Ep.6

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「どういうこと? 駆け落ちしたんでしょ?」 「駆け落ち?」 「その女性の為に出て行ったんじゃないの?」 「どんな話になってんの? 違うよ。葵と出会ったのは俺が路頭に迷ってるとき。宿無しで困ってたら助けてくれたの」 「そんな話信じないわよ。例えそうだとしても彼女は絶対何か企んでるわよ」 「葵はアルバイトが必要だったから声をかけてきただけでそれ以上は何も考えてなかったよ、きっと。信じないならそれでもいいけど」 「アルバイトを口実に優梨に近づこうとしてたのよ。こんなにかっこいいんだもの。ああ、ふしだらな女!」 「そんな人じゃない。葵の悪口言うならもう口きかない」 「まあ、優梨にそんなこと言わせるなんて……分かったわよ。そんなに睨まなくてもいいでしょ。でもなんで急に結婚なのよ」 「一緒にいたかったから。俺が葵と一緒にいたかったの。この家とも早く縁を切りたかったし」 「何言ってるの? やっぱり洗脳されているんじゃないの?」 「ここを出たのは家族の為。優醍(ゆうだい)がいれば十分でしょ。それなのに、いきなり会社に入れとか」 「それは優梨の才能を」
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