Ep.7 

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「不倫なんて、父さんもしてるじゃん。不倫相手が母さんに詫びに来たことある?」  凄く気まずい空気が流れている。私は深呼吸をして決心した。 「あの、すみません。信じてはもらえないと思いますが、私の話を聞いていただけますでしょうか」  話すまいと決めていた私の事を話し始めた。  新入社員で入った会社で私は男性たちに交じって将来を期待されていた。それはとても誇りに思えることだった。期待に応えようと必死で頑張った。寝る間も惜しんで、休日だって勉強して、誰よりも頑張った。元々私は勉強が好きだった。学生時代は瓶底眼鏡を抵抗なくつけるくらい美意識に乏しく、美容を勉強するよりも難しい数式を1問解けるようになる方が何より楽しかった。  就職活動中のある面接で化粧をしていないなんてやる気がないと言われた。  清潔にするだけでいい男性に対し、清潔にした上で好印象を与えるメイクをしなければならない女性。女性はニコニコしているだけで受かる? そんなわけがない。そんなの美人に生まれた一部の女性だけだ。化粧をし、時には整形し、男性面接官に気に入られなければならない。
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