Ep.8

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「おはようございます」  ほどなくしてシェフが出勤してきた。いつもはシェフとの二人きりの時間だが、今日は優梨がいる。  私はいつものようにシェフを控室に置いてホールに出た。更衣室替わりの狭い個室もあるのだが、男性はその場で着替えてしまう事があるので私はいつも誰かが来ると外に出る。  控室ではシェフと優梨が話をしている声が何となく聞こえるが何を話しているのかまでは分からない。意外とこの二人は馬が合っているようでよく話しているところを見る。シェフは私と話しをするときだけとても丁寧というか距離がある。私はそんなに怖いのだろうかと最近よく思う。 「あの、沢木さん」 「はい」 「今度の定休日なんですが、真子ちゃんたち従業員数名で海にいきませんか? あ、もちろん優梨君も予定が会えば」  カフェの定休日には嫌がらせかと思うほど会議が入る。会社としてはその方がシフトを組みやすいだろうからという優しさらしい。  今度の定休日は夏休み期間中という事もあり、いつもとは違う日を定休日にした。そのお陰で会議とは重ならず、私も休む予定なのだが、従業員とはあまり距離を詰めすぎないようにしている。
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