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「あはは。ほら、優梨行っておいで」
「俺、子供じゃないんだけど」
今度は私が睨まれた。
「僕らも少し海に入りませんか? 実は僕も水着を着てきてしまってって言っても泳げないんですが」
シェフが恥ずかしそうに下を向きながら言った。
「そうなんですね。ではどうぞ、みなさんで楽しんでください。私はここを片付けておきますので」
「それなら僕も一緒に片付けます」
「いえいえ、せっかくですし、野風さんは海で泳いできてください」
「いえいえ、そんな一人で片付けさせるのは」
「いい加減、止めてくれる? ここは俺と大輝さんで片付けるから、葵は着替えてきて」
優梨が珍しくキレている。どこにキレる要素があったのだろうか。
「優梨君、ああやって仲を深めてるんだから邪魔しちゃ駄目じゃん」
仲を深めてる? そんな風に思われていたのか。
「違うからね」
私は一応優梨に言った。
「分かってるから早く着替えてきて」
優梨はそう言いながら私に水着が入った袋を押し付けて私の背中を押した。
私はシェフに車のカギを貰い、仕方なく着替えることにした。水着を見るとパレオ付きの水色花柄の水着だった。Tシャツを着れば全身隠れる。
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