Ep.9

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「それは、本当にありがとう。何か欲しいものとかあるの?」 「葵」 「冗談言うなら切るよ」  などと言いながらも顔はにやけてしまう。電話で良かったと心の底から思う。 「冗談じゃないよ。俺はいつでも葵が欲しいよ。今すぐ葵を食べちゃいたい」  なんだこの子は。最近ますます攻撃がお盛んだ。 「私は豚か何か?」 「あはは。可愛くない返し」 「知ってます」  可愛くなりたいと思ってもそう簡単に性格は変わらない。でも何か少しだけ可愛い返事を…… 「ちょっとは美味しいかも」 「何その返し。あはは。すっごく美味しい極上なデザートだね」  私の可愛いセンサーはずれているようだ。笑われた。  でも極上のデザートと言われ、悪い気はしない。 「今恥ずかしがってるでしょ。可愛い」  どういうタイミングで可愛いというのだろうか。優梨は私の何を可愛いと思っているのだろうか。 「そんな可愛い葵にお願いです。今度バイト一緒の日、食事に行こう。デートだからう~んとオシャレしてきてね。可愛い系、綺麗系、かっこいい系なんでもいいからスーツ以外で」
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