3607人が本棚に入れています
本棚に追加
「優梨からそんな風に女性の話を聞くことは初めてだな。いい人に巡りあったみたいで良かった、良かった。今度連れて来なさい」
「うん」
俺はじいちゃんの部屋を後にし、父が帰ってくるまで家で待つことにした。母は相変わらず沢山のお菓子を作り、俺はそれを手伝った。そして、できたてのクッキーと紅茶を飲みながら母と話していた。
「帰ってくること知っていれば作っておいたのに。お菓子は優梨しか食べないから最近はほとんど作ってなかったのよ」
「いいよ。母さんと一緒に作るのも久しぶりで楽しかったし」
「そうね。家にいた頃はよく手伝ってくれていたものね」
「ごめんね、母さん。いきなり出て行って、しかも結婚までしちゃって」
「本当よ。私にくらい連絡くれても良かったんじゃないの?」
「うん。ごめん」
「結婚相手の事は色々聞いたわ。きっと財産目当てよ。さっさと別れなさい」
「あはは。それは大丈夫。葵は俺が財産を狙ってると思ってから。あと保険金殺人を考えてるのかって聞かれた」
「何そのお嬢さん。失礼ね」
「違うよ。急にそうなったから、俺を疑っただけだよ」
最初のコメントを投稿しよう!