Ep.9

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「冷たい女になったな。俺が結婚するまであんなに優しかったのに」 「そんなの当たり前じゃないですか。私の働いている場所、調べたんですか?」 「怒ると敬語になるところも変わらないな」  彼は何故か笑顔で話している。 「たまたまだよ。たまたま。会社の女の子がここのジュース差し入れしてくれて、雰囲気がいいからって店の写真見せられて、そしたら葵が小さく写っててさ。横顔だったし、みんな気が付いてなかったみたいだったけど、俺分かっちゃったんだよな。葵って。やっぱり俺たち運命なんだよ」  この男は何も分かっていない。それに結婚しているくせに別の女性に運命なんていう男は他の女性にも容易く運命だと口走る運命男に間違いない。 「葵がこんな所でバイトしてるって知ったらみんな驚くだろうな。仕事見つからないの? 俺、援助するよ。家のローンも大変だろ?」 「必要ありません」
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