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「大丈夫ですよ。そのうち乾くと思いますし」
「でも砂とかついちゃいますよ」
「ああ、そうですよね。すみません」
車を出しているのはシェフだ。シェフの車を砂まみれにするのはダメだろう。
「あ、すみません。そうですよね。僕のシャツお貸しします」
シェフは察してくれたのかシャツを貸すと申し出てくれた。でもそれではせっかく袋の中に入れて砂ぼこりを防いでいるシェフのシャツに砂がついてしまう。
「それは悪いですよ」
そんな掛け合いを何度か続け結局私は人が少ない所に移動し、パレオを胸元まで移動させ、Tシャツを脱ぎ、日差しが熱いので乾かすついでにTシャツを頭にかけて、袖を手で持って日陰を作った。
「水着、よくお似合いです」
「え? そんなことないです。二の腕とか、本当に恥ずかしいです」
「女性らしい綺麗な腕じゃないですか」
「褒めても何も出ませんよ」
「いいですよ。僕は沢木さんとこうしてお話できるだけで十分です」
こんな事を言うのはシェフが優しい男性だからなのだろうか、それとも……。
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