Ep.8

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「沢木さんもお酒飲んでいいですよ」 「いいえ。野風さんが飲めないので私まで飲むのは申し訳ないので」 「本当に沢木さんはいい人ですね」 「はい。葵。お肉は脂身少なめ、野菜は葵の好きなしんなり玉ねぎとかぼちゃと茄子」  優梨が私の隣に座ってきた。キッチンスタッフの男子と調理を交代したようだ。キッチンスタッフの女子が焼き始めたので代わったのだろう。男子とは分かりやすい生き物だ。 「ありがとう」 「優梨君は沢木さんのことよく知っているんだね」 「もちろんです」  牽制(けんせい)だろうか。キリっとした顔で答えた。 「あはは。そうか。僕もこんな親戚いたら良かったな」  優梨がぐっと歯を噛み締めているのが分かる。私はそっと優梨の膝に手を添えた。 「本当になんでも分かってくれるので嬉しいですよ」  そう言いながら私は手を離したが、優梨に手を掴まれ、テーブルの下で手を繋いでいた。 「ねえ、私もうお腹いっぱい。優梨君海行こう」 「葵が行くなら」  優梨が真子の誘いにそう言ってくれたことを少し嬉しく思う。それだけで十分だ。 「もう、優梨君っていつも葵ちゃん葵ちゃんって」
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