母が戻って来た。俺に渡したのは、小さい箱に入っている一個の絵の具だった。 「これ・・・ばあちゃん!」 「絵の具、純平にあげるよ。そうだ、やり方を教えようかね。」 「教えてばあちゃん!!」 「これをこうすると絵に色を塗るんだよ。」 「わぁ、凄い凄い!!ばあちゃんありがとう、大切にするよ!!」 それは新品の絵の具だった。 それから俺は、下書きをした後に、絵の具の塗りかたを教えてもらった。 絵に色を塗ることがこんなにも楽しいことに俺は、とても実感したんだ。 第一話 ツンデレ美少女現れる!? ブーブーブー 「ん・・・朝か。」 携帯のアラームが鳴り続けるを止め、今日も1日が始まる。 ベッドから起きてカレンダーを見る。火曜日、学校である。 「・・・だるいな。」 学生が朝起きる独り言である。 「・・・朝飯食べるか。」 キッチンに行き、俺は、簡単な物を作った。 焼き魚と味噌汁、きゅうりの漬物、ご飯の、日本式の朝食である。何かと一人分のご飯は自分で作ったりしている。 朝食後、制服に着替え、顔を洗って、荷物を持っていつもの挨拶をする。 「行ってきます、ばあちゃん。」 祖母の遺影写真に言った。 祖母が俺が高1の秋の時に亡くなった。 急な心臓発作でそのまま亡くなってしまった。だけど、葬式の時に安らかに眠っている祖母の顔はまるで、笑っている様に見えた。家を出て、いつもと変わらない日々を送るつもりだったのに、神様はこれから別の道を俺に歩ませようとする、何て理不尽何だろうと思った。 [newpage] 桜ヶ丘高等学校、地元では有名な名門高で、俺はそこに通っている田中純平である。小一の頃からのあだ名は【根暗メガネ】、黒メガネに茶髪、ただ一人で絵の作業をしてぶつぶつと呟いていただけなのに最悪である。学校の成績は中の中、そこらの男子と変わらないという訳だ。ただ、俺は美術部に入っている。何かと俺の絵が評価され、金、銀、銅とバラバラにコンクールで賞を採っている。ちなみに、美術部の部員の皆は個性的だ。これは後程話そう。そう、俺は今、高2で、季節はまだまだ5月なのである。 「はよっす、純平!!」 「んごぉ!?」 後ろのタックに堪えきれず、俺は変な声を出してしまった。俺のナレーションを潰す気か、こいつ!? 「痛って・・・、お前、俺が窒息死で死んだらどうしてくれるんだよハゲ!!」 「俺なりの挨拶だ!!ついでに禿げてないし、口が悪いわね純平君!!あ、だから根暗メガネか。」 「誰が、根暗メガネだよ。俺は一人が好きなんだよ!!」 「お前、・・・可哀想な奴~、プププププ!!」 「こんの鳥頭、ぶっ殺すっ!!」 こいつ、あっははははと馬鹿みたいに笑っているのが鳥野明、俺の小一の頃からの幼なじみである。そして、野球馬鹿。そして、野を山にしたらあら不思議、ジャンプの有名漫画作者の名前に変換出来ると言う特殊名だと俺は思う。 ついでにこいつが俺のあだ名の名付け親だ。非常に腹立たしい。 「お前の常識が分からん、鳥頭。」 「純平、今日部活?」 「そうだけど・・・。」 「よし、じゃあ野球しようぜ。」 「お前、俺の話聞いてた!?」 明は、高1の頃から野球部で結構上手いのか、それなりに成績を収めている。何せ期待のピッチャーで人気だ。 「何一人で喋ってんの?根暗メガネ。」 「しばくぞ鳥頭。」 こいつの癖毛は小学の頃からもぎ取りたいと思っていたが、ついにその時が来たか。 「さっきの冗談だって、じゃあ昼にしようぜ。」 「それならいいよ。」 「よしゃ、キャッチボール、キャッチボール♪」 「・・・はぁ。」 こいつに振り回されるのも毎度のことだ。そして、何故か仕方なく付き合う俺であった。 だが、6限目の休み時間、ついにそれは起きた。 「田中純平、放課後屋上に来なさい!!」 そいつは、俺のいるクラスにずかずかと入り、俺の目の前に立って机を叩きつけ、まっすぐに俺を見て言った。 そして、すぐに言いたいことは言い終わったのか、すぐに嵐の様に去って行った。つか、果たし状か何かか? 【何で田中が・・・?】 【みくる姫は正気か!?】 そして教室がざわつき始めた頃、突如明がやって来た。ニヤニヤしながらだが。 「純平ー!!お前、モテ期到来来たか(笑)」 「だから、お前はどうして空気が読めないんだよ!?」 「空気?何それ旨いの?」 「・・・もういい。」 「でも、あれって果たし状か分からんけど、試しに行ってみれば?学校一の美少女、萩原みくるがお前に、お・ま・え・に、用があるんだから、ププププ!!」 「うぜー!!」 「結果を楽しみにしてるぞよ。青春の若人よ。」 ドゴォッ!! 俺は明を殴った。 [newpage] そして、放課後、屋上にやって来た俺。風がヒューヒューと鳴り響くなか、美少女、萩原みくるは立っていた。腰まで長い金髪の髪を靡かせ、頭の赤いカチューシャのピンクのリボンが揺れる、スラットした体、まさに美少女である。 萩原みくるはこの桜ヶ丘高等学校の理事長の娘でもあり、超お嬢様である。容姿端麗、成績優秀、まさに完璧の人間。そんな人が一体俺に何をするっていうのか?俺、100%死ぬの?内心、冷や汗をかく俺だったが、萩原は淡々と話す。 「田中純平・・・私と」 「・・・(ごくんっ。)」 「私と付き合いなさい!!」 「無理です。」 「即答っ!?どうしてよ、この私が自ら好きだと言っているのに、・・・理由を聞かせて欲しいわね。」 「俺、絵に専念したいんで、付き合うって言うのはちょっとというか・・・。」 「~!!ふんっ、明日、覚えてなさい!!」 そう言って彼女は去ってしまった。怒ったのか?何か、悪かったな・・・? ※※※ そして翌日。 萩原みくるはまた俺のクラスにやって来て、ラッピングされた袋を俺につき出して来た。 「こ、これあげる!!私、まだ諦めたわけじゃないんだからね!?そ、それと味見して感想を言いなさい・・・。」 萩原は頬を染めてそっぽを向きながら言った。 袋の中身を取り出すと、数個ラップに包んだクッキーが数個入ってあった。みくるはそわそわと此方を見ている。これ、手作りか?見た目は形が変だが食ってみるか。 俺はそれをパクりと食べた。 「ど、どう?」 「美味しいよ、ありがとう。これ、わざわざ作ったんだろ?」 「良かった・・・。また、持って来てもいい?」 「あぁ、感想くらい言ってやるよ。」 「じ、じゃあ持ってくるわね!!」 萩原は嬉しそうに言った。すると、休み時間のチャイムが鳴った。 「じ、じゃあまた来るね田中君!!」 「あぁ、いいよ。」 今日は何だか不思議な1日であった。 数分後、明が俺の方まで来て、こっそり教えてくれた。 「純平、お前。萩原とお前が、カレカノだって学校中噂になってんぞ。」 「マジで!?」 やはり前途多難である。 [newpage] 人生は何が起こるか分からない。 俺、萩原みくるに人生最大の告白を受けた。そして、それを俺は断ったのだが、あの後、俺は部活に行くのがきまずくなり、家で過ごした。だって、このこと美術部員の皆が知ったら何されるか分からないことに恐怖心が蘇る。だけど、行かなければ絵が描けないっ!! 俺は渋々意を決して、美術室に向かった。 ※※※ ようやく美術室にたどり着いた。 そして、俺は一呼吸してから、美術室のドアをゆっくりと開けた。  いざ、出陣!! 「し、失礼します・・・。」 一歩進んだ瞬間、美術部員の皆が集まって、うつ伏せになりながらブツブツと言っており、空気がどんよりしている。 「何これ、場の空気が半端ないし!?一種の漫画っぽくなってるんだけど!!ちょっと皆、どうしたんだよっ!?」 「田中ー!!」 「うわぁ!?部長、何でしょうか!?」 「お主、根暗と言った奴が大人の階段を昇る~♪で、あるか!?リア充になるのかお前はー!!妬ましい、妬ましいであるぞ田中コノヤロー!!」 「と、とにかく落ち着いて下さいよ!?大丈夫です。まだ俺は非リア充ですから!!つか、絵の具の筆を俺に向けないで下さい!!」 「なら、よし!!」 「いいんかい!!さっきの何だったんですか!?」 「たなちゃん♪」 「あ、副部長、今度は貴女ですか?」 「お前、ついにヤったのかにゃ?どうなのそこんとこ☆」 「あんたは話すとややこしくなるんだよ!?つか、下ネタダメ絶対!!」 「ちっ、未遂かにゃ。」 「当たり前ですよ!!」 やっぱりここまで噂になっていたか、恐るべし萩原みくる。 第二話 美術部員の皆 拝見、ばあちゃん。天国で元気にしていますか?俺は今、美術部員の皆さんに質問攻めに合っています。 「・・・田中先輩・・・ついにおめでとうございます。・・・ふ。」 「今明らかに鼻で笑ったよね!?笑ってたよね!?」 「田中先輩、これ。」 「おうサンキュ、て、何これ!?シュガー煎餅!?お前、味覚音痴しっかりしろよ、早く治せよな!!不味いだろ名的に!?」 「美味しいのに。」 「美味しいもあるかー!!」 「田中先輩、あの噂って本当何スか?」 「今度は不良か、何だ?」 「・・・田中先輩が萩原みくるに告られて付き合ったのか気になるッス。」 「あれは、断ったぞ。」 一瞬、皆固まった。そして、部長がわなわなと体を震わせながら、俺を指差して言った。 「皆の者、出陣じゃあー!!」 「あいあいさー♪(×5人)」 「ギャアアアアア!!」 ※※※ 見事俺は、部員皆にボコられた。理不尽だろこれ!? 「さて、田中氏、貴様は何故に部活に来なかった?」 「それは・・・」 「大方気まずくなって帰ったのであろう?分かる分かるよ~って分かるわけねーだろうが!?」 「ヒィっ!?すいませんっしたー!!!」 怒らせると怖い部長である。 「あ、それで思い出したのだが、おい、起きろ不良、お前、私のエロ本どうしたのだ?まだ返って来てないのだが。」 「ふわぁ~もうちょっといいッスか先輩。」 「しゃあないな、あと1週間だけだぞ。」 「ええ~期限短いッスよ~。」 「つか、たなちゃんがリア充なんて絶対あり得ないって思ってたにゃ~♪」 「先輩、これ・・・。」 「またかよってクリームゴーヤ!?これアイスクリームなの!?」 「・・・」 「何だよ川畑。」 「・・・ふふっ。」 「俺を見て笑ったのお前、どういうことだよお前、何なのお前!?」 「あ、そうだった田中、あんたからこれ。」 「ああ、はい。」 部長から渡されたのは、先月のコンクールの結果だった。結果は銀賞、まずまずな結果だ。 「しかし、田中の絵は上手いな、やはり芸大狙っているのか?」 「まぁ、そんな所ですかね。」 「田中先輩の癖に生意気・・・。」 「何、川畑さん。俺に何か怨みでもあるの!?」 「さてさて、お話はここまでだよ、皆、部活を始めたまえ。」 【は~い(×6)】 「あ、言い忘れてた、次のテーマは【人】だって。」 「人ですか?」 それを西原が言う。 「大切な人、感謝の気持ちを絵に込めて下さいって書いてあったから、よろしく頼むぞ。」 「マジか・・・。」 「それって誰か絵のモデルにしないといけないってことか」 「味覚音痴の癖にやるわね・・・。」 「黙れ、ぱっつん。」 「「・・・(バチバチバチ!!)。」」 互いの火柱が飛ぶ、ちなみに、川畑と西原は相性が悪い。 「まあまあそれくらいにしろってお前ら。」 さすがは不良、二人の仲介人である。と、美術部は皆、自分の絵に集中する様に机に座って書き始めた。 ・・・モデル、誰かいたっけ?あ、いたわ。俺は、その人を呼び出すため、クラスに向かった。 「で、私に絵のモデルになって欲しいって?」 「ホントすいません、後でプリンやるんで。」 「プリン?」 「暇潰しに作ってるんだよ、頼む!!」 「・・・いいわよ、ただし条件がある。」 「何だよ?」 「し、下の名前で呼んでよ。みくるって・・・。」 頬を赤らめ上目遣いで俺を見る。 ・・・仕方ない、呼んでやるか。 「はぁ・・・分かったよみくる、これでいいか?」 「上出来よ!」 にかっと嬉しそうに微笑むみくるであった。 「でも、何で私が絵のモデルを?」 「・・・あまり、浮かぶ人いなかったんだ。」 「そう、この椅子に座ってれば良いのね」 「あぁ、宜しく。」 みくるが椅子に座って此方を見る。 ・・・何だか気まずい。ギャルゲーか?ギャルゲーなのか? 「もう、じろじろ見ないでよ!!早くしなさい!!」 「・・・分かってるよ。」 スケブを鉛筆ではしらせている時、俺はみくるに質問がしたかったことをみくるに言った。ここは、資料室だから誰も来ないしいいか。 「なぁ」 「何?」 「どうして俺のこと好きなわけ?」 「・・・貴女の絵が好きだから、一目惚れなの。」 「!?」 「貴女の絵、コンクールの展示で見たことがあるの、一番大好きだったのがひまわりだったわ。水色の空に、たくさんのひまわりが囲まれて、まるで一つの景色みたいだった。」 [newpage] ー純平、ほら、綺麗に咲いてるよ。ひまわり。 「ちょっと・・・何泣いてるのよ、何かまずかった?」 「へ?」 くるみが此方を困った様子で見ている。 また、ばあちゃんとの思い出、思い出してしまった。 俺は涙を腕でゴシゴシと拭いてから言った。 「俺さ、ひまわりが大好き何だよ。今でも幼い頃の夏の思い出何だ、大切な人と一緒に散歩した日のことを思い出すんだよ。」 「・・・その人のこと、大好きだったのね。」 「あぁ、大好きだった。・・・よし、これくらいでいいかな。ありがとなみくるまた宜しく頼むよ。」 「ええ、いいわよ。でも私負けないんだからね!」 「?」 「じゃあね純平、また絵のことで用があるなら呼んで頂戴ね。」 「おう、またな!」 そう言ってみくるは行ってしまった。 「純平君・・・今のは何?」 「うわっ!!明か。」 野球部のユニフォームを着ながら此方をお化けの様に見ている明が立っていた。 「後ろから声かけんなよ、びっくりするだろうが。」 「お前、ついにアイツと・・・」 「言わせねぇよ!!」 見事飛び蹴りをくらわせました。 ※※※ 「つまり、デッサンがいなかったために変わりにみくる姫が、モデルをやってくれたわけだな。」 「ま、そゆこと。」 「そっか・・・、何で俺じゃないんだよ!!」 「え、お前必要ないし。」 「何それ酷い!!」 「あ、そろそろ戻らないと、お前も部活あるんだろ?何か俺に用があって来たんだろ?」 「あ、そうだった。純平部活終わったら一緒に帰ろうぜ。」 「・・・分かったよ、帰ればいいんだろ」 「よっし、じゃあ後でな。」 そう言って、明は部活に行ってしまった。アイツそのこと言う為に此所まで来たのかよ。昔から変わらないな。 そして、部室に俺も戻るのであった。 [newpage] 「見ろ桃、桃の似顔絵描いてみたのだぞ。」 「どれどれってピカソだにゃ!?これもうちょっとましなのないのかにゃ?」 「これとかどうだ?」 「て、これモナリザ!?私の要素全然ないにゃ!!」 「・・・うるさいな、ところで、桃はどんなの描いたのだ?」 「これにゃ☆」 「鬼太郎ではないか!?」 相変わらずだなぁ先輩達 美術部といってもコンクール前日ぐらいしかまともに描かない人達が多いのである。まさにグダグダなのである。 「お、たなちゃんおかえりん☆まともな奴描けた?」 「萩原さんに頼みました。」 「うそん!?マジで!?見せてにゃ」 「・・・さすが田中先輩だな。」 「皆、見ると照れくさいな。」 「そうね・・・先輩の癖に。」 「またかよ、川畑!?」 「やっぱり上手いっスね」 その絵にはみくるが此方を見て座っている姿だった。頬を赤らめたまま、つんとしているのはいつも通りだなと思った。笑うと可愛いと思うのに。 「でも、よく引き受けてくれたな、根暗の田中に。」 「ツッコムのも疲れたのでいいですもう。」 萩原くるみは2年C組である。C組は普通のクラスじゃなく、お嬢様達が通う、特殊なクラスである。A、Bは普通のクラスになっている。 「ていうか皆さんは描けましたか?」 「・・・私は犬のポチで。」 「私は亀の三郎であるぞ。」 「私はエクサイルだにゃ☆」 「僕は味噌チョコレートで。」 「俺はエロ本っス。」 「変なの混じりすぎだー!!」 なんやかんやで纏まっている奴と、なっていない奴バラバラである。 そんな俺達美術部員六人は、成り立っているのである。 その後、後々俺はプリンをみくるに渡すのに世話になるのであった。その後、これは秋の文化祭で展示となった。 [newpage] 「皆のもの、明日は歓迎遠足ではないか。」 中間テストが終わり、2日目が経った頃、エロ本を読んでいた部長があっと、思い出したかの様に言った。 第三話 新入生歓迎遠足 「歓迎遠足って今年は何やるんスか?」 不良の中原が部長に聞いた。不良もエロ本片手に読んでいた。お前らどんだけエロ本好きなんだよ。 「ドッチボールだそうだ。」 ド、ドッチボールだと!? あの、ボールを人にあてられて除外する遊びか、うわぁ・・・面倒くさいな。俺、体力ないから無理だわ。つか、自分で言ってて悲しくなってきたな。 説明しよう。「ドッジボール」は別名「デッドボール」という。プレイしている人にボールが当るとその人は戦闘不能(アウト)となることからこのような名前になったという。 「うへ~面倒くさいにゃ~。」 「だが、去年は1位のクラスが景品が御菓子という糞面白くもなかったが、今年は違うみたいだ。」 「どういう風にですか?」 「優勝したら、1日だけ学校休めるという贅沢な日を貰えるんだと。それも、クラス一組だけだそうだ。」 「にゃに!?」 「・・・」 「マジすかそれ!?」 「モグモグ」 「凄いな」 ちなみに上から順に猫先輩、川畑、不良、味覚音痴、俺の順である。 つか、味覚音痴は、今度は納豆ヨーグルト食べている。恐ろしいぞある意味で。 「その話マジでかにゃ!?」 「今日のHRでその話があるみたいだぞ。」 「さっすが部長だにゃ☆」 「我が情報に一切のミスはなし。」 「・・・かっこいい、千鶴先輩。」 「・・・ドッチボールか。」 でも、ここで休んだら絶対明が許さないなこれ・・・。 「というわけだ、美術部員の諸君、私達は負けないからな。」 闘志を燃やす部長。 「質問いいですか?」 「何だね、西原氏。」 西原が手をあげながら主張した。 「1日空けた教科ってどこでするんですか?」 「確か、夏休みに1日だけ減らすことになるのだそうだ。」 「結局変わりがないということッスね。」 微妙な感じの後輩3人だが、先輩達はそれでも乗り気であった。 ※※※ そして、歓迎遠足の日 俺の家のインターホンが鳴った。 ピンポーン ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン 「純平君いますかー?純平くんー、明が迎えに来ましたよー!!」 奴が来たよこれ。 「うるせー!!ご近所迷惑だろうが!?」 「ひでぶ!?」 お決まりの飛びげりをくらわした。 「goodモーニング、純平君。今日は待ちに待った遠足です、おやつは300円ですよー!!ちなみに俺は、400円ぐらい持って来たぜ。」 「待ってねーよ、ドヤ顔で言うな鳥頭。朝からテンション高過ぎるだろお前!?つか、威張るところじゃないからそこ!?」 「まあ、いいじゃねぇかよそんくらい、お、ちゃんと着替えてんじゃん。着替えてたんなら行こうぜ、何としてでも勝って休みをとるぞ純平!!」 ・・・お前はどこぞの社会人かよ、燃えすぎるだろ!? 「その条件とは誰一人欠けることなくクラス一同参加する事という条件だからな、お前しょっちゅうこういうのサボりがちだもんな、運動不足になるとデブるぞ根暗♪」 「分かってるよそんくらい。殴るぞ、鳥頭。」 「行こうぜ、純平!!。」 「はいはい、行きますよ。」 そして、俺はいつも通り、学校へ向かい、教室で指定ジャージに着替え、HRをやってから全校一同集まって運動場で校長の話を聞く。 「えー諸君、新入生諸君、2、3年生諸君と交流の場を広める絶好の機会です、楽しんで下さい。」 「諸君、諸君うっさいな校長。」 「いつものことだから仕方ないぜ純平。」 そして、校長の話から、先生からの注意事項を聞いてから、各クラス一年から順に公園の広場まで歩く。 これが遠いもんだから徒歩で歩くからきつい。運動不足の人は足から筋肉痛なのである。 まあ、距離が空くのは毎度のことである。 そして、公園に到着した後、生徒会役員からの話があった。生徒会長はみくるだった。 そして、ドッチボールのトーナメントが発表された。 「1-A VS 2-B----1-C」 「2-A VS 1-B----2-C 」 「3-A VS 3-B----3-C」 3クラスあるので2試合を最初してから、各試合となる。 「勝つチームは1クラスだけ、皆さん、頑張って下さい。」 「2-C はくるみがいるクラスだな。」 「純平ー試合始まるぞー!!」 「分かってるから、だから、熱いっつーのお前!!って皆もか・・・。」 【うおおおおおお!!!】 【勝ったら休み・・・勝ったら休み・・・。】 皆の団結力半端ない。切羽詰ってるなぁ・・・。 「先輩、コロス、コロス。」 「うわ、川畑!?」 「冗談よ先輩・・・。」 「冗談には見えないからね!?つか、お前らか先輩達もいたんですか。」 「ちっす、先輩♪」 「こんにちは。」 「よう、たなちゃん♪」 「おはようなのだよ。」 美術部のメンバーだった。 「まあ、お互い頑張ろうぞ。」 「まあこっちもぼちぼち頑張りますよ。」 「田中ー!!」 「分かってるよ!!じゃあ、行きますね。」 「行ってら~。」 そして、2回戦は勝ったが3回戦は苦戦中であった。 相手チームから先手でボールが投げてくる。 皆、それをかわす。 「そりゃ!!」 「うわっ」 容赦ないな隣のクラス。そして明が、相手チームのボールをキャッチする。 「行くぜ、俺のターン、グレートスーパーウルトラテクニカルデジニャーニャー!!」 「長いから!?しかも、威力弱!!」 明が投げたボールは敵のチームにキャッチされて渡ってしまった。 「野球ボールなら速く投げれるけど、普通のボールは駄目だな☆」 「言ってる場合か馬鹿ってうお!?」 そうこう言ってる間に敵のボールが、俺に来て、それをギリギリ避けた。 もう、こっちも内野が5人くらいだし。終わるかなと思いきや 何で 「何で勝ってんだよ!?」 何故か勝ってしまった。1、3年惨敗であった。先輩たち、後輩ら、ご愁傷様です。 2―AVS 2―C が最後になった。 「あら、純平。私のクラスに勝てると思ってるの。」 「いや思ってないんで、そもそも勝ちとか負けるとかいんだよ、さっさとやるぞ。」 「んな!?後悔しないでよね、皆、勝つわよ!!」 『おー!!』 「こっちも負けてらんないな、行くぞテメーら!!」 『うおおおおおお!!!』 『狩りじゃー!!』 『一人残らず駆逐してやる!!』 「何か違うのあるぞ!?」 そして、順調にいった矢先、やはり中々終わってはくれなかった。早く終わって下さい本当にっ!! 「きゃ!?」 うちの同じクラスの女子が当たった。 「次!!」 「うわ!?」 「ち、やるなお前。」 「そっちこそ!!」 明とくるみの戦いが続く。 「・・・(俺、いらなくね?)。」 そして、俺と明、くるみ、モブ女子が残った。 「おい、くるみよ。」 「何よ純平。」 「どうして俺を打たない?」 「そ、それは」 「プププ俺は分かってまっせ、旦那。」 「何だ鳥頭?」 「ずばり、思い人には当たらせたくはない乙女の願いなのだよ!!」 「!?そ、そんなんじゃないわよっ!!」 公開プレイ!?恥ずかしいわ!!くるみも頬を染めるなよ!? 「やめんか、鳥頭!!何かこっちが恥ずかしくなって来たわ!!」 「そりゃ!!」 「きゃ!?」 「雪!!」 「ごめん、くるみ。」 「ついにお前だけが残ったな萩原。」 「くっ、これでもくらいなさ、きゃ!?」 そして、くるみは転けてしまった。 その隙に明が、くるみを当て、見事優勝を勝ち取ることが出来た。 でも、俺、何気に内野にいたな。 そして、全クラスそれからのんびりと平和に過ごした。 「まあまあ楽しかったな。」 「まあな。」 何だかんだ言っても楽しかった1日であった。 End [newpage] これは、俺が高校一年の時に実際に起こった話である。 第四話 純平、美術部に入った話 5月、もうそれぞれ入学生が新しい部に入部する時期である。俺、田中純平は美術部に入ることを決めていた。 放課後、入部届けを美術部部長に渡す為に、美術室へと向かった。 美術室についた俺はドアを開けて一歩進んでみたが、俺は驚愕した。 室内は真っ暗でその中央に黒いマントを被った二人組?女子がいた。ある一人はでかい鍋をかき混ぜぐつぐつと何かを煮込んでいてぶつぶつとにやにやしながら何かを唱えている。後、もう一人の女子は変な躍りをしながら杖を使って何かを唱えている。 「此処は、オカルト研究部か!?」 思わずツッコミを入れた俺。 「今年は来るぞ、今年は来るぞあっはははは!!!」 「アブラカダブラ~アブラカダブラ~エクペクトパトローナーム!!」 「ハリー、ホッターか!?」 またも、ツッコミを入れた俺。じゃなくて!! 「すいません、俺、美術部に入りたくて入部届け持って来たんですけど・・・。」 「にゃに!?」 「む!?桃、でかしたぞ。このおまじないは結構効いてたみたいだな。」 「私のまじない図鑑は役に立つのにゃ☆」 「ちなみに何してたんですか?」 「ここ最近、部員が少なくて、どうしたら入るのか悩んでいた所なのだ。」 「そこでおまじないを試しにしてみたってことだにゃ☆大成功だにゃ~。」 ・・・そういうわけか。 「あの、とりあえず二人共そのマント外してくれませんか?一応入部なので自己紹介をお願いいたします。」 「おお、そうだったな。じゃあ、私から。」 マントを脱いだのは、黒髪の昭和風美人であった。眼鏡におさげ、まさに儚げな印象である。でも、中身があれだった。 にこりと微笑みながら部長は言った。 「桜ヶ丘高等学校美術部部長、笹塚千鶴である。趣味はエロ本やエロDVD観賞で、好みは金髪美女の胸のでかい女だ。エロは良いぞ~、エロ最高!!」 これは俺でもどん引きであった。 「はいはい、次は私だにゃ☆私の名前は桜井桃、この美術部の副部長やってるにゃ☆趣味は人をからかうこと、後、音楽鑑賞だにゃ~アニソン大好き☆」 水色のツインテールの副部長か、何か個性的だな。部長の反対で可愛い系みたいな。趣味が面白いなこの先輩。 「副部長、それって地毛ですか?」 「ご想像にお任せするにゃ♪」 一体どっち何だ!? 「猫先輩って呼んでいいですか?」 「猫先輩?面白いね~それ気に入った!許可するにゃ☆」 「ありがとう?ございます。つか、此処オカルト研究部じゃなかったんですね?」 「当たり前だ。次、君の番だぞ。」 「田中純平です。趣味は読書と絵を描くことです。」 「まさに、君に合っている部活だな。これから宜しくと言いたい所だが、君の絵を見せて頂きたい。」 「俺が持って来たのは桜がテーマです。」 「ふむ、これは上手く描き上げているじゃないか、愛があるねぇ。」 「確かに綺麗だにゃ☆」 桜をテーマに描いた、景色だけの桜。 桜って色々イメージが強い。新しい新生活を思い出しながらという意味を込めてだが。 「中々の出来じゃないか、この部活でも頑張ってくれたまえ。君を我が美術部へ歓迎するぞ。」 「おめでとうたなちゃん♪とりあえず宜しくね~☆」 「たなちゃん?こちらこそお願いします。」 そして、一年間美術部に入った俺、とても充実した生活を送った。先輩達も中々の腕前だった。後に、根暗とからかわれることになるとは思いもよらなかったが。 そして、あの後輩3人の出会いである。あいつらも個性的だったな本当に。 [newpage] 川畑華子の場合 5月の中旬にそいつは美術室に入って来た。 一年が経ち、部活に慣れて来て、先輩達との仲も深めることが出来ていた。先輩達は3年、俺は2年に進級した。俺は、部長に質問をした。 「部長、今年もあの儀式やるんですか?」 「儀式とは失礼な、まじないだよまじない。今年はやらんぞ。」 「へ?何でですか?」 「今日はこと前に話がついている。今年は3人か、この部活に入るのだ。」 「3人も入るんですか!?何したんですか本当に・・・。」 コンコン ドアがコンコンと鳴る。 「ドアは開いている、入りたまえ。」 「・・・失礼します。」 「ん、君はもしや・・・」 「美術部に入部しに来ました。川畑華子と申します・・・。」 深々とお辞儀をする女生徒だった。如何にも日本人形の様な色白美人で部長とは違う美人である。腰まである黒髪、ブルーの瞳が綺麗である。 「君が川畑君か、私は部長笹塚千鶴だ。宜しくな。」 「私は桜井桃、宜しくだにゃ☆」 「俺の名前は田中純平だ、宜しくな。えっと、下の名前はかなこだったけ?」 ドス 「へ?」 足元には一個のコンパスが刺さってある。ん?コンパス? そして、次には定規が床に刺さり、川畑が目の前に腕をクロスして、コンパスを二個持ちながら迫って俺を襲う、襲う!? 「ちょ、たんまたんま!これラブコメだからね!?青春ラブコメ学園だから!!」 「人の名前を間違えるとは失礼よ、正しくはないことを私はそれを正すの、私の下の名前はかなこではなく、はなこよ覚えときなさい・・・。」 俺を攻撃しながらもそんな冷静に言うとは・・・。つか、目が怖いんだけど!?獲物を狩る目だよあれ!? 俺は部長達に助けを求める。 「先輩達助けて下さい!!俺このままじゃ、死ぬ!!死にますよ!!」 「「え~面白いのに~。」」 「何二人揃って言ってるんですか!?後輩がピンチ何ですよ!!つか、早く助けろやー!!」 俺、ツッコミ気質だな本当に・・・。 「仕方ない、川畑君その辺にしたまえ田中が死ぬ。」 「・・・分かりました部長。」 「案外素直何だなこいつ・・・。」 「お疲れたなちゃん。」 「先輩・・・これから宜しくお願いします。ちっ。」 「憎らしげに言わなくていいから、何か切なくなるから。」 此方を嫌そうに舌打ちしながら見る川畑に俺は溜め息を漏らす。 こいつとの仲は難しい。  西原司の場合 「どうも、司です。趣味は食べることです。」 イケメンがいた。 まるで黒髪断髪で切れ長な黒い瞳、スラリとした体型、そして此方をにこりと微笑む。どっか乙女ゲームに出て来そうだな。 部長が大いに狂乱した。 「キエエエエエエ!!!イケメン!?イケメンがいるではないか!?もっとブサイクが入って来るとてっきり思っていたが、発作が出るわー!!」 部長がムンクの叫びみたいになっている。それを猫先輩が面白おかしく笑う。 「あっはははは!!やっぱりイケメンは千鶴にとっちゃ天敵だにゃ☆初対面の時、目隠しした甲斐があったわ!!でも、こいつ、味覚音痴で有名だにゃ☆」 「マジですか?」 「あるクラスでこいつに告白した女子がいたんだけど、その個性的な、つまり味覚音痴をまがまがと見せられた訳だにゃ。」 ※※※  西原司の告白エピソード編 『あ、あの西原君、私、西原君のこと好きなの・・・。付き合ってくれる?』 『僕ですか?』 『うん。』 『じゃあ、これ食って下さい。』 そこには一皿にまがまがしい餃子ヨーグルトが混ざっていたんだにゃ。 『あ、食べまふ?美味しいでふよ。もぐもぐもぐ。』 それをは、口に入れ美味しそうに食ったのにゃ。彼女はそれを見て青ざめて 『この話はなかったことにして下さい。』 そう断ったのにゃ☆ 何人もの女子の告白をばっさり斬ったというわけだにゃ☆ 「末恐ろしいですねそれ。」 「田中先輩でしたっけ?宜しくです。」 「こちらこそ宜しくな。」 「部長と副部長は紹介は終わっているのでいいですね。あ、これ皆さんに餞別です、チョコボールです。」 「チョコボールかよ!?」 「・・・あら、いつもの気色の悪い汚物の食べ物は渡さないのね?」 「お前には関係ない、大体、これから世話になるのに失礼だろうが。」 「あんたに常識があったのね。味覚音痴野郎。」 「黙れぱっつん。」 「何よ。」 「やるか?」 バチバチバチっ!!互いを睨み付けながら火花が散る、犬猿の仲ってこういうこと何だな・・・。 「え、二人仲悪いんですか?」 「みたいだな。(にゃ。)」 「そういうわけで宜しくお願いします。」 「よろしくな。」 「よろしくにゃ」 「ふん。」 「おう、よろしくなのだ。」 こいつの絵も、川畑の絵も後で後日見させてもらったが、中々の絵であった。 中村勇治の場合 「こんちは、美術部入部届けに来ました。」 今度は不良だと!? 金髪オールバックときたぞ。 俺以外は冷静であった。だって見た目怖いぞ!? 「君が中村勇治か、私は部長の笹塚千鶴だ、宜しく。」 「よろしくッス。」 「ちなみに君はエロ本を好むようだな。」 「まさか、先輩もッスか!?」 もって何だよおい!? 「エロ本は良いぞ~、あの滲みでる官能の奥底に最高の快感があるのだよ、君はそれを分かってくれるかね?」 「当たり前じゃないスか!エロ本、即ち、思春期が必ず持つ究極の必須アイテム、それがエロ本スよ!!」 「私は金髪美女で胸がGカップが好みだな。あの、バックスタイルがたまらんな。」 「趣味がいいッスね先輩!!俺も金髪美女好みなんすよ!!」 ガシッとお互いに熱く握手を交わす二人組。何だ、趣味が同じということか。目がキラキラしている二人組である。 俗に、不良と俺は呼んでいる。 こいつも途中入部であって、絵もまだまだ未熟であると部長に言われ、俺が補佐として絵の描き方を教えることになった。 「宜しくッス田中先輩。」 「宜しくな、えっとまずは基本的な絵だが林檎と瓶を描いてみるか。」 「林檎と瓶スか?」 「まずは形にして、それからゆっくり色を塗って見るんだ。」 「分かりました!」 「お、形になってるぞ。」 「そっすかね?やっぱり見て貰うって嬉しいもんすね」 「お前、見た目より良い奴だな。」 「俺、人から不良って言われてますけど、別にそんなんじゃないッスからね。売られた喧嘩は勝つ!みたいな感じですから。」 「別に見た目で判断しないよ、お前はお前だからな。」 「先輩・・・大好きっす!!」 「あ~ハイハイ。」 何故か俺に抱きついてきた。ある意味、分からない奴だ。 「千鶴ちゃんあれ」 「桃よ」 「「あれは匂うね。」」 以上で我が美術部の活動の過去編である。 中々の個性派揃いで賑やかな部活になっていった。 部長達がそんなことを言っていたのに知る由もない俺であった。 End [newpage] 「純平、今日暇?」 「放課後か?俺はいいけど・・・。」 休み時間中、みくるが俺に話しかけてきた。みくるはそわそわと、何故か緊張していたが、つか、クラスの男子、俺を睨まないで下さい。 「い、一緒にその・・・遊ばない?」 第五話 デートなう 拝啓、ばあちゃん。今、衝撃なことになってます。俺、今まで一度も女子と一緒に遊んだことがないのに、美少女が誘って来ました。 「ちょっと聞いてるの?純平」 「あ、ああ聞いてるよ、何処で遊ぶんだよ。」 「ゲームセンター・・・。」 頬を染めながら俯きながら言うみくる。こいつ、プライド高そうなのに勇気振り絞って言うんだもんな・・・。 「一応、部活の部長に話してくるから、返事はどうする?」 「放課後で良いわよ、返事待ってるから。」 そう言ってくるみは行ってしまった。 ・・・部長に相談してみるか。 ※※※ 「というわけで今日は休みます。」 「田中・・・お前、もう来なくていいのだよ本当に。何『俺、今日仕事休みますわ部長。』みたいな感じに言ってくれるのだ貴様。」 「だって仕方ないじゃないですか!?萩原みくるにそんな、断ったら可哀想だし、全クラスの男子が俺を殺しに来るかもしれないじゃないですか!?」 「しゃーないな、行って来い根暗。」 「・・・はい。」 「今日は、私と西原しかいないから、帰っていいぞ。」 「・・・そうすか。」 「後、田中。」 「何ですか?」 「何処までイったか教えてくr」 俺は何も言わず、ドアを閉めた。そして、みくるの元へと向かった。 [newpage] 「早く終わったわね、それじゃあ行くわよ♪」 「ああ。」 何故か俺の右腕を絡ませて来たみくる。 俺達は近くのゲームセンターへと歩みを進める。何時もの赤いカチューシャの左耳上に飾っている赤いりぼんが揺れている。 まずは、UFO キャッチャーをやることにした。みくるが最初にやってみたのだが、 「と、取れない・・・!!」 中々採れず、苦戦していた。 「あの、熊ちゃん可愛いのに~!!悔しい~!!」 悔しげに唸るみくるに俺は助け舟を出した。 「・・・俺、採ろうか?」 「え?良いの?」 俺は百円玉を入れて、器用に今人気のマスコットキャラクター熊ちゃんを吊り上げることができた。2、3回失敗したが、たまに、明とゲーセン行ってるから採れるコツ教えてくれたんだよな。 籠から出てきたそれを手に取り、みくるに渡す。 「これ、欲しかったんだろ?やるよ。」 「え!?い、良いの本当に・・・?」 「ああ。」 「あ、ありがとう!!」 みくるは嬉しそうに熊ちゃんを抱きしめた。 その後、俺達はカラオケ、ボーリングをやったり、楽しい時間を過ごした。 「今日はありがとう!楽しかったわ。また遊びましょ。またね、純平!」 「ああ、またなみくる。」 そう言って、みくるは行ってしまった。 今日は楽しかった1日であった。 「田中、昨日は」 「普通に遊んだだけです部長。」 「つまらぬ!!」 「あんたは何を期待してるんだ!?」 部長の思考回路は怖いと改めて知りました。 End [newpage] 第六話 明の災難な1日 朝登校してクラスに入って自分の席に座る。そして、何時もの様にスケッチブックに絵を描く。 そして、何故だかクラスの連中がざわついている。無視だ無視、俺には関係ない。 「じ、純平君・・・。」 「ん?」 「純平君・・・。」 「どうしたんだ明ってうお!?」 俺の目の前には、制服を水浸しになりながらワカメを被る明がいた。 「何でワカメ!?つか、目が死んでるから!!どうしたんだよ、何があった!?」 「今日ね、たまたま占いカウントダウンを見たんだよ・・・、俺、乙女座でさ・・・、今日、最下位で不幸な1日になるでしょうって女性アナウンサーに言われてさ、俺、登校中、カラスに頭コンコン突かれたり、ドブ溝に足引っかかるし、車に撥ねられそうになるし、自販機の下にお金が奥に入っちゃって取れないし、もう、俺、耐えられないっ!!」 顔を覆う明に俺は付け足して言った。 「つか、そのでかいワカメはどうしたんだよ?」 「ああ、傘忘れたから、傘の代わりだよ。」 「・・・ラッキーアイテムは?」 「お前の弁当。」 「は?」 「お前の弁当だってば、よこせ。」 「何で俺の弁当何だよやらんぞ。」 「・・・」 「そんな泣きそうな顔すんなよ!!やるよ、やればいいんだろ!?・・・弁当箱返せよ。」 「純平君ありがとう大好きや!!」 「抱きしめるなキモい。」 俺は明に昼飯の弁当箱を貸して、俺は売店でパンを買った。 それから何事もなく明は過ごされたそうだ。人騒がせだなアイツは。 End [newpage] 第七話 みくる、美術部に来る!? 「こんにちは~」 放課後、いつもの様に挨拶をする俺だったが、美術室の中は、異様な光景であった。 「こんちは田中先輩、つか、助けて!!」 「不良、これはどういうことだ説明してくれないか?」 其処には互いを睨み付け合いながら言い合う田中とみくるがいた。 それを止めている先輩達。地獄絵面だなこれ。不良に、説明を受けてふむと俺は考えた。取り合えず、俺の作品を触ったみくるが、近くの水の入った絵の具用のコップに、絵が当たってしまったという訳か、それを川畑が怒ったということか、川畑が怒ったのはもしかして・・・。 「あれは、私のせいじゃないわよ!!あんたのせいよ!?」 「あれはあんたの性よ・・・。」 今にもコンパスを出しそうな川畑と睨み付けるみくるに、俺は止めに入る。 「止めろお前ら。」 「「順平(先輩・・・!!)」!!」 「ご、ごめんなさい純平、ちょっとスケブ触ろうとしたらこうなっちゃって・・・。」 泣きそうなみくるに俺は言う。 「いいよ、そんなに気にしなくても、また描けばいいし。」 「で、でも」 「俺がいいって言うんだから良いんだよ。」 「そう・・・。」 「というか、みくるは此処に何か用事か?」 「ああ、美術部に見学しに来たのよ。生徒会は今日はオフってわけ。」 「そうか、何もない所だけどな。」 「・・・ほ、本当は純平に会いに来たなんて言えない。」 「何か言ったかみくる?」 「べ、別に!!」 頬を染めながらそっぽを向くみくるであった。何なんだ? 川畑はじーと俺を見ていた。俺は川畑に言う。 「川畑」 「・・・何ですか?」 「お前、結構いい奴だな。」 「!?」 「俺の絵の為に怒ってくれたんだろ?ありがとな。」 「・・・先輩の癖に生意気よ!!」 顔を真っ赤に染めながら怒る川畑に、俺は首を傾げるしかなかった。つか、何で怒ってんの? 「あ、あの、川畑さんだっけ?ごめんなさいさっきは・・・。」 「・・・別に気にしてない。」 お互いに仲直り出来たようだ。 ※※※ 「というわけで、かるたをしようではないか。」 「唐突だにゃ、千鶴は」 「本当にそうですね。」 「・・・。」 「では、私が読もう。え~笑う門には福来る」 「はい!」 「オノマトペ」 「そや!」 「バタフライ」 「はい!」 みくるが素早く読み上げた札を取る 「やるなぁ、みくる。」 「負けないわよ!」 燃えてるなみくる。 ・・俺も頑張るか 「清少納言!!」 「これだ!!」 「福沢諭吉!!」 「・・・!!」 「人生ゲーム!!」 「はい、取った!!」 かるたじゃないしこれ!? 「部長、これかるたじゃないんじゃあ・・・」 「かるただ、まだまだやるぞ。」 「・・・」 俺、何か間違っているのか? その後、何故か勝った西原が一位となり、2位がみくる、3位川畑、4位不良、5位が猫先輩、ビリが俺となった。 その後、バツゲームでジュースの買い出しに行かされたのは言うまでもない。 「今日は楽しかったわ、ありがとう、千鶴。」 「良いさ、たまにはみくるも遊びに来るとアイツも部員達も喜ぶよ。」 「・・・ありがとう。」 その後、それぞれ皆、絵を描いてみくるが部員の絵を見て、楽しそうに過ごした。 部員の皆も、みくると仲良く出来たようだ。 End [newpage] 「お嬢、どちらに?」 「ちょっと外に」 「誰か付き人連れて行きやすか?」 「いや、いいよ。一人で行くわ。」 「分かりやした、行ってらっしゃいやせい!!」 もうすぐ会える、あいつに・・・ 第八話 みくる妹現る!? 「お前、本当に馬鹿だよな。」 「しょうがないだろ!?数学のノートの宿題忘れたんだよ!?なあ、頼むよ、見せて下さい!!」 頼む明に、渋々ノートを貸す俺だった。 今日も授業を受けて、みくると話して、美術部で絵を描いて1日が終わる筈だった。 なのに、 「なあ、兄ちゃん金貸してくれよ。」 「そっちがぶつかって来たんだろ~?」 カツアゲにあってます いやいや落ち着け俺、どうしてこうなったんだ!?帰り道にこいつらにぶつかって、絡まれているだけなんだ、初めてだから恐いな~、最終手段で逃げるをコマンドで選択するか、うん、そうしよう。 「ぶつぶつぶつぶつ」 「おい、こいつ、何か言ってるぞ。」 「恐!?てめ、聞いてんのか!?」 「それくらいにしたらどうだ?」 そこに、男が立っていた。俺の身長の低い、銀髪の男子が。 「何だと!?」 「なあ、頼むよ。こいつ、俺の連れだから。いい加減にしないと殺すよ。」 にこりと笑う彼に、威圧感が半端なかった。 「ちっ、行くぞ。」 男二人、チンピラは去って行った。 「あの、助けてくれて、ありがとうございました。」 「いいよ、俺はあんたを探してたんだ。」 「俺を?」 「田中純平だろ?桜ヶ丘高等学校の美術部員、あと根暗。」 「・・・まあ、はい。」 「話がしたかったんたんだよ、俺は池原桜子だよ。みくるの妹だよ。」 「妹!?妹なのにどうして男の格好を?」 「こっちの方が動きやすいんだよ。他人に見つかったら連れ去られる、俺は愛人から出来た子供だからさ。」 「!?」 「みくるとは仲が良いんだよ、それを親達は会わせてくれないんだ。池原グループのお嬢だから。」 何か凄い人に会ったな俺。 「つーわけで、家で話しようぜ」 「え、マジで!?」 桜子に手を掴まれながら、歩き出した。 [newpage] 『いらっしゃいやせ!!』 チンピラがたくさんいました。 チンピラ達が列で並びながら出迎えてくれた。そっちのお嬢か、怖いわある意味。 「お待たせ、純平。」 下の名前勝手に呼んじゃってるし。 「あのさ、お前、お嬢だったんだな。」 「そうだよ。」 そこには、花柄のピンクの着物を着て、髪を纏めて、微笑みながら紫の扇子を持った桜子がいた。正に美人である。 「桜子で良いわよ、私も純平って呼ぶから。部屋でお茶でも飲みながらお話ししましょう。」 桜子に連れて行かれたのは、広い敷地の中でまるで、映画のワンシーンにいるみたいだった。 ※※※ 着いた場所は、畳の広い一室であった。テーブルと座布団が二枚ある。そこに、俺達は互いに向き合う形で座り、一人のチンピラさんが、途中入って、茶菓子と熱いお茶をくれた。 桜子が扇子を口を隠しながら言った。 「じゃあ、質問。私が何で純平を知ってるか聞きたい?」 「もの凄く聞きたいです。」 「分かったわ、あれは、みくるがよく貴方のことを話しているから、会ってみたいと思ったからよ。」 「マジで?」 「本当に根暗いわね貴方。」 言うまでもない・・・!! 「桜子はあれか?みくるとは仲良いんだな。」 「ええ、昔からよ。中々会えないし、家系が五月蝿いから外では男装してるわけよ。」 「そっか・・・。」 その後、桜子と色々な話をした。 「もう、外が暗いな。そろそろ帰るわ。」 「そうね。また来て頂戴、貴方の絵も見てみたいし。」 「ああ、今度持って来るよ。じゃあな。」 「純平、ちょっと。」 「え?」 桜子は俺に近づいて、右ほっぺにチュウをして来た。妖艶に微笑みながら。 俺は顔を染め、ばっと桜子から離れ、わたわたと慌ててしまった。 「な、何すんだよ!?」 「アメリカでは普通の挨拶よ。」 「・・・此処は日本ですけど。」 「ふふ、反応が面白いわね貴方。またね。」 桜子はにこりと微笑みながら手を振った。 不思議な奴、みくるの年齢が1個下なのに妙に大人びていると思った。 「ああ、姉さん。会ったわよ。田中純平に、面白いわねあの人。え?気になるかってそれは・・・まあ、気になるわね。」 End [newpage] 第九話 その乙女心、思い人に届くか否か (川畑視点) 桜ヶ丘神社、私、川畑華子は住んでいる。そして、桜ヶ丘高等学校、私は高校一年生であり、通っている。 私は最近おかしい、なぜか1個上の田中純平を見ると胸が痛い。味覚音痴に不本意だが、聞いてみた。 「それって恋じゃないの?」 「・・・鯉?」 「いや、そっちの鯉じゃなくて、恋の方。」 「・・・嘘よ、そんな筈ない。」 「仮に田中先輩見ると、胸の動悸が止まらないんだろ?やっぱり恋だよそれ。へぇ・・・お前がね。」 「く・・・!?」 にやにやしながら言う味覚音痴にいらっとしながらも、本当のことだから言い返す言葉が出来ない。 「好きなんだろ?田中先輩が。」 「・・・」 不覚にもこくりと頷いた。 「お前、相当田中先輩に印象悪すぎだから、何か菓子でもやればいいんじゃないか?」 というわけで、弁当を作ってみた。 田中先輩に渡そうとしたけど、萩原みくると話していた。何故か楽しそうに。 ・・・何か、胸が痛い。 私はその場を去った。 部活が終わり、渡すのも明日にしようと帰ろうとした時 「川畑。」 「!?・・・先輩。」 そこに、先輩がいた。 先輩は顔をポリポリかきながら私に言った。 「西原が弁当作ってたって言ってたから本当なのか?」 「・・・はい。」 「食ってやるよ。」 「え?」 そう言って、田中先輩は美術室に入って机に座り、弁当箱を開けて、箸を持ちながら食べた。 「美味い。」 田中先輩はそう言いながら、もぐもぐと食べ始めた。 「・・・良かった。」 「ん?何かいったか?」 「・・・いいえ何でも。」 嬉しかったなんて、貴方には教えない。 「・・・昨日は助けてくれて、ありがとう。」 「いいよ別に、巫女様は今日は素直なことで。」 「・・・殺す。」 [newpage] 第十話 純平と明の出会い そいつと出会いは必然であった。 俺は昔から人を寄せ付けない性格であった。だから、祖母、ばあちゃん以外に親密に馴れる人なんて誰も居なかった。 小学校の休み時間はスケッチブックで絵を描いていた。 「やっぱりこれは、こうした方が良いな。」 ブツブツと呟く俺に、クラスの皆は、不審な目で俺を見る。所詮、いじめである。 「あいつ、一人でブツブツ何か言ってんぞ。」 「本当だ、気持ち悪い。」 居心地が悪かった。 俺は、どうして迷惑をかけていないのに、他人にそんなことを言われなければならないのか分からなくてついに涙を流していた。 どうして何のために学校に来ているんだろ? 俺はそんなことをぼんやりと考えていた。 輪の中に入っても、楽しく何てないのだとそう、思っていた。 だけど、あいつは違った。 「凄いなお前っ!!」 突然、声がして、俯いていた顔をあげると、俺の目の前にそいつは立っていた。 目線は俺のスケッチブック。 「絵上手いな~、なぁ、今度、俺の似顔絵を描いてくれよ!!」 興奮した様に言うそいつが、明であった。 「すげすげすっげぇ!!やっぱり上手いな~お前!!」 「・・・お前じゃなくて、田中純平だよ。」 「純平か、俺の名前は鳥明だ。宜しくな根暗眼鏡♪」 根暗・・・根暗い・・・根暗・・・眼鏡・・・。 その時、俺は動いた。 「根暗言うなー!!」 飛びげりをくらわした。 あの後、中学まであだ名を付けられた俺であった。 「いや、あの頃は若かったな俺ら。」 「オッサンみたいに言うな鳥頭。」 「やるか?根暗。」 そんな関係な俺達。これでも、明には感謝してるんだ。お前と話すと楽しみが増えるから、ありがとう。ありがとう何て、本人に照れくさくて言えないけど。野球という物がこんなに楽しい何て初めて知ったから。 明と出会って以降、いじめはピタリと止んだ。俺の絵の評価が皆に認められたのだ。 End [newpage] 第十一話 みくると桜子 姉さんと初めて出会った話をするわ。 私と、みくるは双子の姉妹。 みくるは、萩原グループのお嬢様、私は、跡取りの極道のお嬢。 私達は普通の姉妹にはなれない。名前が違えど、私には、萩原の血が流れている。 父親が同じで、私は、愛人から生まれた子であったの。 萩原の名において、表向きは対立している。 でも、裏では仲の良い姉妹だったわ。 初めてみくると出会った時よ。 「は、初めまして、みくると言います、よろしくお願いします!!」 綺麗でお姫様だなって思った。 ピンクのワンピースを着て照れた様に緊張して言うみくる。 私とは、大違いである。女の子だって綺麗に着飾りたいと思う。だけど、私は、無理だと思った。私は、女らしくないと。 【桜子、貴方は時期当主です。時期当主らしく、勇ましくなりなさい。】 母親から言われ続けた言葉、私は、極道の娘であり、立ち振舞い、礼儀、言葉、作法、全て学んできた。だけど、何かが足りない。 「桜子さん・・・?」 「桜子でいいよ、みくる。」 「うん!」 みくるの部屋は、広くて、羨ましいなって思った。がやがやしている私らの家とは、違かった。 「みくるは、此処で過ごしてるの。でも、両親は仕事で忙しいから我慢してるの。」 哀しく俯くくるみ。私は、あることを提案した。 「じゃあ、トランプでもしようか?」 「トランプ?」 「初めてなの?」 「う、うん。」 「こりゃ、たまげたねぇ、あははは!!・・・しょうがない、教えてあげようかね。」 「あ、ありがとう・・・!!」 みくるは、嬉しそうに微笑んだ。 私達は、トランプで色々な遊びをした。 そして、お別れの際に、私は、言った。 「改めて、私は、時期当主、池原桜子であります。よろしくお願いいたします。」 私は、会釈する。続いて、みくるはスカートを広げて礼をする。 「私は、萩原グループのお嬢様、萩原みくるです。よろしくお願いいたします。」 私達は、こんなに仲が良いのに、萩原という壁が邪魔をする。 「どうして普通の双子の姉妹じゃないんだろうね?」 「それが運命何だよ。」 中々忙しい、私達。だけど、連絡をたまにしている。 「みくる、あんた好きな人できたのよね?確か、田中純平君だっけ?」 「ど、どうして知ってるのよ桜子!?」 「だって、本人にあんたの事詳しく教えてくれたんだもの。まあ、頑張りなさいよ。」 「・・・もしかして、桜子も純平のこと狙っているの?」 「さぁ、どうだろうね。まだ、分からないわ。」 「例え、桜子でも容赦しないんだからね!!」 そこで、電話が切れた。 「・・・まったく、不器用にも程があるわよ。」 「お嬢、桜組来やしたよ。」 「・・・分かったよ、よし、行こうかしらね。」 母親に続き、当主、池原桜子が参りましょうかね。 End 第十二話 夏休み 中間テストが終わり、季節はもう、夏。あっという間に一学期が終わり、明日から夏休みである。 「キターぁぁぁぁぁぁぁ!!ついに、明日から、夏休み!!」 「つか、お前、明日から部活三昧じゃないの?」 「当たり前だろうが、勉強より、部活を俺は優先するさ!!」 「お前は相変わらずのウルトラ馬鹿でなりよりです。」 呆れながら言う俺に、明は、お構い無く言った。 「明は今年もやるのか?あの企画。」 「・・・分からないんだよな~、一応部長に、聞いてみるよ。」 「俺も久しぶりに美術部の先輩達に会いたいしよ♪」 にこにこと話す明。ちなみに、あの企画とは、【夏休みを思う存分遊ぼうぜ!!】という企画。 去年は俺達と先輩達と遊んだりしてたっけ、部活もあったけど。 今年は何をするんだろうか。 ※※※ 「とりあえずは、受験という呪縛から解放されたいのだ。」 「にゃー!!勉強忙しくなるし、補習ありっぱなしだにゃ~!?」 受験に苦戦する先輩達。やっぱり難しいか・・・?俺は、構わず部長に聞いてみる。 「じゃあ、今年は、部活はやらないんですか?」 「やるに決まってるだろうが!?いつ、夏を満喫するのだよ、優等生ナメんなよ!?ついでに、担任脅してきたから大丈夫だ。」 「あ、やるんですか。つか、えげつないですよそれ!?」 「あの・・・」 「はい、味覚音痴。」 指を指す部長。 「夏休みの美術部ってどうしてるんですか?」 「普通にだらだらして過ごしてるぞ。」 「去年は夏祭り行ったり、海行ったり、虫獲ったり、魚釣ったりしてたにゃ☆」 「何処のアドベンチャーゲームすか!?」 突っ込んだ不良。 「あ、不良が突っ込んだにゃ。」 「今年は、2泊3日の別荘に行くぞ。因みに、明とみくるも来るみたいだぞ。」 「まじかにゃ!?鳥ちゃん来るの~?」 「お呼びですかな?」 ドアの前に立って決めポーズをとる明。実にキモイ。 「あ、鳥ちゃん久しぶり~!!元気だった?」 「元気元気超元気ッスよ。」 きゃっきゃっと楽しそうに挨拶を交わす二人、実は前から仲がいい二人である。 「みくるの別荘でだ。」 「何ですって・・・!?」 川畑が嫌そうに言う。お前、みくるにどんだけ抵抗あるんだよ。 「姫の別荘か、これぞ、萩原グループの力だな。」 うんうんと明は頷く。 「というわけで、明日の朝10時に学校の校門前に集合だ、お前達、各自、準備しておくこと。いいな!!今日は部活はなしだ。では、解散!!」 【はーい!!】 俺達は明日の準備の為に、今日は帰ることとなった。 ※※※ 「2泊3日お世話になります。萩原みくるです。よろしくお願いします。」 「鳥野明だぜ♪よろしく☆」 「よろしくな。」 「・・・ふん。」 「こちらこそよろしくッス。」 「よろしくにゃ☆」 「よろしく頼む。」 「よろしくです。」 上から、俺、川畑、不良、猫先輩、部長、味覚音痴である。 「迎えの車はリムジンで行くわよ。」 傍に控えていた執事が礼をして、乗る様に促す。リムジンの中は広くて、居心地が悪かった。これぞ、庶民的意見である。 リムジンに乗って30分、ようやく着いた場所は別荘であった。 見渡すと、敷地が広く、さすが金持ち。半端ないなと俺は思った。 部長が皆に、言い渡す。 「はい、注目!!夏休みというわけで、思う存分遊ぼうというわけで、まずは海で、遊ぶぞ。ただ海で泳いで遊ぶ何てのは面白くない。そこで、ビーチバレーで勝負だ。二組でペアを組んで挑む。最下位の奴は、罰ゲームはTRのHAT LIMITで、海の上で踊って頂きます。」 【・・・こ、この勝負負けられない!!】 しれっという部長が恐ろしいと皆、内心、思うのであった。 「あ、言い忘れてた。あと水着に着替えてくれたまえ。後程、着替えたら此処に集合だ!!」 ※※※ 「不良、言いたいことは分かるか?」 「ええ、分かるっすよ。美人は水着が似合うってことですよね。」 「二人とも鼻血出てますよ、ほら、テッシュ、テッシュ!!目が恐いって!!」 オカンみたいだな俺。 ちなみに、みくるの水着は、控えめな白のビキニと、川畑は、上が黒と下が、緑色のスカート?を巻いている。川畑先輩は、上下のリボン付きピンク色の水着、部長は学校のジャージである。何とも色気もない。男子は、俺は赤。明は虹色、不良は、青。味覚音痴がグレーである。 不意に、みくると目が合い、照れた様に目を反らして、身体を隠しながら、ボソリと言った。 「そ、そんなに見ないでよ・・・!!」 ・・・これは、何という感情だろうか? 「それは、萌えという感情だにゃ~☆」 猫先輩、どうして俺の心の声が聞こえたんだろうか? 「秘密だにゃ♪」 「いいかね、桃。皆、それぞれ箱の中に色が2つ重ねてある。引いた後、せーのであげるんだ。さぁ、各自引いてみてくれ。」 皆、部長に従い、それぞれくじを引いた。 「じゃあ、いくぞよ。せーの!!」 【!?】 「お、味覚音痴の人だっけ?宜しく。」 「此方こそよろしくお願いしますよ。」 味覚音痴と明、青色チーム。 「ふむ、君と一緒か。何がなんでも勝つぞ。」 「そっすね勝ちますよ絶対!!」 「所でお前、先週貸したエロDVDはどうした?」 「あ。すんませんっす。」 部長と不良、赤チーム。 「絶対勝つわよ純平!!」 「おう、何がなんでも勝たないとな!!」 俺とみくるが黄色チーム。つか、絶対恥ずかしいぞあれは!?本人なら分かるが、他人がやったら恥ずかしいぞあれ絶対!? 「・・・。」 「何々、二人が気になるかにゃ?」 「そ、そんなんじゃないです!?」 紫色チーム、川畑と猫先輩か。つか、川畑、何でこっち睨みつけてんだよ。 「・・・ムカつく。」 そっぽを向いてしまった川畑。本当に何だよお前。 「というわけで、始まるぜ!!チキチキビーチバレーボール大会ー!!」 何処からか、花火の音が聞こえた。 最初に対戦するのは、赤チームと青チームだった。ジャンケンで勝ったチームから、対戦となった。 「あっははは、我のアタックを返せるかな!?」 「なんのこれしき!!」 部長のアタックを明が跳ね返した。 「負けねっすよ!!」 不良が返した。 「もぐもぐもぐ!!」 味覚音痴は意味不明である。 「そりゃ!!」 結果は先輩達が勝った。 「部長達が強いなあはははは!!ぐすん。」 「もぐもぐもぐ。」 明が悲しむなか、肩に手を置く味覚音痴であった。 次に、みくると俺、黄色チームと川畑達紫色のチーム 「ふん!!」 川畑が攻撃する。 「そりゃ!!」 猫先輩も負けじと返す。 「くっ!!」 みくるは苦戦中である。 俺だって・・・。 「おりゃ!!て、あ痛っ!!」 ボールを返すつもりが頭に当たってしまった。 「何やってるのよ純平!!」 「ご、ごめん・・・。」 だが、決着はついてしまった。 「にゃははは勝ったにゃ☆」 「疲れたわ。」 猫先輩のいるチームが勝った。 「しょうがないさみくる。」 「・・・何か悔しいわね。」 で、結局勝ったのは部長達のチームで負けたチームが明のいるチームであった。 「夏が 胸を刺激する~♪ナマ足、魅惑のマーメイド~出すとこ出して~たわわになったら、宝物の恋は やれ 爽快っ!!」 明はノリノリであった。腰を振りながら、ダンスが完成度が高く、味覚音痴は、明にうちわを扇いでいた。顔が引く付いている。何だこれ。全員爆笑である。 夕方は、バーベキューをして、夜は、花火をやった。 「純平、これ綺麗よ!!」 「そうだな。」 みくるは、自分が持っている花火を興味津々で眺めて、楽しそうに笑う。横顔を見ると綺麗だなと思った。 1日目が終了した。 二日目は、人生ゲームをした。勝った奴は何とも以外な川畑であった。勝った奴は、1つ罰ゲームを与えることが出来る。 川畑が、俺を見て言った。 「先輩と、買い出しに行きたいです。」 「!?」 皆、唖然としていた。当然、俺は指名されたので、頷くしかなかった。 それを、傍らに、みくるが複雑そうに見ていた何て俺は、知る由もなかった。 ※※※ 「先輩とこうして喋るのは、久しぶりです。」 「・・・だな。」 「先輩は、好きな人がいるんですか?」 「・・・いないよ。」 「そうですか・・・。先輩。」 「何だ?」 「単刀直入に言います。私、先輩のことが好きです。」 「!?」 川畑の言葉に、俺は思わず思考を停止してしまった。川畑の目に、嘘はなかった。 「・・・ご、ごめん・・・川畑。俺は、お前とは後輩の関係でいたいんだ。」 「・・・そうですか。」 いつもの無表情ではなく、ただ、川畑は苦笑しながらそう言った。 何だか、泣きそうな顔をしていた様な気がした。 徒歩で15分、近くのコンビニで全員分のアイスを買ってまた来た道を、俺達は戻る。 「・・・」 「・・・」 何だか、気まずい。 「先輩。」 「はい!?」 思わず変な声を出した。 「1回だけ、して欲しいことがあるんです。それをしたら、また何時もの私に戻ります。何時もの川畑華子に戻ります。」 「・・・」 「だから、腕を組んでも良いですか?」 「・・・良いぞ。」 川畑は、俺の左腕に右腕を組んで来た。また、俺達は黙ったまま歩いた。 ※※※ 「で、どうだったの?」 「駄目だったわ。」 「告白すんの早くなかったか?」 「いつまでも引きずったままじゃ私が嫌なの。女は、当たって砕けてなんぼなのよ。」 「でも、良かったじゃないの?何かすっきりしてるよ顔。」 「味覚音痴の癖に生意気よ。」 川畑は、笑いながら泣いていた。 ※※※ 「二日目はこれだー!!【チキチキ肝試し大会】ー!!」 【いえーい!!!】 「二人ペアとなって、神社まで歩いて1つの祠があるので、御札を置いてくるのだ!!だけど、気をつけろよ。彼処の神社、出るってよ。」 【・・・マジで。】 「嘘である。」 【嘘かよ!!】 各自、先輩が作ったあみだで決めることになった。 結果はこうである。 明と不良 猫先輩と川畑 俺と味覚音痴 部長とみくる 「準備は、先輩達でしたから、不良達から行っていいぞ。んじゃ、肝試し大会スタート!!!」 「んじゃ、行くか中原。」 「いいっすね、行きますか。」 最初は、不良と明ペアである。 ※※※ 「つか、鳥野先輩何してんすか?ビデオカメラ持って、古いっすよそれ!?」 「何ってRECだよ君、最近の若者は分かっとらんな。もし、スタンド出たら、恐怖映像に送りつけるんだよ。そして、見事、第一位目指すんだよ。お分かり頂けただろうか?ってね♪」 「正真正銘のウルトラ馬鹿っすよね先輩は。」 「え?バルタン聖人?違うって~。俺は、アイアムAKIRAだから。」 「ほら、行きますよ。」 「おいおい無視かよ。」 ※※※ 「思ったより簡単だったな。つか、先輩、俺、実は少し霊感あるんすよ。ほら、先輩の肩にいる黒髪の女とか。」 「おんぎゃああああああ!!!」 「つか、逃げるの早っ!?」 黒髪の女は、不良の方に顔を向け、にこりと笑い、消えて行った。不良はそれを見て、苦笑して言った。 「お勤めご苦労様。」 猫先輩と川畑ペア 「川畑、たなちゃんに告白したんだって?やるにゃ~お前。」 「ど、どうしてそれを!?」 「味覚音痴が教えてくれたにゃ~、でも、負けんにゃよ!!まだ、二年間あるんだから、一度フラれたってまた何度もアタックすればいいんだにゃ!!負けるな華ちゃん!!」 「先輩・・・ありがとうございます。私、やっぱり薄情です。まだ、・・・やっぱり諦められません。また、頑張ってみます。」 「頑張るにゃ☆あ、彼処に河童が!!手振ってるにゃ!!」 「可愛いですね。」 「にゃ~☆」 当初の目的を忘れる所であった二人であった。 俺と味覚音痴ペア 「珍しい組み合わせだな。」 「そうですね。先輩、俺、何か此処、違和感があるんですよね。」 「は?」 「空気ですよ、空気。陰と陽あるじゃないですか。そんな感じですよ。何かしらもやもやしますね。」 「例えが分からないんだが。」 「俺、霊感あるんですよ。だって、そこに女の子が、ぐはっ!?」 俺は即座に、味覚音痴に抱きついた。 「何やってるんですか・・・。」 「正当防衛だ、気にするな。」 そして、俺達は無事に生還することが出来た。 「後、先輩。」 「何だ?」 「今度泣かしたら許さないですよ。」 「?」 「それだけ言いたかったことです。」 その意味に、俺はまだ、気づく事はなかった。 部長とみくるペア 「最近はどうだね?純平とは。」 「・・・まあ、普通よ。」 「そうかそうか、頑張れよ。あははは!!て、冷た!?」 「こんにゃくだわ。」 「こんにゃく?私の仕掛け奴は、明かりと河童の人形ぐらいだが・・・。」 「「・・・。」」 「さっさと置いて行くか。」 「・・・そうね。」 難なく二人はクリアした。 全員が微妙な感じのなか、不良と味覚音痴が言った。 「彼処の神社いたよな?」 「ああ、いたいた。女の子とか、女性の霊とか。」 【ぎゃあああああ!!!】 その後、皆で怪談話をして二日目が終わった。 三日目は、近くの水族館や、遊園地で遊んだ。 明が馬鹿騒ぎしたり、うざかった。 みくるも、色々な乗り物を乗ったりして、楽しそうにしていた。 2泊3日はあっという間に終わった。 ※※※ 「というわけだったのよ!!」 「あっははは、それは良かったわね姉さん。私も、近くに遊びに来るからね♪」 「そうなの?分かったわ。それじゃあまたね。」 「はいはい~♪」 End 桜子とみくるが入れ替わるお話。 「あら、姉さんと入れ替わっちゃったわね。」 「・・・私より、胸あるじゃん桜子」 「姉さんはそのままで綺麗よ。」 「・・・(何も言えない)」 [newpage] 第十三話 体育祭編 明は、俺が言うのもなんだが、めちゃくちゃ野球が上手い。小、中学校でも、とにかく野球部に入って頑張っていた。何でお前そんなに好きなのって聞いたら、俺、将来野球選手になりたいんだって言ってた。明ながらの、純粋な答えだなって思った。 「純平何描いてるの?」 「馬鹿」 「ああ、鳥野君ね。」 「あ、分かったんだ」 みくるの意外な返答に苦笑する俺 そして、夏休みが終わり、期末が終わって体育祭が始まる。そうそう、あいつは、甲子園全国2位まで行ったそうだ。柄にもなく泣いちゃったよって言ってた。後、一歩という所だったのに悔しい手前、あいつは、いい試合だったと言っていた。来年は、あいつが主将だそうだ。 話が変わり、今は、体育祭に向けての競技決めに移る。ーーーーーーーーーーーーー ちなみに俺らは、赤組みだ。 あの野球馬鹿が燃える訳だ。 当日前の、体育祭実行委員会クラスの会にて 教卓に机を叩きつけながら、明は言う。しかも、真面目な顔で。 「お前ら、夏休みが終わったからってカレカノとイチャイチャイチャイチャするんじゃあありません!!」 「でた、野球馬鹿!!」 「安岡先生、何でコイツに体育祭実行委員やらせんのさ~!!」 「仕方ないだろ、鳥野がやりたいって行って来たんだから。」 担任の安岡先生が苦笑しながら言う。 ぶーぶーとブーイングを鳴らされるクラス皆に、鳥野は言った。 「いいか、体育祭なんてのはな、片思いしている奴がいるとしてそれはチャンスだと思え。良いところを見せるチャンスだ若造よ。」 また始まったよ、熱血指導 暑苦しくてたまらんわ 体育祭は、基本的この馬鹿が率先して何故だかクラス一同盛り上がる効果がある。 ・・・俺は慣れているがな。 教卓に立つ馬鹿は、松岡●造なりに暑い。つか、はよ終われ。 「我の名前は鳥野軍曹だ、今こそ立ち上がり、天下統一を目指すのだー!!ちなみに負けた奴は切腹な。」 どこの武将だよ、天下統一って何!? 【鳥野軍曹・・・】 何とくんとときめいてんだよお前ら!!何で皆感動してんだよウチのクラスは!?レッツパーリーしちゃうの!?あ、つか、このクラスまともな人いなかったわ。 「軍・曹!!」 「軍・曹!!」 「軍・曹!!」 皆が、軍曹の言葉で一つになった。 「あっははは、良いぞ、良いぞよ足軽共よ。」 あっはははと高笑いをする馬鹿。 良いぞじゃーねぇよ!!つか、どこの宗教団体!? そんなこんなで俺は、借り物競争に出ることになった。 ちなみに明は、学級対抗リレーに出る。 「うちのクラスだけでコスプレリレーとかどう?」 「面白そ~」 「いいな、それ。」 「くじ引いてランダムで行くぞ☆」 やっぱり安定の馬鹿であった。 ※※※ 「ふ~ん、お前達は、別々に出るんだな。」 「私は、台風の目出るにゃ☆応援してちょ☆」 「先輩達は、青組みですね、お互い頑張りましょう。」 「私と、不良と、味方馬鹿は白組みで何で寄りによってお前と・・・!?」 「我慢しろよ貞子」 「黙ってろ味方音痴」 「お前ら喧嘩してる場合かよ!?すんません田中先輩、こいつ等連れて行きますね。」 「お、おう頑張れよ。」 そして、二人を連れて行った不良、お前、おかんかよ!? しばらくすると競技が始まった。最初のやつは、800メートル走だった。みくるが走っている所を俺は見ていた。 「みくる姫ー!!てらカワユス!!」 「こっちみて下さい!!」 あ~親衛隊の奴らだな。密かに人気があるみくるだけど、非常にファンが多い噂だ。と、あ、1位がみくるだな。良かったな。あいつは、白組だったけな。 【続きまして、プログラム4番、借り物競争です。選手の皆さんはスタート位置に集まって下さい。】  あ、俺の出番か。・・・何か、ドキドキすんなあ。 「純平ー!!頑張れよ!!」 暑苦しいぞ明っ!! 【位置についてよーい、スタート!!】 ピストルが鳴り、選手達が一目散に走り出す。 俺も直ぐに、紙が置いてある場所に走って行った。 「え~何、何・・・。」   【好きなあの人のカチューシャを取って来て下さい!】 カチューシャ、みくるしかいないな。 俺は、みくるに駆け寄った。 「みくるー!!」 「へ?」 「頼む、お前のカチューシャ貸してくれ!!」 「あ、うん、はい!!」 「ありがとな!!終わったら返すからな!!」 「・・・」 「何々、くるみ~顔真っ赤よ。まさか、あんた、期待してたの?」 「そ、そんなんじゃないわよ!!」 彼女達がそんな話をしているのを、俺は知る由もなかった。 ※※※ 何とか、3位に入れた。 俺は、みくるにカチューシャを返しに行った。みくるは、顔が真っ赤だったが。 「カチューシャありがとうな。」 「・・・いいわよ、別に。」 「俺が着けてやろうか?」 「!?」 俺は、みくるにカチューシャを着けた。 「やっぱり、そっちの方が可愛いよ。」 「!?」 「へ?」 みくるが、目を見開いて、口をぱくぱくしながらさらに顔が真っ赤になる。 「お前、熱があるんじゃあないか?」 「な、何でもないわよ!!」 「?」 みくるは、顔を背けたままぼそぼそと言う。 「あ、あんたが変なこと言うからよ。」 「?」 「田中君ー!!ウチのクラスの応援始まるよ。」 「今行くよ!!、じゃあ、みくる、無理するなよ。」 「う、うん。ありがとう・・・。」 赤組みの応援タイムが始まる 「フレフレ、赤組み!!」 「オセオセ赤組み!!」 「ファイオー赤組み!!」 「アイーン」 何か、バカ殿様がいる!?右腕を顎に当てて、変顔で決める奴はって、明じゃん!! ノリノリだし元気だな。 「優勝しようよ、そうしよう♪はい、せーの、だっふんだ!!」 【だっふんだ!!】 「明、お前が団長になってんぞ!!もう、俺の出番がねーじゃねぇか!!」 3年の団長も参っている様子だった。 「いや~すんません。俺は、馬鹿なんで、お祭りがあったらいてもたってもいられないんでしょうがないんスよ。一生涯の人生で学生に一番いい思い出にしたいんスよ。学生って短いから、馬鹿やってこうやれんのって今しかないじゃないんスか。病気があって身体が弱くて出られない奴だっている。そいつらの為にも何かしてあげたいんスよ。」 向こうを見ると、保健室テントに出られない人達が数名いて、明の方を見て涙を流して笑っていた。中にも、三年の先輩達も混じっていた。最後の体育祭、思い出が作れた筈なのに出られないという思いもあったかもしれない。でも、明は人を楽しませる能力がある。先輩達も心に響いたのだ。 赤組み一同、明の話に真剣に耳を傾けていた。 「皆さん、悔いの残らない体育祭にしましょう!!俺、来年団長やるんで団長やっていいすか?」 「ああ、くれてやる!!お前ら、勝つぞー!!」 【おー!!】 ところで、美術部の先輩達はというと、台風の目で勝ったり、味方音痴と不良が二人三脚で頑張ったり、川畑は綱引きを頑張ったり、皆、それなりに楽しんでいた。残るのは、学級対抗リレーだ。今の所、赤組みと白組みが互角である。 【これより、最後の競技、2年の学級対抗リレーが始まります。】 ついに、明が出る競技だ。 次々に、スタート位置に選手達がつく。 【位置について、よーい、スタート!!】 そして、選手達が走り出す。つか、一人変なのいない?ってスクリームのあいつじゃん!? 誰があれ走ってんの!?ホラーキャラがいるよ!?右手には赤の棒、左手には包丁!?あれ、玩具だよな?何か振りかざしながら 「ヨーロレリホ~♪」 顔と声のギャップが半端ない!? スクリームは2位になり、それから次のバトンが渡された。 次はって進撃の兵長!?つか、完成度高っ!! 「前に、一体の巨人がいる・・・剃るか。」 剃らないで!?此処違うからジャンル!! 「キャー兵長よ!!」 「まんまじゃんつか」 「かっくい~」 【赤組みのリヴァイ兵長がぐんぐん走る~!!おっと、此処でバトンを渡した!!】 えらい実況で興奮してるな放送部。 今は、白組み1位、赤組み2位、青組み3位の順である。 次は、・・・ピッコロ大魔王かよ!? 「マカンセッポウ!!」 此処で撃つのかよ!? んで、次がルイージやら、マリオやら、ジェイソンやら、デーモン閣下が現れたりカオス状態であった。 「お前を人形にしてやろうか!!」 つか、顔怖い!!他者の皆さん、めちゃくちゃ逆に大爆笑である。保護者や、観客席、あ、最後に明が出る。 いや、何でマスコットいんだよ。 ふ●っしーがいる・・・。がちゃりといや、どっからカセットテープが再生された。 【ふなふなふなふなヒャッハー!!!】 つか、まんまじゃねーか!?ああ、何か疲れた・・・。ヒャッハー!!!と、雄叫びを上げながら走る明。ついに、1位を抜いた!! 「いけ、馬鹿っしー!!」 【馬鹿じゃないっしー、明なっしー!!】 俺の声が聞こえただと!?あんな、長距離で凄いな。 【なし、なし、なし、ヒャッハー!!!梨汁ぶしゃー!!!】 断トツで一位取りました。   「お疲れさん明!!」 「やったわね明!!」 「お疲れさま明君!!」 「しかも、ふな●しーかよお前、やるな~」 「だろ?さすが俺やろ?」 ドヤ顔で言う明に、ばしりと頭を叩くクラスメート達。 「「威張るなよ!!」」 あははと笑いあう明とクラスメート達 何か、明がいて良かったなって思う。 そして、優勝は赤組みが勝った。 文化祭の片付けが終わり、俺は一度学校に入ろとした時、川畑がいた。 「田中先輩!!」 「ああ、お疲れ様どうしたんだ?」 息を切らしながら言う川畑に、走って来たんだなと思った。 「そ、その・・・私とちょっと付き合って下さい!!」 「は?」 end [newpage] 第十五話 純平と川畑との関係性について 根暗と呼ばれている俺にとって人生二回目のデート、いやデートなのか?をする羽目になった。 【おい、こっちみんなよ根暗が移るだろうが】 【根暗メガネキモ~イ】 【まじアイツうざいわ】 小学校の頃の苦い思い出が蘇る。あいつらほんと爆発してくんねーかなと一人内心思ったが、ブツブツと絵を書いていた俺なんかを、何でか川畑が一緒に出かけないかと誘われた。これは何かの買い出しと思いたいが、世間一般的に言うとデートと云う類の物に含まれると思う。・・・まあ、ぼちぼち行きますか。 そして、当日。 此処、地元愛知県の都会な訳で、一応13時に駅のホームで待ち合わせと云うことになった。俺は早めに来てしまったのでまだ10分ぐらい時間があるので待つことにした。 周りを見てみると人が数人ぐらい行き来していた。俺は、それをじっと見つめてぼーとしていた時に後ろから声がかかる。 「先輩」 其処に、私服で現れた川畑がいた、控えめに笑いながら。あいつが笑うのを見るのは滅多にかかれない衝撃であった。 「こんにちは」 「あ、ああこんにちは。」 「いつから来てたんですか?」 「今さっき来た所だよ。」 白いワンピースな清楚な感じで右肩には赤色のバッグを持っている。如何にも川畑に似合った服装である。俺の場合は、私服がラフな感じの青色のシャツと黒のジーンズだが、・・・これ、世間一般的にもう一度聞くがデートだよな? 川畑に聞いてみた。 「あの~川畑さん?」 「はい?」 「これってデートって奴ですよね?」 「今更ですか先輩?鈍感なのも良いところですよ。」 すちゃと右手で、コンパス持ちながら不気味に笑う川畑。ちょ、コンパス危ないから俺に刺そうとしないで分かったから!? 「わ、分かった分かったよ行けばいいんだろ?で、何処に行くんだよ。」 「遊園地です。」 「遊園地かよ!?」 そんなこんなで川畑と遊園地に行くことになりました。チケットを買い、中に入ると、人が沢山いて、お店やらアトラクションが沢山あった。川畑の目がきらきらして落ち着きない様にも見える。 「・・・もしかして、遊園地初めてなのか?」 「そ、そうです・・・。」 「んじゃあ、メリーゴーランド最初にまわるか?」 「はい。」 聞けば、川畑はこの地域の神社の巫女で外出は滅多にしないとのことだった。後、親が厳しいこと。なかなか川畑と話す機会がなかったから普段見れない一面が見れた気がする。 最初、メリーゴーランドにしてみたが、川畑にとっては何から何までが珍しい物ばかりなのだ。俺は幼少の頃1回だけしか行けなかったけど。後輩の川畑が楽しいならそれでも良いかなと思った。 「先輩、何一人でブツブツ言ってるんですか怖いですよ。」 「うえ!?」 どうやら俺は、声に出していたそうだ。やばい、変に思われたかも・・・。だけど、川畑は俺を見てちょっと苦笑するだけであった。いっそキモイと言ってくれ。 その後は、ジェットコースター乗ったり、色々まわった。お腹がすいたので、途中、腹ごしらえに昼食を取った。川畑は、チーズバーガーと紅茶。俺はスパゲティとコーラを頼んだ。 ※ ※ ※ 食事が済んだ後、俺は川畑に言う。 「なあ、川畑。」 「はい?」 「どうして俺を誘ったんだ?クラスメートの男子だったら喜んで行くんだろうがこういうのは。」 「・・・先輩だから誘いたかったんです。」 そう、真剣な目で言う川畑に俺は只黙って見つめるしかなかった。何故だか、俺の質問がいけなかったのか、しばらく沈黙が続いた。やっぱり女子は分からん。 そして、アトラクションや店を廻っていたら、気がつけば夕方になっていた。川畑もそれなりに楽しんだようだ。 「今日は楽しかったですね。」 「・・・俺も楽しかったよ。」 「私、まだ負けませんからね先輩。」 「?」 「ふふ、それじゃあまた明日。」 「ああ、またな。」 川畑は、少しだが笑っていた。そして、川畑が行ったのを図って、俺は傍の草影を睨みつけて声をかける。 「いい加減、先輩達出て来てくれませんか?」 「がははは、バレてしまったか~。」 「いや、バレてますよそりゃあ大人数でいれば分かりますから。」 其処に、美術部メンバーがいた。みくるも一応いたみたいだが、機嫌が悪い様だ。いや、何で? 「何で先輩達いるんですか?今は受験で忙しいんじゃないですか?」 「受験は外、遊びが一番だ。」 「「ね~(にゃ~☆)」」 「いやいや何2人で息合ってるんですかまったく・・・て、みくる?」 「・・・」 頬を膨らませてそっぽを向くみくる。 「あ」 「お」 「にゃ~☆」 「わお」 美術部メンバーが冷やかす目線が痛々しい。・・・俺にどうしろと!? 「あ~多分、みくるヤキモチ焼いてるんだにゃ~☆」 「青春やな!!」 「んな!?そんなんじゃないわよ!?」 「「いい加減素直になれや」」 「!?」 「みくる・・・大丈夫か?」 「次・・・」 「え?」 「私とまた出かけましょうよバカやろー!!」 俺にそう泣きながら指を指して言い、真っ赤になったり青い顔になりながらうわーん!!と、顔を覆いながら物凄い勢いで走って行ったみくるさん。先輩2人は爆笑、不良と味覚音痴に肩を叩かれ苦笑いでドンマイと言う始末であった。・・・俺が悪いのか? ※ ※ ※ 「ていうことがあったのよ桜子~。」 「姉さんほんとどうしようもないわね。」 「ぴゃ!?」 「女なら惚れた男落とさなきゃどうしようもないわよ!?」 「む~」 「む~じゃないの!!は~まったくこんな真夜中電話かけるなんてほんと姉さんらしいわ・・・。お悩み相談じゃないのよ私、だから、もっと素直になりなさいよ。」 「が、頑張ってみる・・・。」 「その粋よ姉さん」 「お嬢、寝る時間ですよ。」 「分かってるわよ。んじゃ、眠いから切るわよ姉さん。」 「・・・うん。」 「ファイトよみくる!!」 「おう!!」 以上でみくると桜子のお悩み相談電話は終わりとする。 end [newpage] 第十六話 美術部員とみくるとときどき明でカラオケ大会!? それは、明の一通のメールから始まった。 from 明 【桜ヶ丘ゲームセンターに来い。出なければお前の今日描いた絵は捨てま~す♪】 携帯を直ぐにしまい、急いで猛ダッシュした。 ※※※ 「お、来た来たってひでぶ!!」 待ち合わせ場所について憎たらしいアイツがいることを確認した俺は、お決まりの跳び蹴りをくらわした。奴は、大いに飛んで行ったがざまあみあがれってんだ。俺は、明に近づいてドス聞いた声で問いかける。 「お前・・・今日描いた絵燃やすってどう言う意味?」 昨日徹夜で描いた絵でまだまだ未完成なのだ。せっかく描いたのに、燃やされてしまっては意味がない。明は、そんな俺に怯えているのが分かり、言い訳をする。 「いやいや落ち着けって、これには深い事情があったんだって、話せば分かる!!」 「問答無用」 「そこまでだ。」 「!?」 後ろを振り返れば私服姿の美術部員達とみくるがいた。 「はろはろ~♪おびき寄せ大作戦大成功だにゃ☆」 おびき寄せ大作戦だと!?猫先輩が言ったことが疑問になり、問いかける。 「あの、猫先輩」 「はいにゃ?」 「俺ってつまり、捕まったってこと何でしょうか?」 「YES☆」 「・・・だ、騙されたんですね俺。」 「こうでもしなきゃ、根暗は来ないだろが」 「そうそう」 「そうね」 「そっスね」 「そうですね」 「そうだそうだ」 「・・・」 上から猫先輩、みくる、不良、味覚音痴、明、川畑の順である。川畑はこくこくと頷かれている。つか、明覚えてろよお前。 「という訳だ、田中、これが終わったら描いていた絵を返してやる。」 「これって・・・?」 「第1回チキチキカラオケ大会ー!!」 また何か始まった。 「とりあえず、カラオケに行くぞ、皆、歌うぞー!!」 【おー!!】 偉い気合い入ってるな・・・。 「ほら、行くぞ純平。あ、それとこれは先輩達に言われてしたことだからな、ついでに絵は後で返して置くわ。先輩達も気が済んだ頃だから、ごめんなほんと。」 「・・・おう。」 これだから、明は律儀なので憎めないのだ。 そんなこんなでカラオケ大会が始まったのであった。 「始まりました、カラオケ大会~!!司会進行役はこの、美術部部長千鶴がお送りいたしまーす!!」 始まった・・・。他の奴ら乗り気でイエーイとか言っている。つか、部長達受験は・・・? 「点数で競いますので、一位の人が最下位の人に命令出来ます。皆さん、本気で歌って下さいね~!!此処に一個のサイコロがあります。私が振ると、名前が書かれているので、その人から順に歌っていくんだ。分かったかね?」 【は~い♪】 何気にカラオケは、久しぶりなのでちょっと楽しかったりするのは内緒だ。 部長の合図でサイコロがコロコロと転がっていき、そして、止まった。 「最初は・・・何だ、桃、お前からだ。」 「私からにゃ!?しょうがない、行きますか~!!」 そして、ピポパと転送したら、テレビ画面に曲が流れる。え~と、曲のタイトルは・・・え? アナタに恋するバキバキメモリアル 【・・・】 どう、コメントしたらいいか困るタイトルである。そして、猫先輩、タイトルがあれなのに、発音が綺麗過ぎて切なくなる・・・。 【アナタに恋してる~♪でも、この思いはちきれそうでアナタをぐちゃぐちゃにしたくなるの~♪】 俺の背筋がぞくりとした瞬間であった。 皆も、猫先輩の歌より、歌詞の方が恐いわという反応であった。いや、歌はいいけども・・・。 そして、歌い終わった猫先輩のやり遂げた顔は、様になっていた。 そして、点数は何と75点であった。 「まあまあだにゃ☆」 猫先輩歪みないな。 そして、2番目は不良で戦隊者の歌であった。つか、ノリノリだろ!!点数は、65点だった。 3番目はみくるだった。お嬢様なので、機械慣れしていないのには冷や冷やしたが、歌ったのは・・・恋愛ソングか。みくるらしい歌だった。最点は、90点、今の所一位獲得である。すげーなみくる、機械慣れしていないのには冷や冷やしたが万事休すだ。  4番目は、味覚音痴だ。相変わらず、意味の分からない食べ物を食べながら、歌う。お行儀悪いぞお前、ちゃんと飲み込んでから歌いなさい!! 「ま~もぐ、まがまつりむぐ、ま~つりだもぐ、もぐま~ちゅむぐ。」 【北島三●かよ!?】 あまりの出来事に皆の突っ込みが一つになった。点数は70点である。 普通だな。 5番目は、明である。 「え~鳥野明が唄います。聞いて下さい。千の風にのって」 ~♪~♪ この歌ってオペラ的にオクターブが低いことで有名だが、明は普通に歌は上手いが、何故か引っかかる点がある。それは、 「何でひょっとこ被ってんだよ。」 皆、そのギャップの驚き大爆笑であった。何ちょっと、踊りながら歌ってるし、その途中、部長が正論の言葉を述べた。 「明、お前絶対芸人向いてるから。」 「いや、俺プロ野球選手なるんで。芸人目指してないんで。」 何でお前、スペックそんな高いんだよと思う今日この頃。点数は60点であった。 そして、6番目は、部長であった。部長は普通のJPOPを歌った。・・・エクサイルのちゅーちゅートラインを歌った。点数は84点。なかなかの高得点であった。 7番目は俺、普通にアニメの歌を歌った。 ・・・ポクモンだが。部長達にからかわれたが、良いじゃんポクモン、小さい頃見てて主題歌覚えてるし。ポクモンに罪はない。点数は、54点・・・イマイチだ。 8番目は川畑、切ない女性の歌を唄っていた。点数は89点であった。 「という訳で1位は、みくる。最下位は田中ということになりました。みくる、罰ゲームは何だ?」 「え、えっとほ、ほっぺにちゅーして欲しいです。」 「!?」 みくる、大胆な発言だな。部長達も冷やかされるし、何より、川畑の視線が怖い。あの、恐いんですけど、俺は、意を決してみくるの右頬に軽くちゅーをした。みくるは真っ赤に染めて嬉しそうにありがとうと言って来た。罰ゲームだから、仕方ない。だが、自身の胸がざわざわしているのは気のせいである。自身もこの行為が慣れてはいないから。 「お二人さん、アツいッスね~」 「そうだな。」 「あ~眠い。」 「千鶴、受験大丈夫かにゃ?」 「・・・まあまあだってばよ。」 「私もバイオリンのレッスンがあった。」 「・・・(図書館でも寄って行こう。)」 「純平、軽くキャッチボールしようぜ」 「いいよ。」 皆、バラバラに話している中、時間が来たので部長に終いの挨拶を聞く。因みに、4時間唄ってました。 「以上で第1回チキチキカラオケ大会を終了する。」 第十七話 学園祭 体育祭が終わった直ぐに、学園祭が開催される。各して、我がクラスも出し物をすることになる訳だ。無論、こういう祭り事が大好きなあの馬鹿は黙ってはいない。 二時間目にその文化祭実行委員長と副部長が教卓の前で話をする。そして、奴が、ばんと大袈裟に教卓を叩きつけ話す。 「お前ら、文化祭実行委員長を務めます。鳥野明でっす。宜しく~!!」 「あ、始めましてその副委員長をやらせて頂きます。小野寺真奈美です。宜しくお願いします。」 どうやら、文化祭はこの2人で進行していく訳だ。小野寺さんは、比較的大人しくて気が弱い人である。明が二年生で部長だとついていくのが大変だな小野寺さん。 其処で、部外者から質問がかかった。 「でも、お前、体育祭もやってなかったっけ?」 「安岡先生は、大いに是非とも参加してくれと言ってくれたぞ。そもそもお前ら絶対やる奴ほとんどしないだろうが。俺はね、先生に立候補されてやっと部長になったんです!!」 「ちょ、それのの●んじゃんwww」 どっかの男子が言った直後、わっと皆もざわめき笑い出した。某県議会の真似をしながらだが、身ぶり手ぶり似てるな。 「という訳だ。皆、今年のクラスの出し物は、どうする?」 「・・・」 皆が悩む中、一人の女子が言った。 「男女逆喫茶店てのはどう?女子が執事の服装、男子がメイド服着て、接客するの。」  「あ、それで良いね。んじゃ、採用。」 案外、スパッと決まったな。 なので、今年のクラスの出し物は、男女逆転喫茶になった。 それぞれ衣装班、小道具、後、食材班に分かれた。俺は、小道具に入った。男子が結構大いので助かったりもする。 明も同じだが、文化祭実行委員であまり手伝える機械が少ないかもしれないと事前に、クラスで言っている。明、頑張れ。 ※※※ 「私達のクラスは、劇をすることになったんだが、白雪姫だ。私が魔女で」 「私は、白雪姫だにゃ☆」 「へ~意外ッスね。」 「私達は、展示関係で桜ヶ丘市の歴史をテーマにレポートに書くんです。」 「僕は、昭和から平成にかけての人気の食べ物とか。」 「俺は、漫画の歴史についてテーマにしたっス。」 「みくるのクラスは何やるんだ?」 「私達は、合唱と構文かな。」 「へ~楽しそうだにゃ~☆」 皆が、美術室内で話す中、部長は俺に聞いて来た。 「所で田中のクラスは、何やるのだ?」 「男女逆転喫茶店です。」 「先輩、女装するんスか!?」 「でも、似合うような、ないような・・・。」 「・・・はっ。」 「鼻で笑わないで川畑、何か傷つくわ。」 「へ~純平君が」 「純平が」 「根暗が・・・」 「「「女装・・・。」」」  「ニヤニヤしながら3人揃って声揃えるの辞めてくれません?」   全てはあの馬鹿が決めたことなので、逆らえまい。 ウチらの男子は、微妙に乗り気がある、ない奴らが半々なのだが、明に例え逆らえば恐ろしい結末がやって来るのだ。お祭り男を怒らせたら、恐いという訳だ。 「まあ、頑張りたまえ。」 「あ、はい・・・。」 「じゃあ私、生徒会の方の準備があるから。」 「は~い、またにゃ☆」 「純平、皆も、頑張ってね。」 「おう。」 みくるはそう言った後、部室を出た。そういや、生徒会の仕事もしているから、大変そうだな。 「さあ、今日は此処までにしよう。明日も文化祭で忙しいと思うから。しばらくは休止だ。個人で来ても良いが、私達もなかなか来れないからな。そこは任せる。以上だ、解散。」 そして、今日は、早めに終わった。先輩達も文化祭の準備の方にまわるので忙しい様だ。 ※※※ そして、一週間が経ち、ついに文化祭が始まった。その準備している最中、小道具担当の男子にみくるとの関係についてしつこく聞いて来たので、スルーした。 そして、体育館に全クラス集まり、文化祭のスローガンが立ててある。 【今しかない、思い出ある文化祭咲き誇れ一人一人が主役である。】 このスローガン、かっこいいな。誰が書いたか気になる。 そして、ブーとオープニングセレモニーが始まった。 一つの照明が舞台を照らす。 そこには、生徒会の奴らがいた。つか、何の状況なの? 一人が右足に鎖に繋がり、もう一人の男子も鎖に繋がっている状態。いきなりシリアス突入しましたか。 「此処は、何処なんだ!?つか、お前誰だ。」 「俺は、ジョニーだ。お前は?」 「俺は、ユッケだ。しかし、何で俺達は捕まっているんだ?誰の仕業だ。」 「待て、男が倒れているぞ。」 中央には男がうつ伏せになりながら人が倒れていた。左手には、手持ち用のカセットテープがある。それをジョニーが手にとり、再生ボタンを押す。テレビ画面には仮面の男が出て来た。つか、何で●こちゃん? 【やあ、ジョニー、君は選ばれた人間だ。その傍にボタンがある。それを押さば鍵が出てくる。さあ、生きるか死ぬかの勝負、制限時間は20秒だ。それじゃあスタート。】 そして、カチカチと何処からか、鳴り始める。恐らく時計なのだろう。 【俺は、負けない。絶対に帰るんだ!!】 【お前正気か!?】 そして、ジョニーは必死に手を伸ばし、ようやくボタンを押した。そして、画面には男がピースしながら言った。 「文化祭開始だよ~ん♪」 そして、文化祭が始まった。 俺達は、10時からスタートなので、クラスの出し物をセットして、着替えをした。男子、女子の反応は好評価であった。 「田中君GJ!!」 「これで、優勝は間違いなしだな。」 「眼福だよ~。」 「純平、似合いすぎて逆に恐い。」 「うるせえよ、お前に言われたくないわ。」 メイド服なんだからスカート短いし、改めて着ると、明は、・・・うん、似合わない。 みくると先輩達が途中来て、写メ撮っていたけど。あんま、気にしない様にしよう。そして、トラブルもあった。 「あんた、その身なりで男か。残念やわ、おじいちゃんが確かめてええか。」 でたよ、セクハラ親父が。俺は、断ろうとした直後、川畑とみくるがやって来て、ドスの聞いた声で言った。 「「ウチの嫁に何か?」」 「ひい!?」 親父が、逃げて行った。2人共、嫁って何? そして、何とか、1日乗り切ることが出来た。 2日目は、俺は、明と一緒に廻った。敷地の庭には色んな出し物が並んでいる。俺は、焼きそばと綿あめを買った。明も結構買っていた。 そして、1、2年生の展示品を見てまわった。途中、不良達もいた。 そして、3年の劇が始まった。最初は、2組の桃太郎。1組は人魚姫。どれもいい作品だった。そして、先輩達がいる3組、白雪姫である。白雪姫であるのだが、どれもキャラが濃ゆかった。 【昔、ある所に継母と3姉妹とシンデレラがいました。】 「白雪姫、此処の床が汚れているわよ。」 「ほらさっさと拭きなさいよ。」 「そうよ早くしなさい。」 シンデレラは毎日と奴隷の様に働いていました。 そして、継母と3姉妹は今日は、舞踏会であることをシンデレラに告げた後、地下に閉じこめてしまいました。 「お願い、誰か助けて頂戴!!」 【お困りか?】 すると、魔女が突然現れました。 【娘よ、名は?】 「シンデレラと申します。」 【貴女は、今日舞踏会に行かなければならない。私の魔法で舞踏会に連れて行ってあげましょう!!ちちんぷいぷいそ~れ!!】 そこには、人の馬が現れた。何故か犬のポーズで。 【貴女のドレスも綺麗にしましょう。】 シンデレラの服装が青色のドレスに変わった。後、髪型も。 【12時の鐘が鳴ったら魔法が解けて戻ってしまうから気をつけなさい。】 そして、馬と共に舞踏会に行くことになった。 王子様とシンデレラは、ダンスを一緒に踊り、互いに親密になりました。 継母達もそれを見て驚きました。やがて、12時の鐘が鳴り、シンデレラは水色の片方の靴を落としてしまうのです。 そして、シンデレラが去った後、王子は、靴を手に取って、後日、このサイズにぴったりの女性を探すこととなったのです。 そして、王子様と家来は、継母達のいる家へ訪れました。3姉妹は靴が小さ過ぎて入りませんでした。 ですが、シンデレラはぴったりと入ったのです。 「貴女があの時のシンデレラですね、僕と結婚してくれませんか?」 「何でやね~ん!!」 ばっち~ん!! 伊達に先輩たちのクラスである。普通にやり、最後にはど派手やる。 そして、シンデレラは終わった。 1位は2組だったが、先輩たちは3位となった。絶対最後のシーンが悪いと思うけど。 そして、閉幕のセレモニーが始まった。ダンスが始まった後、優勝に移った。 不良がいるクラスが1位で、俺のクラスが2位という結果で終わった。そして、校長とみくるのクラスが合唱と構文をやり、2日間に渡る文化祭は終わった。 第十七話 みくる、風邪を引く!? 「え、今日みくる休みなのか?」 「風邪だってさ。」 「ふ~ん。」 そう、俺と明が話している中、突如声がかかった。 「あ、ねぇこのクラスで田中順平君いる?」 「あ、俺です。」 俺は、立ち上がり、ドアの前に立っている女子の所へ向かう。ネクタイの色が違うから、Cクラスだろう。その人はいきなり話だした。 「田中君、私、みくるとクラス一緒何だけどさ、皆、要事とかあって行けないのよ。だから、変わりに行って来てくれない?みくるの家って遠いらしいのよ。プリントを渡すだけどから、お願いして良い?仲良いのよね?」 「・・・良いですよ。」 「助かるわ、じゃあお願いね。」 ※※※ 来てみたものも、山奥なので道が険しい。マジで遠いわ、つ、疲れる。 息を吐き出しながら歩くこと数十分、ようやく屋敷に着いた。玄関のインターホンを押して、じいさんか誰かの声がでた。 【どなたでしょうか?】 「田中順平です、みくるのクラスメイトでお世話になってます。」 【お~そうでありましたか、申し訳ありません。私、じいやことジョナサンフランシスコと申します。宜しくお願いいたします。】 「よ、宜しくお願いします。」 名前が長いので、俺的にザビエルにしました。 「お嬢様は大変寝込んでおられる様子なので、面会は控えて頂けないでしょうか?」 「そうですか、分かりました。」 「疲れたでしょう、わざわざお嬢様のプリント持ってきてくれてありがとうございます。紅茶とお菓子をやりますのでしばしお待ち下さい。お送りします。」 「すいませんわざわざ。」 「いえいえ、久しぶりのみくるお嬢様のお客様ですから、じいやは嬉しいのです。」 ※ ※ ※ 【ごめんね。プリント届けに来てくれて】 【いいよ別に暇だったし】 あの後、帰りは、ザビエルに送ってもらった。 【熱がなかなか引かなかったから出れなくてごめんね。】 【気にすんなって、早く元気になれよ。じゃあな。】 【うん、ありがとう。】 携帯からわざわざんみくるがお礼を言ってきてくれた。 後日、Cクラスの子が何故みくるの宿題を拒むのか、それは家に着くまで道に迷う者が、多い為であったことが分かった。まあ、あんな山奥じゃあ迷うよな。 【最終回】それでも根暗は対等な関係を選ぶ 季節は3月、今日は卒業式である。先輩達は、各自無事大学に合格した。そして、今日は美術部、桜子、みくるも集まりお別れ会という訳である。明と桜子が付き合っていたのも驚きであった。 俺が部長を引き継ぎ、副部長が西原になった。 【私が卒業しても部長を忘れないで下さい!!】 【皆、元気でにゃ~!!】 「私達も忘れないないわよ。」 「そうよ、暇さえあればあえるんだし。」 「だな。」 「そうっすね」 「そうね」 「そうですね。」 「そうだな。」 そして、夜の5時まで騒いだ。 ※※※ そして、みくると川畑に連れられて俺は問い詰められることになった。 「順平どうなの?」 「どうなんですか?」 「・・・ごめんな、決められない。今の関係でいて欲しいんだ。だから、待ってくれないか?」 「じゃあ私、待つわね。」 「私も、待ちます。」 「・・・ありがとう。」 「そう言う訳よ、川畑さん。負けないから、これからはライバルよ。」 「はい、私も負けません。」 これからはお互いライバル同士となった。 そうして、俺らの日常はまだまだ続いていくのだ。  end
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