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私は、水着、パレオ、そしてTシャツという隠しに隠しまくった格好でみんなの元に向かった。
「葵ちゃんだ」
真っ先に真子が気づいた。
「え? なんで?」
優梨が振り返り、私を見ると不機嫌モード発令。
「二の腕が……」
私が苦笑いすると優梨がそっぽを向いた。Tシャツぐらいでとは思ったが、せっかく優梨が買ってくれた水色の水着はパレオ以外が隠れている。確かに申し訳ない気もする。二人きりになったらちょっとだけ見せよう。
「沢木さん、こちらに来てください」
シェフが声をかけてくれた。私は優梨と真子が気になりながらも、シェフの方に向かい、みんなでボール遊びをした。
意外と楽しい。
「キャッ」
ボールを取ろうと私が勢いあまって体をエビぞりにしたまま足をすくわれると、シェフが身を挺して守ってくれた。
「大丈夫ですか?」
まるでライフセーバー。かっこいい。
「すみません」
「ヒューヒュー」
キッチンスタッフの男子たちが騒いでいる。そう言うのではないのだが、まるで社交ダンスの振り付けのように抱かれた上半身が恥ずかしい。
「さっさと立ちなよ」
冷たい優梨の声が聞こえる。
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