Ep.9

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「葵には関係あるだろ。俺が離婚すれば葵は俺と結婚できるんだ。葵と結婚できる男はいないだろ。そりゃ最初はいいよ。その見た目だし、落としたいと思える鉄壁さは男を魅了する。でも落としてしまえばそれで終わり。男が引け目を感じるほど、完璧で、優しくて、一緒にいるだけで息がつまる女。俺以外誰がそんな女と結婚するんだよ」  息が詰まる女……か。  彼が引け目を感じていたなんて知らなかった。私は彼を立てているとさえ思っていた。彼がリラックスできるように心掛けていた。何もかも私達はかみ合っていなかった。別れるべくして別れた二人だったんだ。  なんだか安心した。 「あのさ、おっさん。今の話全部録音してるから。これ以上俺がキレないうちに帰ってくれる? また葵に近づいたらコレ奥さんにも会社の人にも送りつけるから」 「なっ、そんなことしたらどうなるか分かってるのか? 俺の奥さんのお父さんはな」 「奥さんのお父さんってどれだけ他人頼りなの? 葵が好きならとっとと離婚して奪いにくればいい。俺は絶対葵を渡さない」 「何言ってんだ?」 「今葵が愛しているのは俺だから」
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