Ep.9

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 会う頻度が週1なんて会っている方だと思う。でも彼の下半身はそれじゃ足りないのだろう。せっかく遊びに行っても自分よがりの押し付け行為をしてぐっすり寝る。映画だって食事だってその前に仕方なくという感じだった。そんな彼に私の時間を盗まれているような気がしていた。  あの頃の私は仕事の虫だと言われても仕方ないほどに仕事していた。そこは彼に申し訳ないと思う。  でもマンションを買ったのだって、ローンを考えると30前に買っておいた方が良い。都内のマンションはとても高いのだ。それに、結婚してもしなくてもマンションなら貸して資産運用だってできる。ずっと一人ならいつか母を呼んで一緒に住むことだってできると思っていた。  それに私のお金でやっていることを結婚もしていない、ましてやプロポーズさえもされていない彼になんで話さなければならないのだろうか。  何もかも一人で考え、ひねくれ、浮気をしたのは彼の方だ。多分、浮気相手は今の奥さんだけじゃない。そんなの薄々気が付いていた。でも私には仕事があった。だから我慢していた。それなのに、彼は私から大切な仕事さえ奪った。
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