Ep.7 

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 翌日、仕事終わりに私は優梨と共に彼の実家に向かった。 「手土産良し、服装良し、髪型大丈夫? 化粧崩れてない?」 「うん、いつも以上に全て完璧。そんなに緊張しないで」  緊張しないでと言われてもこんなに大きなお屋敷を前に緊張せずにいられる一般庶民がいたら教えて欲しいくらいだ。  広い敷地に木造家屋の母屋と離れがあった。離れと言ってもそれは一般的な家の大きさだ。つまり母屋がバカでかい。 「まずはじいちゃんの所に行こう」  そう言って優梨は離れを目指した。剪定された庭は高級旅館を思わせる。 「じいちゃん、連れて来たよ」 「おお、よく来た」  私が手土産を渡し、ソファーに座るとお手伝いさんが紅茶を置いて出て行った。 「ご挨拶が遅れてしまい申し訳ございません」 「いやいや。話は優梨から聞いたよ。葵さんも大変だったね。優梨が迷惑をかけてすまなかった」
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