Ep.8

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 私はみんなの元には戻らずに車の方の海辺で一人遊んでいた。 「探しましたよ」  私を探しに来てくれたのはシェフだった。 「すみません。みんなもう帰るんですか?」 「いいえ。また海に入りに行きました。沢木さんが戻って来ないので心配になって」 「すみません。私がいると海堪能できないかと思って」 「僕は沢木さんといられれば砂浜でもどこでもいいですよ」  何だろう。今日のシェフはいつもと違って距離を詰めてこようとする。余った者同士がくっつくあれだろうか。いや、仕方なく私の相手をしてくれているのだ。変な妄想をしてはいけない。 「男の人って素直な女性が好きですよね。私、素直じゃないんです。自分が嫌になるほど」  私はシェフに好きになってもらえるような人じゃない。 「そうなんですか? じゃあ僕は素直じゃない女性が好きなのかもしれません」 「野風さんは本当に優しいですね」 「優しすぎてつまらないとフラれました」  元カノとの話だろう。 「贅沢ですね」
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