プロローグ

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 一度の過ち以降、健全なすれ違い生活をしていたはず。もちろんカフェでは会うが、イチャイチャのイの字すら浮かばないような掛け合いだったじゃないか。  それに私はもう恋はしないと決めている。 「ねえ、何黙ってんの? 分かってる?」 「分からないんだけど、何言ってるの?」  仕事から帰ってきて第一声目に言われる冗談としては発想が飛びすぎている。 「今日婚姻届け出してきたから、正式な夫婦になりました」  ……ん? 何言ってんだこの子。益々分からない。今、婚姻届けって言った? 「冗談きつすぎるよ」 「冗談じゃないよ。この間約束したでしょ。(あおい)の誕生日に婚姻届け出しに行くって」 「そんな記憶一切ございませんが……」  ついつい敬語になってしまったが、記憶をたどっても全く思い出せない。そして、今日が誕生日だと言う事に今気が付いた。 「あ~そういえば沢山お酒飲んでたもんね~」  つまり酔っ払いの私に書かせて提出したと言う事か?  一体何のために?
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