3606人が本棚に入れています
本棚に追加
/309ページ
「沢木さんもお酒飲んでいいですよ」
「いいえ。野風さんが飲めないので私まで飲むのは申し訳ないので」
「本当に沢木さんはいい人ですね」
「はい。葵。お肉は脂身少なめ、野菜は葵の好きなしんなり玉ねぎとかぼちゃと茄子」
優梨が私の隣に座ってきた。キッチンスタッフの男子と調理を交代したようだ。キッチンスタッフの女子が焼き始めたので代わったのだろう。男子とは分かりやすい生き物だ。
「ありがとう」
「優梨君は沢木さんのことよく知っているんだね」
「もちろんです」
牽制だろうか。キリっとした顔で答えた。
「あはは。そうか。僕もこんな親戚いたら良かったな」
優梨がぐっと歯を噛み締めているのが分かる。私はそっと優梨の膝に手を添えた。
「本当になんでも分かってくれるので嬉しいですよ」
そう言いながら私は手を離したが、優梨に手を掴まれ、テーブルの下で手を繋いでいた。
「ねえ、私もうお腹いっぱい。優梨君海行こう」
「葵が行くなら」
優梨が真子の誘いにそう言ってくれたことを少し嬉しく思う。それだけで十分だ。
「もう、優梨君っていつも葵ちゃん葵ちゃんって」
最初のコメントを投稿しよう!