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葵と出会って、初めて俺は人の期待に応えたいと思った。葵は、俺の外見ではなく俺のやっている事、できることを褒めてくれた。葵だけが家柄や外見などのスペックではなく、ダメなところを含めた内面を受け入れてくれた。慣れない料理だって美味しい美味しいと食べてくれた。葵は決して自分の為に俺を褒めてくれているんじゃない。だからだろうか、努力をすることが楽しいことだと初めて思えた。
だから俺は葵に決めた。この人といれば何か変わるかもしれないと思った。
葵は俺を守ってくれる。でも、葵に守られているだけではダメだ。
俺も葵を守る、俺が葵を守るんだ。そう約束したんだから、実行しなければ。
「何ヶ月ぶりかな」
「ごめん。じいちゃん。勝手に出て行って」
「いいや。それは構わんよ。この家に生まれたからといって家を継がなければならないという事でもない。だがな、音信不通はいかんよ。心配したんだぞ。お金もほとんど持って行っていないようだったし。まあ、カードの支払い通知が来れば生きとるなと分かったが、それまでは気が気じゃなかったぞ」
「ごめんなさい」
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