Ep.6

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 だから、そんなところで派閥が起きるなんて思ってもいないだろう。でも、俺には分かっている。彼らの中に亀裂があることを。父と仲がいいからといってその人達も仲がいいとは限らない。水面下で実権を握る機会を狙っている人がいる。  俺は幼い頃からパーティーなどで彼らを見ていた。何もできない俺が長男と言うだけで会社の跡継ぎだと信じ、俺の周りに集まる彼らの子供。親から言われて仕方なくという感じが出ている子もいる。 「大人って嫌ね。私達が誰と遊ぶかまで命令してくる」  明らかに俺より年上の女の子が話しかけてきた。 「無理に俺と話さなくていいよ」 「別に私は無理に話してるんじゃないわよ。愚痴を言いに来たの」  彼女は他の子と違った。他の女の子は俺に可愛い姿を見せようと必死で男の子は俺に媚びるので必死だった。彼女だけが俺を社長息子としてではなく、ただ愚痴を吐く相手として話しかけてくれた。 「弟はね、本当は優醍君と遊びたいんだって。でも父が許さないの。弟は唯一の息子でしょ。だから次期社長の優梨君と仲良くしろって。優梨君は社長になるの?」
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