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「海? 俺行く!」
優梨が元気よく返事をした。
いや、あなたは行けるのですか? と目で訴えるが、優梨は笑顔でこう告げた。
「葵は強制参加ね。水着何がいいかな」
その水着はご自身のでしょうか、それとも私のでしょうかと聞きたくなるが、シェフも聞いているので何も聞けない。
「どうですか? 僕は運転係とバーベキュー係でして、沢木さんが来てくれると非常に助かるのですが」
シェフはプライベートでもシェフをするようだ。きっとみんな遊びに行くためにシェフを利用したのだろう。そういう事であれば仕方ない。バーベキューのお手伝いくらいなら私にもできる。
「分かりました」
久々の優梨のバイト日とあってか、忙しく、出待ちまで発生し、何かあっては大変とシェフは人が居なくなるまで優梨と一緒に残ってくれることになった。
私は子犬のような潤んだ目の優梨に見られながら控室を出てもう店には人が居ないフリをして店を閉めた。
私が帰るのを見ると裏口があるとでも思ったのか、女性達は散っていった。
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