Ep.6

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「葵、俺の目を見て。俺は葵だから結婚したんだよ。葵とだから結婚したいと思ったんだよ。そして今、心から葵と結婚して良かったと思ってる」  なんでだろう。こんなに素敵な言葉を言われているのに私は優梨を疑ってしまう。男は誰でもその場限りの嘘をつくと思ってしまう。簡単にバレる嘘で更に嘘を積み重ねると。 「葵が辛かったら離婚も考える。でも、俺は葵と約束した。葵を守るって。ごめん、それなのに今日守れなかった。こんな俺の言う事信じられないかもしれないけど、信じて欲しい。俺、もう逃げないから」  優梨の目が力強く輝いた。ああ、信じたいと思ってしまう。こうやって私は誰かを信じてまた傷ついてしまうのだろうか。  それから数日優梨はバイトを休んだ。家にも帰ってきていない。優梨は実家に戻ったのだ。私を守るために。
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