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このお金を貰えば一生あんな理不尽な思いをしないで生きていけると思うと喉から手が出そうな勢いだが、優梨が逃げているのはきっとこんな風にお金でなんでも解決しようとする大人たちがいる世界からだ。人の心までもお金で動かそうとする大人たち。そしてお金で簡単に動かされる大人たち。
「……そうですか。では私と優梨でそれを超える価値を作ります。どうぞお引き取りください」
「あなたはクビになりますよ」
「どうぞ。でも、私の家族を巻き込んだらタダじゃ済ませませんよ。ホールディングスごとぶっ潰します」
私はそんな大人になんてなりたくない。お金を多く持っている方が偉いなんて誰が決めた。お金がなくたって、私達は強くなれる。ぶっ潰す方法なんて1ミリも浮かばない。でも、でも言わなければ気が済まかった。
「いい加減にしてください。あなたが首を縦に振らなければ私が首を切られてしまうんです」
私が強く出ると彼女はいきなり泣き始めた。悲劇のヒロインばりの泣きよう。ある意味すがすがしい。
「それは大変ですね」
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