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「いつ着るの?」
優梨はしつこく私の耳元で聞いてくる。タンクトップに水着の優梨はまるで少年だ。
「お待たせ~」
真子とキッチンスタッフの女子が水着姿で現れた。これからバーベキューだというのに、火が飛んだらどうするんだと思うような露出度。キッチンスタッフ2名の男子の目を鷲掴みにしている。
真子はモデルのような体形で、キッチンスタッフの女の子はゆるボディーだが豊満な胸をお持ちだ。こんな二人に囲まれて私が水着を着られるわけない。
「火が飛んだら危ないのでシャツは着ておいた方がいいと思いますよ」
シェフは大人な反応だと思いつつも、もしかしたら目のやり場に困るからだろうかとゲスな想像をしてしまう。
「優梨君どう?」
「ああ、可愛いよ」
優梨が真子を褒めている。知ってはいるが、真子は優梨がお気に入りだ。優梨に可愛いと言われて頬を赤く染めている真子が羨ましい。
……羨ましいってなんで?
私も優梨に可愛いと褒められたいのだろうか。
「沢木さん、これお願いできますか?」
シェフに言われ私は火おこしを手伝う。
「大輝さんと葵ちゃんって本当お似合いだよね~」
真子の声がかろうじて聞こえるが私達は聞こえないふりをした。年齢的に似合っているだけだ。
私は見た目も中身も優梨に似合う要素が一つもない。
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