Ep.7 

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 彼だけは下心を見せずに悩んでいる私に優しく手を差し伸べてくれた。入社して数年後私は彼と付き合い始めた。好きな人に女性として扱われることが幸せだと心から感じていた。どんな時でも彼だけは私の中身を見てくれて愛してくれているんだと思っていた。  付き合いだした当初は、同じ部署だったので周りの目も気にして内緒にしていた。そのまま、部署が変わっても彼との秘密のお付き合いは続いていた。  しかし彼は、同じ部署の女性と授かり婚をした。  私は彼が結婚したことを噂で知った。噂が私の耳に届くまで数週間を費やしたのだが、その間彼はそれまでと変わりなく私とデートをしていた。結婚したことを伏せて。  確かにあの時の私は係長になり、忙しくて週1回しかも半日ほどしか彼と会う時間を作らなかった。それでもそれなりの事はしていた。映画を見て、彼の家に行って愛を育んだ。彼は独身時代の部屋をそのまま借り続けていたのでなんの違和感もなかった。
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