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優梨はオブラートに私達が入籍した経緯を話したそうだ。私が酔っぱらって記憶を無くしたと言うのは伏せてくれたらしい。いつか出そうねと二人で書いていた婚姻届けを優梨が勝手に提出したという事にしている。
それから私はおじいさんに質問されるがまま、優梨のバイト先での働きについてや日常生活について話した。
「そうか、そうか。そりゃ安心した。ずっと甘やかしてきたから、何もできないと思っていたが、葵さんには役に立っていたという事か」
「ええ。とても助かっています」
「葵さんがいてくれてよかった、よかった。優梨にとって葵さんは救世主だな」
男女逆転現象、いやもう今の時代、女性が救世主なんてよくあることか。
「失礼いたします。そろそろお時間です」
お手伝いさんがノックして扉の外からそう言った。
「まあ、色々言われるかもしれんが、困ったときは後で相談に来なさい」
私達はお礼を言い、母屋に移動した。
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