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「何も知らないあなたにそんな風に言われる筋合いありません。彼女に何かしたら俺が黙っていません。ここで話していた全ての会話を録音しています。あなたが不利になることばかり話していましたよ。公開されたくなければさっさと旦那連れて帰ってください」
優梨が私を守ってくれている。私を守るという約束を守ってくれている。なんだか心が締め付けられる。
「なによ。何も知らないのはあなたよ。見てなさい」
彼女は彼の手を引き、タクシーに乗り込み去って行った。
二人きりになって私は優梨に謝った。
「ごめん。変な事に巻き込んでしまって」
「ううん。ご飯行こっか」
そうだった。レストランを予約してくれていたんだ。このワンピースは優梨とのデートの為に着ていたんだ。
私達は予定より大分遅れてレストランに着いた。
「コース料理にしてるから、他に食べたいものがあったら言って」
高級レストランの個室。大幅に時間は過ぎてしまったが、部屋を閉店まで貸し切っていたらしく全く問題はなかったようだ。
こんな所の予約が取れる人だったんだ。
私とは違う世界の人なのだと思い知らされる。
「ありがとう」
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