Ep.8

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 綺麗だとも可愛いとも言わずに証だけを付けていく彼。独占欲の現れとも言える証は嬉しくもあり、私をどう思っているかを言わない優梨に不満を感じた。  私はパレオを拾い、腰に巻き、まだ少し濡れているTシャツを着て戻っていると、優梨はシェフと真子と仲良く話をしていた。真子の腕が優梨の腕に絡んでいる。  私も証、つければよかった。  ……何を考えているんだろう、私は。  気持ちを振り切り、私は3人のところに行き、座った。 「葵ちゃんおかえり。そんなに二の腕やばいの?」 「さっきも言いましたが、僕は全然そんなこと思いませんでしたよ。優梨君がちょっと完璧を求めすぎなんです」  何故か真子の質問に対しシェフが必死にフォローしてくれている。ただ、完璧を求めすぎという事はやはり私の二の腕のたるみは他人から見てもたるんでいるという事だろう。少しは鍛える必要があるかもしれない。 「いや、あんなの人には見せられないよ。もう見せないよね? あ・お・い」  見せられない理由は胸と太ももにある優梨の証だ。 「う、うん。すみません。お見苦しいものを」
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